“裏切りの”長瀬智也

今でこそものすごくカッコいいスターでも奇妙で変テコリンな役で存在感を示すが、その先駆けともいえるのが彼! ほかの誰にも真似できない俳優としての在り方にはちゃんと秘密があった。

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Tomoya Nagase/長瀬智也
1978年生まれ。’94年にTOKIOのメンバーとして「LOVE YOU ONLY」でCDデビュー。主な出演作にドラマ「池袋ウエストゲートパーク」「泣くな、はらちゃん」、映画『ソウル』(’02)、『真夜中の弥次さん喜多さん』(’05)など。

長身で端正な顔だちにはボルゾイや何かの高級犬が似合いそうなのに、「一年間いろいろ探してネットでひと目惚れした猫を飼っています。ノルウェージャンフォレスト種で、名前はミツコ・デラックス(笑)。愛称はミーちゃん」。

でも、こんなキャット・トークから「そういえばギタリストとかロックミュージシャンって猫飼っている人が多いらしくて。あの〝ジミヘン〟も猫好きで、ロッカーと猫の写真集もあると聞いてますよ」とどんどん話が広がっていくのが楽しい。

「意外、ですか? でも僕自身、たとえば映画を観るときは先が読めるものより、エッエエーッ!? と、どこに連れられていくかわからない物語に惹かれる。たとえば、ジャック・ブラックの『愛しのローズマリー』。最初のうちは、彼、女の子の外見ばかり気にして、なんてやつなんだと思っていると、次第に相手の内面を見るようになる。その変化が素晴らしくて、ジャック自身もカッコいいやつだな、と感じられるんです。ラブストーリーとしても通り一遍じゃなくて、そういう話を成立させてしまう彼の演技力はすごいなあと思いますね」

こんな長瀬さんの新しい映画は、宮藤官九郎脚本・監督の『TOO YOUNG TO DIE ! 若くして死ぬ』だ。

「宮藤さんとはTVの『池袋ウエストゲートパーク』で知り合って、僕は神奈川でスケボーばかりやっていたガキ、宮藤さんは故郷の宮城でバンドに熱中していて、好きなもの、嫌いなものが合ってしまったというか。僕らのような人間がドラマや映画に出るとなると、どうしてもラブ、男女の恋が不可欠になるけれど、僕はあまりそこには興味がないというか(笑)。いや、人間ドラマとしてちゃんと成立していれば別なんですよ。その人物がどういう生き方をしているかがちゃんと描かれていたり。でも、そこをとばしてラブだけだとちょっとね。今回も、僕が演じているキラーKは、地獄の赤鬼なんだけど、人間として生きていたときの近藤さんというキャラクターがちゃんと描かれているから、切なさも含めて、演じていても合点がいくんですよ」

これだけクドカンこと宮藤監督との息もぴったりなのだから、映像だけでなく舞台でのコラボレーションも見せてほしい、と告げたときの反応がおかしかった。

「いや、ダメですよ。舞台は役者のものだと思っていて、僕なんかがやっちゃいけないとずっと考えていたから。やっぱりちゃんとした役者の方とは違うんです。うん、絶対に違う」

長瀬さんのこの意見に賛成する人などいるだろうか? こっちの分野でもぜひ私たちを裏切ってほしい。また新しい面が見られるはずだから。

『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』
同級生のひろ美ちゃんが大好きな大助(神木隆之介)はごく普通の高校生。でも修学旅行で事故にあい、死んでしまう。大助が目覚めたのは、血のような赤で染まった地獄。そこで大助はロックバンドのボス、キラーKと知り合い現世に戻るチャンスを得る。(公開日未定)

SPUR2016年3月号掲載
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心の美しい人がきれいに見える!そんな魔法に感動、の一作 

下ネタオンパレードで大ヒットした『メリーに首ったけ』(’98)のファレリー兄弟監督作。彼らの新境地が絶賛された。ジャック・ブラック扮するハルはイマイチの自分の容姿を棚に上げ、外見がきれいな女の子ばかりをナンパ三昧。そんなハルが、心の中が美しい人が絶世の美女に見える魔法をかけられる。それが100㎏超えとなったG・パルトローというのもおかしいが、最後はホロリとくる上級のラブストーリー。長瀬さん、センスいい!

Jack Black/ジャック・ブラック

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