ベルギー発の新型色男 マティアス・スーナールツ

映画ファンに気づかれたときはすでに30代半ばというのもかえっていいかも。大人の男の色気を出しつつ可能性も∞


©AFLO

Matthias Schoenaerts/マティアス・スーナールツ
父出演の舞台で子役としてキャリアをスタート。15歳でアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作『神父ダーンス』(’92)で映画デビュー。『ブラックブック』(’06)をきっかけにヨーロッパで注目され、『君と歩く世界』(’12)でセザール賞有望若手男優賞を受賞。

「役者だからもちろんさまざまな役を演じられるのは楽しいけど、SFやアクションものとはあまり縁がないから、幅は広くないのかもしれないな(笑)」

昨年9月のベネチア映画祭で『リリーのすべて』と『A Bigger Splash』のまったくテイストの違う出演作がコンペ部門に出品されたマティアス・スーナールツ。でも、この日が来るのはマリオン・コティヤールと共演した『君と歩く世界』が紹介されたカンヌ映画祭のときから予想されていた。映画の中では野卑な流れ者を演じていたのに、パシッとしたスーツ姿で記者会見に登場した彼。背は高いわ、フランス語だけでなく英語もイタリア語もペラペラだわ、で、アメリカ在住のジャーナリストに「早晩ハリウッドに狙われるのは間違いない!」と言われていたのだ。

エディ・レッドメインが世界初の性別違和である決断をする男を演じた『リリーのすべて』では知的なノーブルさが光る。一方実年齢では20歳ぐらい上のティルダ・スウィントンの恋人となり、小悪魔のようなダコタ・ジョンソンとも火遊びの〝気配〟を感じさせる『A Bigger Splash』の役どころのセクシーさといったら! ところどころ穴が開いた洗いざらしのTシャツに、ハーフパンツから伸びでた長〜い脚がワイルドで、ずっとスクリーンに目が釘づけになってしまう。

『ライオン・キング』の演出家ジュリー・テイモアが、新作映画でマティアスを主演に起用しようとしたら、プロデューサーに「まだ無名だろ」と反対されたと怒っていたが、トム・ハーディの例を挙げるまでもなく、今や私たちの目のほうが早くて確実なのは明らか。彼、もっとビッグになるぞぉ!

SPUR2016年3月号掲載
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↓↓出演作、続々!

©Zeta Images

リゾート地に暮らす年上の女(T・スウィントン)と男(マティアス)の家に、女と過去にワケありだった男(レイフ・ファインズ)が自分の娘を連れて滞在に来る。太陽に灼かれたような4 人の関係が、あるときついに爆発を迎えてしまい……。(公開未定)


©2014 SUITE DISTRIBUTION LIMITED

アウシュヴィッツで亡くなった女性作家イレーヌ・ネミロフスキーが娘に託した未完の遺作小説を映画化。第二次大戦中のドイツ占領下フランスの町、戦地に行った夫を待つ女と、彼女の家に滞在するドイツ将校との禁断の恋の行方は――。(公開中)


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1682年、フランス国王ルイ14世の命によりスタートしたヴェルサイユ宮殿の増改築。庭園建築家のル・ノートル(マティアス)は無名の女性庭師サビーヌ(K・ウィンスレット)と衝突しながらも、彼女の自由な発想に魅了されていく。(全国順次公開中)