王道ラブストーリー・社会問題・人間愛! ストーリー&脚本のうまさに惹きつけられる「名作韓国ドラマ」をご紹介!
「睡眠を削っても韓ドラ!」と韓ドラまみれの日々に幸せを感じるSPUR韓ドラ班。GWは日頃ご無沙汰している韓ドラウォッチャーにとっても、ストーリーを途切らせずに、寝不足覚悟で視聴できるまさに黄金週間!そこで、今までご紹介してきた様々な韓国ドラマの中から、今回は魅力溢れる演技派俳優はもちろん、「やるせない、切ない、温かい! 」それぞれの感情に揺さぶられる、ストーリーの素晴らしさを重視して厳選。ぜひ見ていただきたい「 2025年GWスペシャル!ベスト韓国ドラマ3選」を紹介。正直選びきれないところを泣く泣く3つに絞りこんだ、至極のドラマをぜひチェックして。
【韓国ドラマ ナビゲーター】
さすらいのライター 山崎敦子
『最高の愛 〜恋はドゥグンドゥグン〜』より韓国ドラマに魅せられ、日々最新ドラマをリサーチするさすらいのライター。さまざまなジャンルを渡り歩き、今では美容記事に携わること多し。サバイバルオーディションも大好物で、今の推しはENHYPEN。推しの俳優は絞りきれないほど多数。エクラwebでも韓流連載執筆中。
韓ドラ追っかけ班/エディターK
母の影響により、第1次韓流ブームの火付け役となった『冬のソナタ』から韓国ドラマの世界へ足を踏み入れる。「寝不足だけど幸せ」を合言葉に、20年間以上あらゆるジャンルの韓流ドラマを観続けている。ドラマに加え、アイドル、コスメ、ファッションなど、日々韓国まわりの情報をキャッチアップ。ドラマを観るたびに推しの俳優が増えていく毎日です。
『弱いヒーロー Class1』/善と悪の狭間でもがき苦しむ高校生たち
『弱いヒーロー Class1』 Netflixで配信中!
4月25日からNetflixで 『弱いヒーロー Class2』が待望のスタート!合わせて見たいエリート高校の人間模様をエディターKが解説。
終始、胸が痛かった。本作の感想を一言で簡潔に述べると、これに尽きます。思春期特有の危うさが随所に表現されており、度を越したいじめや校内暴力、高校生が抱える孤独。それらが様々な形で顔を出すのですが、友情という名のひとつの希望でさえ、均衡を崩した途端すぐに凶器となってしまう。その張り詰めた空気感をずっと作中で感じていられたのは、なんといっても子役出身、Wanna One出身の演技ドルことパク・ジフンを筆頭に、『二十五、二十一』のチェ・ヒョヌクと、最新作『悪鬼』のホン・ギョンの3人の演技がリアルすぎたから。今まさに同じ時を生きる学生も、大人も、一緒になって観てほしい、メッセージ性の強い作品だと思っています。
舞台はビョクサン高校。頭脳明晰なシウン(ジフン)は勉強以外に興味関心のない優等生で、小柄かつ力がなく、運動も苦手という設定です。いわゆるガリ勉という見え方ですが、「弱い」なりに意思はめちゃくちゃハッキリ伝える性格。ここが従来とは違う点かも。勉強を邪魔されることに関しては、異常なまでに怒りスイッチが入るんですね。で、クラスのやんちゃ組にも真っ向から立ち向かうし、売られた喧嘩は必ず買うし、優れた洞察力と頭脳を駆使してトドメを刺そうとする。ある意味いちばん恐ろしい。そんな勉強だけに執着して生きるシウンに変化が訪れるる。エスカレートしていく同級生の暴力と不良グループの介入、そして裏に潜む犯罪のせい。3人それぞれが抱える事情もつらく切なく、とにかくやるせない。だけれど「終着点になにが待っているのか」を知らなければこちらも終われないんですよ。
なにより本作はジフンの俳優キャリアを語る上で欠かせないドラマになったと断言できます。デンジャラスで陰のオーラに包まれているので、そのギャップもぜひ堪能してほしい。
『弱いヒーロー Class1』について紹介している記事はこちら!
