モード・インサイダーが熱烈プレゼンする、この一本!

『センス8』

▽メイクアップアーティスト Sada Itoさん オススメ

「主要キャストの一人、サン役のペ・ドゥナと仕事をしたのがきっかけで見始めたのですが、かなりハマってしまいました。人種、性別、セクシュアリティを超えた8人の仲間が、不思議な感覚でつながり、それぞれの現代的な問題に立ち向かう姿は、勇気を与えてくれます。特に、ドゥナの闘うシーンはかなり気持ちいいです。世界中の都市でロケをしていて、映像も素晴らしく感動します」

◆ウォシャウスキー姉妹のSF作品。世界各地に散らばる8人が精神的につながっていることに気づき、その状況に対処する一方、組織が彼らを捕らえようとする。アイデンティティやセクシュアリティがテーマ。※Netflixで独占配信中

『アンブレイカブル・キミー・シュミット』

▽漫画家 今日マチ子さん オススメ

「主人公のキミーは15歳でカルト教団に誘拐され地下に15年間幽閉。精神年齢15歳のアラサー。中学生ファッションが"私もそれ着てたわ……"と黒歴史を感じさせてくれます。ハードな過去を持ちながら、それが毎回ポジティブに作用して、最後は心が温かくなるのも楽しめるポイント。登場人物も魅力的。セレブ奥さまやミュージカル好きオネエなど、"こういう人いる!"がいっぱい」

◆15年間世間から隔離された後、NYにやってきたキミー(エリー・ケンパー)。彼女の「ズレ」がドタバタを生むが、犠牲者に終わろうとせず、働き、恋をし、頑張る姿にグッとくる。ブラックな笑いもあるが、その明るさに安堵。※Netflixで独占配信中

『アメリカン・ゴッズ』

▽DIGAWEL デザイナー 西村浩平さん オススメ

©2017 Amazon.com Inc.,

「映画を見るときとは違って、ドラマはストーリー重視。そのわりに『アメリカン・ゴッズ』は話がとっ散らかってますが、主人公のシャドウがわけのわからない状況に巻き込まれていく、古典的な感じがいい。途中、店頭のテレビから50年代のドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』がシャドウに話しかけるシーンでハマりました。アメリカの歴史、古さと新しさの倒錯したあり方を描いています」

◆ニール・ゲイマン原作。刑務所を出て妻を亡くしたシャドウ(リッキー・ウィットル)は謎の男に雇われ、奇妙な旅に出る。アメリカでは移民が連れてきたいにしえの神々と、現代の神々の戦いが始まっていた。※Amazonプライム配信中

『Marvel ルーク・ケイジ』

▽音楽評論家 田中宗一郎さん オススメ

「マーベルが優れているのは、スーパーヒーローものを撮るふりをして別ジャンルの映画やドラマを作るところ。本作も最初の場面からブラックカルチャー映画を再定義しようとしてる。だから全編にその引用があるし、テーマも黒人コミュニティの分断。そうした悲劇の温床が象牙海岸から続くアフロ・アメリカンの歴史だということを描いてる。主人公にヒロイズムがないところも最高」

◆アメリカで配信開始時サイトが一時ダウンしたほどの人気ドラマ。怪力と鉄の皮膚を持つルーク・ケイジ(マイク・コルター)が、ハーレムを牛耳るギャングや政治家と戦う。ブラックの音楽、映画、小説の引用にあふれた一作。※Netflixで独占配信中

『シーズ・ガッタ・ハヴ・イット』

▽スタイリスト 飯島朋子さん オススメ

「ブルックリンの中でもクリエイターたちが集うブッシュウィックに住むアーティストの女の子が主人公で、今どきのブラックカルチャーがわかるのも面白いし、何より音楽の使い方が素晴らしい。BGMで流している曲のCDジャケットをカットインさせるなど、かなりマニアックな作りに興味津々。スパイク・リーの手腕はさすがです。制作サイドの目線でもついつい見てしまいます」

