SPUR取材班がエストニア取材に訪れたのは6月下旬。中でも、6月23~24日にかけて夏至を祝う祭り「ヤーニパエヴ」が行われるこの時期は観光のハイシーズンとなる。雑誌が出る頃には催し物は終わってしまうため紹介できなかったが、居合わせるのも珍しい行事だったので「ヤーニパエヴ」について紹介する。
ESTONIAN OPEN AIR MUSEUM(エストニア野外博物館)
「ヤーニパエヴ」はエストニアのどの地域でも行われているが、現地コーディネーターが私たちに薦めたのは「エストニア野外博物館」。ここはタリンの中心地からタクシーで15分ほどの施設。フィンランド湾に面した広大な森の中、エストニアの古くから営まれている生活を表現するように、木造の礼拝所や風車、昔の学校、民家、手工芸品店などが立ち並ぶ。その景色はまるで18世紀のエストニアの小さな村を訪れたかのよう。ここで「ヤーニパエヴ」が行われているというので、駆けつけてみた。
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「エストニア野外博物館」での「ヤーニパエヴ」は6月23日の19時から行われる。エストニアの老若男女が伝統衣装に身を包み集まる姿は圧巻。それぞれの家に伝わるという民族衣装は地域によって、少しずつ異なるそうだが、どれもこれも可愛い! 思わず撮影をお願いすると、みなさん少しはにかんだ様子で快諾。タリンのように都心だと、伝統衣装を着ることも少ないようだが、こういうお祭りの日はみんなこぞって着るのだという。婚礼の儀式や、5年に一度の歌の祭典の時は特に華やいだ雰囲気になる。
「ヤーニパエヴ」のメインイベントは焚き火と歌と伝統的なダンス。広場では写真のように焚き火が設置され、日が暮れてきて少し肌寒いところで、暖をとる光景もみられた。街の人も観光客も、みんなが森の中に集まってきて、音楽とダンスを楽しむ光景はちょっとした野外フェスのよう。シャイな国民性ながら、お祭りの時は伝統衣装に身を包み、歌い踊る。この姿はちょっと日本の盆踊りにも近いのかも!?
会場ではクラフトビールとフードのエリアも完備。日中の取材を終えて、我々も思わず乾杯! 本誌でもご紹介したレストランを経営する地ビール会社「Saku」が一番ポピュラーなビールとのこと。さっぱりしていて、フルーティで美味しい。フードはソーセージとザワークラウトとグリルポテト、野菜の付け合わせというメニューだが、ボリューム満点。
夏至の時期は日が長く、子供たちが遅くまで遊んでいる姿を見かける。「ヤーニパエヴ」では家族連れで、楽しく過ごすシーンも。この古いブランコは特に大人気で子供達も順番待ち。大人たちは民家の前で、地元の方々がレクチャーするフォークダンスに夢中の様子。知り合いだろうが、ツーリストだろうが、ウェルカムな雰囲気なので、ぜひ挑戦を。