パク・ボヨン×チェ・ウシク『恋するムービー』/なんともエモーショナル! ときめきと切なさが交互に訪れる最新ロマンス
Netflixシリーズ『恋するムービー』独占配信中
人気脚本家が紡ぐ、切ない王道恋愛ドラマの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
チェ・ウシクはなんだか不思議な俳優です。クールな殺人マシーンを演じたかと思うと鬱屈した半地下生活を送るフツーの浪人生に扮したり、過去の恋愛が忘れられない、実は孤独なイラストレーターもやれば、偶然が偶然を呼んでバンバン殺人を繰り返すダークヒーローになったりと、演じる役柄は結構幅広くてどれもまったく異なるキャラクターなのだけど、なぜかどの役も作家が当て書きした?と思うほどウシクそのものに感じてしまうというか。だからなのか、この役はウシクにしかできなかったね〜などと思ってしまうわけなのです、毎回。その役柄に憑依するカメレオン型の演技派は結構いるけれど、ウシクの場合、そのキャラクターがウシクに憑依するというか、寄り添って一体化するというか、それが可能な唯一無二の演じ手なのではと思う次第なのです、私的に。だから、気になってならない。で、そんなウシクの待ってましたの新作メロ(恋愛)ドラマがこの作品。
ウシクが演じるのは「世界中のすべての映画を観ることが夢」という映画オタクの青年コ・ギョム。幼い頃に両親を亡くし、11歳離れた兄コ・ジュン(キム・ジェウク)と暮らしているのですが、明るくひょうひょうとしていて誰の懐にもスッと入れてしまう人たらしなのですね。成人した彼は、これだけ映画が好きなのだから、映画の中の人になるしかないと俳優を目指すことになるのですが、演技はできないわ、主役より悪目立ちしてしまうわと素質ゼロ。使いものにならないはずなのだけど、なぜか周囲からは可愛がられ、エキストラとしてちゃっかり撮影に参加するようになるのです。でもって、そこで、出会ったのが、今回のメロ(恋愛)のお相手、映画(=ムービー)と同じ響きの名を持つ助監督のキム・ムビ(パク・ボヨン)。
その名に一目惚れしたかのようにムビに惹かれていくギョムに、最初は煙たがっていたムビなのだけど、いつしか惹かれるようになり……という矢先、ギョムが突然、姿を消してしまうのです。そして、5年後、映画監督になったムビの前にギョムが映画評論家として現れて……。と、こう書くとありがちなロマコメみたいに感じられるのですが、深度と方向性が違うというか。ポイントはギョムが突然去った理由にあるのです。メロを求めてやまない切実な心を優しい視点で映し出しているのがこのドラマ。だから、細胞のひとつひとつに染みてきて、涙が止まらなくなるというか。ギョムもムビも兄ジュンも、登場人物すべてが愛おしく、作曲家を目指すシジュン(イ・ジュニョン)と脚本家になったジュア(チョン・ソニ)のサブカップルにも泣かされます。
『恋するムービー』について紹介している記事はこちら!
IUとボゴムのW主演『おつかれさま』/胸熱ロマンスも、感動の家族ドラマも、心に響くヒューマンも、見どころ満載!
Netflixシリーズ『おつかれさま』独占配信中
視聴者を最後まで驚かせて泣かせる秀逸な脚本! そんな名作ヒューマンドラマの見どころをさすらいのライター山崎が解説。
なんだか知らないけれど、毎回泣いています。もちろん、胸をつかれるような悲痛なエピソードもあったりはするのですが、でも、悲しいからというのとは少し違う。あるお笑い芸人さんが「生きてるだけでまるもうけ」を座右の銘にしているという話がありますが、このドラマを観ていると人生つくづくそうだなと思うというか、生きているだけでこんなにも尊いものだったんだと改めて気付かされるというか、そんな感慨が深く熱く染み入ってくるのです。
『マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん〜』のキム・ウォンソク監督の演出です。『椿の花咲く頃』のイム・サンチュン作家の脚本です。そして、IUです。期待を超える名作になるに違いない。
IUが演じるのは1950年代の済州島に生まれたエスン(幼少期は子役が、中年以降はムン・ソリが演じる)。幼い頃に父を亡くしたエスンは父の生家で暮らしているのですが、再婚して海人となり、ヒモ夫(オ・ジョンセ)と2人の子と暮らす母(ヨム・ヘラン)の家をたびたび訪れます。というのも実家ではエスンだけおかずのイシモチが与えられなかったり、叔父からちびちびとハブされていて、そんな寂しい実家よりも、愛する母と暮らしたいというのが願いなわけで。なのに、母は心を鬼にしてエスンを実家に連れ戻すのですね。お金がある実家の方がエスンにとっては幸せだと思って(すでに泣ける…)。
そんなエスンに毎日毎日魚を届けにくるのが、ボゴム演じる鮮魚店の息子グァンシク(幼少期は子役が、中年以降はパク・ヘジュンが演じる)。エスンと数ヶ月だけ年上の幼なじみなのですが、貧しくても快活で聡明な文学少女エスンを後ろからいつも静かに辛抱強く見守っている朴訥だけど誠実な男。まさにボゴム真骨頂キャラなのですが、そんな中、エスンの母が若くして病で急死してしまうという…。物語はノスタルジックな済州島を舞台に、エスンとグァンシクの高校時代の逃避行から結婚、出産、そして成長していく子供たちと、哀しみと喜び、挫折と再起を何度も何度も繰り返していく二人の愛の一生を描き出していくものです。
決してサクセスストーリーではありません。1960〜70年代の今では考えられないくらいの貧しさと、その貧しさの中にしか生きられない境遇を背負いながら、前に向かって生きていく人生。大業なくとも生きているだけで尊いと思わせるエピソードの数々が目白押しです。
『おつかれさま』について紹介している記事はこちら!