◆スパイク・リー監督が自身の1986年の劇場デビュー作をドラマ化。3人の恋人を持つ女性ノーラが自分らしさを模索し、アーティストとして成長する。ここ30年で変わりゆく街、ブルックリンへのオマージュとしても興味深い。※Netflixで独占配信中

『FARGO/ファーゴ』

▽フォトグラファー ソフィ・イソガイさん オススメ

「シーズンごとに設定が変わる本作の中でも、ファーストが好き。キャラクターたちの脈絡のない会話や行動で、怖さがじわじわと迫ってくる感じが面白いんです。舞台となるミネソタ州の地域特有の訛りや、のんびりした会話が事件のハードボイルドさとミスマッチで独特の雰囲気を作り上げています。さらに、初回からずっと雪が積もっていて、その描写が圧巻の美しさ。必見です」

◆着想源は1996年の映画『ファーゴ』だが、シーズンごとに登場人物も年代も違うアンソロジー仕立てになっている。常に冬の中西部で警官や町の人々が殺人事件に巻き込まれる。シーズン3ではユアン・マクレガーが兄弟二役!※Netflixなどで配信中

『シグナル』

▽ライター 桂まりさん オススメ

©2016 Studio Dragon & ASTORY

「社会現象となった、サラリーマンのバイブル的ヒューマンドラマ『ミセン-未生-』のキム・ウォンソク監督というだけでも、見たいと思った作品です。イ・ジェフン、キム・ヘス、チョ・ジヌンと、韓国映画界を牽引する演技派が集結。過去と現在を無線機がつなぎ、未解決事件を解いていくファンタジーサスペンスは緻密な人間ドラマになっていて、韓国エンタメの本気度に触れられます」

◆プロファイラー捜査官ヘヨン(イ・ジェフン)は古い無線機から聞こえる刑事の声で未解決事件の手がかりを知る。それはへヨンの同級生が殺された15年前の事件だった。緊迫したサスペンスとエモーショナルな展開が見事。※GYAO!で配信中

『モーツァルト・イン・ザ・ジャングル』

▽ミュージシャン THE SUZAN(RIE & SAORI)さん オススメ

「アフガンストールを巻いた破天荒な指揮者を中心に、交響楽団の舞台裏をコミカルに描いていて、アメリカ版の大人な『のだめカンタービレ』として楽しめる。演奏シーンが多いのも飽きない。NYは夢追い人が集まる街だけど、楽団員も同じ。日々葛藤しながら成長する姿は、働いてるみんなが共感できると思う。住んでた場所だし自分の曲も関われた経緯があるから、特別なドラマ!」

◆ガエル・ガルシア・ベルナル演じる天才指揮者を中心に、交響楽団の人間模様やコンサートが開かれるまでがコミカルに描かれる。実際の音楽家もカメオ出演。新人オーボエ奏者(ローラ・カーク)の恋の行方も気になる!※Amazonプライム配信中

『マインドハンター』

▽ファッションライター 栗山愛以さん オススメ

「めくるめく展開のサスペンスが好みです。これは1970年代後半FBI捜査官が凶悪犯を追う中で犯罪者プロファイリングという手法を編み出す、というもの。内容に食いついて見始めたのですが、さすがデヴィッド・フィンチャー、映像がスタイリッシュ。当時のファッションやインテリアがまったく古臭く見えません。グラフィックもカッコいい。ファッション的にも満足のいく作品です」

◆デヴィッド・フィンチャー制作・監督。70年代、二人のFBI捜査官がシリアルキラーを調査し、犯罪心理学やプロファイル捜査を確立するまで。有名な殺人者と次々と面会するシーンがスリリングだ。ジョナサン・グロフ主演。※Netflixで独占配信中

SOURCE:SPUR 2018年3月号「白熱! 海外ドラまとめ」
text:Mari Hagihara

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