『ストレンジャー・シングス』がモード界を席巻

1　ルイ・ヴィトンのショーのルック。残念ながらこちらのTシャツは非売品
2　MTVムービー＆テレビ・アワードは本作が席巻。右からケイレブ、フィン、ミリー、ノア、ゲイテン
3　ルイ・ヴィトンの新作アイテムを誰よりも早くまとったミリー
4　グッチを着てメンズファッション誌の表紙に登場したノア
5　ミリーはもはやラフのミューズ
6　このドラマでは映画や雑誌の中の’80sモードではなく、小さな町の人々の普段着を再現したところがノスタルジックで新鮮。特にキッズの兄姉たちは髪型やアクセサリー、ブラウスとセーターの合わせ方まで、卒業アルバムから抜け出したよう。その完成度に惚れぼれ

早耳クリエイターから熱烈ラブコール！

 『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のシーズン1が配信されたのが2016年7月。それから短期間での爆発ぶりは目が覚めるようだった。主人公の子どもたち5人が夏休みプロモーション・ツアーに出ると、各国のメディアで引っ張りだこになり、ルイ・ヴィトンのインスタグラムにも登場。人気の理由にはもちろん、ドラマとしての面白さがあるが、個性的でキュートな5人のキャラも大ウケしたのだ。

 『ストレンジャー・シングス』は80年代アメリカの小さな町が舞台のSFドラマ。クリエイターのダファー兄弟は自分たちの好きな80年代を見事にリミックスしたが、やはり抜群だったのはキャスティング。名作『E.T.』（’82）や『グーニーズ』（’85）にも負けない魅力的な子どもたちを集めてみせた。

　彼らを気に入ったニコラ・ジェスキエールは、ルイ・ヴィトンの’18年春夏コレクションでなんと同シリーズのTシャツを発表。ただ、このショーには5人のうちの紅一点、ミリー・ボビー・ブラウンの姿がなかった。というのもその頃彼女はカルバン・クライン バイ アポイントメントの顔となっていたから。ラフ・シモンズがThe xxとコラボしたMV「I Dare You」でも彼女はカルバン・クラインを着こなしていた。 ’17年10月、シーズン2の配信時にはミリーはすっかりファッショニスタとなり、フィン、ノア、ゲイテン、ケイレブの男子4人も雑誌のカバーを飾り、各授賞式ではカッコよくキメて登場。ほかにもフィンの姉役ナタリア・ダイアーがこの冬、プラダのクリスマス・ムービーに抜擢されている。

　80年代の映画や音楽、ファッションのよさを全部集めてアップデートしただけでなく、それをフレッシュなティーンが演じた本作。レトロなのに今っぽくて、ちょっと笑える感覚が現在のモードに共鳴したのだろう。

STORY
学校ではオタク扱いされている4人の男子。その一人、ウィルが失踪し、謎の少女が現れると残りの3人はウィルを探しながら「裏側の世界」を知ることに。シーズン2はその世界が日常を侵すスリリングな展開。出てくるクリーチャーが怖い！ キッズの兄や姉たち、ウィルの母（ウィノナ・ライダー）ら世代ごとにプロットがあって、それが絡んでいく展開もうまい。※Netflixにて独占配信中

SOURCE：SPUR 2018年3月号「白熱！ 海外ドラまとめ」
text:Mari Hagihara