2016.06.29

小暮美奈子さん(スタイリスト)/Part 2: あの人が惚れ込むローカルショップ

岡山・岡山市
『ANTONYM』

足を運んで見てほしいディスプレイのセンス

どの駅からも離れていて、田畑の真ん中にあると言っても過言ではない。けれど扉を開けたその一瞬、どこだかわからなくなってしまうほど静謐で美しい佇まいの空間が広がっている。

「アントニム」は佐藤麻由子さんと夫の将司さんがふたりで始めた。アンティークのバイヤーをしている将司さんが、国内外で仕入れてきたアンティークの中から、店に合うものを選び、麻由子さんがディスプレイ。麻由子さんはアンティークのパーツからインスピレーションを得て作品を作り展示。アンティークパーツと作品とが見事に調和して、コンテンポラリーな空間になっている。

「古いパーツは、もともとの用途や、何についていたかがわからないものが多いんです。たとえば黒い木製の卵形は、実はソックスを繕うときに中に入れ形を整えるものでした。そこから発想したのが黒卵の作品。このようにかつて道具だったものが今は違った価値をもっています。時を経ると別の見え方になるのが古い道具やパーツの魅力です」と麻由子さん。

推薦者のスタイリスト・小暮美奈子さんは「ものを並べるセンス、感性が素敵。アンティークなのにとてもモダンに見えます。これは実際にお店に来て、目で見ないとわからないし学べませんね」と話す。現代アートのような空間を味わうために、わざわざここまで足を運ぶ価値がある。

Data
アントニム
●岡山県岡山市中区国府市場795
☎090(8624)1958
営:12時~18時
休:火・水曜(木曜はアポイントメントのみ)
http://antonymjournal.blogspot.jp/

photography:Mie Morimoto text:Akane Watanuki

FEATURE