ファッションエディター A子の一日
休日の朝8時。眠い目をこすりながらやってきた根津美術館裏手の路地には、トーストとバターの香ばしい匂いが漂っている。 つられるようにして入った「buik」①で、“小倉バタートースト”を頼む。最近、仕事がなんだかスランプぎみ。もうすぐ来月号の企画会議なのに、いいプランが全然わいてこない。そんな自分に刺激を与えたくて、まずは「Spoonbill」②へ。スタイリッシュなグリーンや花から元気をもらって、「t-b-d」③で美しいフラワーベースを買ったら、少し前向きな気持ちが戻ってきた。
次はファッションのインスピレーションを探しに行こう。 「verandah aoyama」④のアイテムは、クロスジェンダースタイルが好きな今の私の気分にぴったり。魅力的なヴィンテージアイテムに囲まれていたら、来月号の企画のヒントがひらめいた!
ランチは「&éclé」⑤で。色鮮やかなソースのかかったプレートは、 見ているだけで元気になれそう。心もおなかも満たして次に向かったのは、敬愛する「Christopher Nemeth」⑥のショップ。彼のアート作品に囲まれた空間は、リラックスできるのと同時にすごくパワフル。そのエネルギーにあやかる気持ちで、アイコンでもあるロープ柄のトートバッグを購入。
次に目指したのは、明治通り沿いの「CPCM」⑦。広い店内を見て歩くだけで、発見があって楽しい。新しいショップが絶え間なく生まれているから、この街はいつだって私をわくわくさせてくれる。「High and Seek」⑧もそんなお店のひとつ。ディレクターの夏川さんがセレクトしたアイテムを試着しながら、話はいつしか仕事の悩み相談に。私をいつもより強く、かっこよく見せてくれる服を買って、気づけば心のもやもやはすっかり晴れている。すっきりした 気持ちで再び青山通りに出て、「NEHAN TOKYO」⑨でお気に入りのバスソルトを購入。このバスソルトと、表参道の街からもらった刺激をエネルギー源にして、また明日から仕事を頑張ろう。
SPUR2016年4月号掲載
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