ガールズドラマとファッションの変遷

1998 - 2004

セックス・アンド・ザ・シティ

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コラムニストのキャリーとその友達、ニューヨークのキャリア女子の恋愛と買い物にみんながときめいたドラマ。スタイリストのパトリシア・フィールドはストリートファッションとハイブランドをミックスさせて、新たなスタイルを作り上げた。主演を務めたサラ・ジェシカ・パーカーはこれで一躍、スタイルアイコンになった。

2006 - 2010

アグリー・ベティ

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ファッション音痴の真面目な主人公ベティ(アメリカ・フェレーラ)がきらびやかな雑誌の世界に飛び込んでいくコメディ。ダサいという設定のベティだが、目を引く鮮やかな色の奇抜なコーディネートはさすがにパトリシア・フィールド。大変身するのではなく、主人公が少しずつ成長して、微妙にセンスがよくなっていくところが面白い。

2007 - 2012

ゴシップガール

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お嬢様学校に通うセリーナとブレアという二人の親友同士を中心とした恋愛模様とドロドロした人間関係が、ゴシップサイトの目を通して語られていく。高校生なのにブランドものを着こなし、最新スポットで遊び回る登場人物たちの現実離れしたスクールライフが話題に。スタイリングを手がけるエリック・デイモンはフィールドの弟子。

2012 - 2017

ガールズ

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ブルックリンに住む作家志望のハンナを中心とする4人の女性の成長物語。インディ映画出身のレナ・ダナムが監督/脚本/主演をこなし、その後の自伝的なリアル路線のドラマのブームを生み出した。ミレニアル世代の貧乏な生活や、うまくいかない恋愛、セックスなど、今までにない語り口のストーリーが物議を醸し、大ブームに。※シーズン6までHuluで配信中

2016 -

インセキュア

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ロサンゼルスで非営利団体に勤めながらラッパーを夢見るイッサと、その友人たちの恋愛模様を描く。YouTubeで公開していたウェブドラマをきっかけにテレビで脚本/主演を務めるドラマを実現させたイッサ・レイはまさしくレナ・ダナム以降のクリエイター。今までドラマに出てこなかったLAのスタイリッシュでリアルなブラックカルチャーと、黒人キャストの肌を美しく見せるライティングでも話題に。※Huluで独占配信中

2017 -

フュード/確執 ベティ vs ジョーン

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1962年の映画『何がジェーンに起ったか?』で初共演を果たした大スター女優、ベティ・デイヴィスとジョーン・クロフォード。その撮影現場における戦いのドラマ。二人を演じるスーザン・サランドンとジェシカ・ラングの演技合戦と60年代のきらびやかなファッションが素敵だ。老いていく女の孤独をフェミニズム的な観点で描いている。※スターチャンネルで1月31日より字幕版放送予定

キャストのワードローブはまさに時代を映す鏡

 ガールズドラマとファッションの関係性を考えるうえで欠かせない作品といったら、1998年に始まった『セックス・アンド・ザ・シティ』である。パシュミナから、マノロ ブラニクの靴まで。ファッショニスタであるヒロイン、キャリー・ブラッドショーのスタイルは、現実の世界に流行を生み出した。ちょっと奇抜なスタイリングを定着させたのは、スタイリストのパトリシア・フィールドのお手柄だ。ファッション誌の世界を描いた『アグリー・ベティ』でもフィールドは仕事をしている。

 この路線をスクールガール・ファッションに落とし込んだのが『ゴシップガール』だった。お金持ちの高校生のスタイルを表現するため、制服にニーハイブーツを合わせたり、派手なヘッドドレスをつけたりするコーディネートが話題となった。現実とはかけ離れているが、そこはファンタジー。制服を脱いだら、彼女たちは最新ファッションで街に繰り出すのだ。

 きらびやかな路線に終止符を打ったのが、『GIRLS/ガールズ』だ。リーマン・ショック以降、まともな職がないニューヨークの20代の女性たちを主人公にしたドラマのファッションはぐっとリアルクローズ路線で、ファストファッションと古着を組み合わせたスタイリングが時代にマッチした。どこかバランスが悪いところも現実的だ。ロサンゼルスの黒人の女子たちを主人公にした『インセキュア』もその流れをくんでいる。登場人物たちの収入差が着ている服にも如実に表れているところが面白い。

 ファッショナブルなドラマを見たいなら、今は50年代や60年代を舞台にした作品のほうがより面白いかもしれない。『フュード/確執』はヒロインたちのドレスだけではなく、ゴシップライターのヘッダー・ホッパーの帽子にも注目を! 2017年で一番おしゃれなキャラクターだった。

SOURCE:SPUR 2018年3月号「白熱! 海外ドラまとめ」
text:Madoka Yamasaki

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