【rule.2】赤いスカートの伝説

"幸せの赤いスカート"の伝説を求めて、キフヌ島へ!


村一番の手仕事の名手、ローシおばあちゃんの家で 団体ツアー客に披露する伝統儀式に参加。 村の幅広い世代の女性たちが伝統衣装に身を包み歓迎する。 赤い縞のスカートにエプロンを着用すると既婚の証し

Kihnu Saar(キフヌ島)

女性たちが守り、これからも紡いでいく"生きた博物館"

本土の南端ムナライウの船つき場から約1 時間ほど。バルト海に浮かぶキフヌ島はエストニア領で、人口約600人という小さな島だ。2003年、その島の暮らしはユネスコによって無形文化遺産に選出。島の男性が遠洋漁業に出るため、女性が農業や子育て、手仕事をしながら生活を支えている。島に代々伝わる赤い縦縞織りのスカート"ク ルト"をはき、歌や踊りが生活の一部である彼女たちの姿は、まるで絵本の世界のよう。 赤は"美しさと幸福"を象徴するといわれ、不幸な出来事があった際は青いスカート姿になる。偶然居合わせた街の集会では、島の正装で結婚式の喜びを歌い、踊る姿を目の当たりに。赤に彩られた祝祭の空間は脈々と受け継がれていた。

1 森や木々など自然についての歌詞を口ずさみダンス 2 ある部屋では、スカートのベルトとして使う織り紐を作っていた。家中に手仕事の作品が並び、博物館のよう 3 若い世代が演奏を担当。時折ダンスに参加する

DATA

エストニア本土からキフヌ島へ行くには、 フェリーで。夏季のみ運航する パルヌ港からのルートと、ムナライウの 船つき場からの2種。時刻表はウェブ サイトで常時チェックを。チケットはオンラインで事前に購入しておきたい。
http://www.veeteed.com

Lohu(ロフ)

キフヌの伝統工芸土産は島最古の店を訪れるべき

母親のエッラさん、娘のアンネリさんが営む、島最古の工芸品ショップ。夏季は小さなカフェも併設される。玄関ポーチでは、ミトン作りの名手であるエッラさんが制作中。その傍らに犬のサッスと猫のペーテルが寄り添っていた。縞のスカート"クルト"はもちろん、ミトンや靴下も豊富に揃う。

4 キフヌ島ではポピュラーな黄色い家。カフェは6 〜8 月の期間限定 5 81歳のエッラさんは10歳から編み物を始めた。キフヌ伝統の柄の ミトンを3日程度で編み上げる 6 花模様のミトンは€30 7 クルトのキーチャームは€5

DATA

Lemsi küla, Kihnu vald, Pärnu
526-2086
10時〜16時 月・火曜定休
https://www.visitestonia.com lohu-shop-on-the-island-of-kihnu



Rock City(ロックシティ)

泊まるもよし、食べるもよしの名店

島には小さな店や博物館が点在するのみで、飲食店は限られた数しかない。ふらりと立ち寄るなら、宿泊施設も兼ね備えたロックシティがおすすめ。夜の22時まで開いているので、島の人々の憩いの場としても親しまれている。メニュー数も盛りだくさん。

8 淡水魚のすり身のグリルと 新鮮なポテトを添えて。 ランチセットで€10 9 エントランスのマーク 10 ハム入りパスタやジャムパンなど素朴なメニューも手軽な価格で楽しめる

DATA

Nõmme-Lennujaam, Lemsi küla, Kihnu vald, Pärnu
5626-2181
9 時〜22時
http://www.rockcity.ee


Kihnu Muuseum(キフヌ博物館 )

キフヌの伝統文化を、豊富な資料とともに学ぶ

キフヌの歴史を知りたいなら、最初にこちらを訪れたい。かつては学校であった建物を2009年に美術館として改築した。船乗りがこの島に移り住んだことから始まり、島の人々のスカート"クルト"や花嫁衣装の変遷など、独自の手仕事の歴史が一望できる。民芸品ショップも併設しているので、ぜひここでお土産を。

11家や年齢、女性のライフスタイルに よって配色が異なるクルトがずらり 12 地域ごとのミトンを網羅した展示 13 美術館は木造のレトロシックな建物。 隣に新しい学校もあり、島の人も多く訪れる 14 クルトをはいた人形€30

DATA

Lina küla, Kihnu vald, Pärnu
446-9910
10時〜14時、〜17時( 5 〜8 月)無休( 5 〜8 月)、日・月曜( 9 月)、土・日・月曜(10〜4 月) https://kihnu.kovtp.ee/web/eng/about-museum

Kastani Majutus(カスタニ マユトゥス)

可愛い母娘が切り盛りするB&B

自転車に乗れば、1 周4 時間程度で周 回できるキフヌ島だが、手仕事などを見学するうちに時間がたってしまう。日帰りだと慌ただしいので、宿泊施設はローカルな雰囲気が楽しめるB&Bにぜひ。ウッレさんとイングリさんの母娘がもてなすここは6部屋と小規模。ぬくもりのあるおもてなしを随所に感じる。

15流木を使ったモダンな テーブルメイキングが美しい 16エントランスの庭では 愛犬クロイフがお出迎え 17 黒パンにニシンのクリームをディップした前菜 18 母娘はクルトを日常のスタイルに合わせていた

DATA

Kastani talu, Linaküla küla, Kihnu vald, Pärnu
5650-0524
http://www.kastanimajutus.com
1泊€20から宿泊可能。ネットで要事前予約


Kihnu Tuletorn(キフヌ灯台)

島を静かに見守る灯台からの眺め

島の南端に位置する灯台は、北のキフヌ港から車で15分ほどの距離。ここの灯台は、エストニアの工芸品として知られるバターナイフなどを作る、ジュニパーの木に囲まれる。登り切ると展望台になっており、キフヌ島の全景を楽しむことができる。隣のお土産店では、民芸品やオリジナル石けんなども販売している。

19 展望台からの眺め。 天候が悪いと登れないため、晴れた日にぜひ 20 少しレトロで飾り気のない灯台のルックスが味わい深い。入場料は€ 3

DATA

Pitkänä lauter, Rootsi küla, Kihnu vald, Pärnu
507-1453
https://www.puhkaeestis.ee/et/kihnu-tuletorn

キフヌ島への行き方

キフヌ島へ行くなら、日程に余裕をもっておきたい。エストニア本土からフェリーに乗る航路は2種類。

①夏季のみ運航するパルヌ港から片道2時間半ほどのフェリー
②パルヌのバスターミナルから66番のバスに乗り、終点のムナライウ港から1日3、4便出ているフェリー

本誌取材時は②のムナライウ港からのフェリーを利用した。フェリー乗船のチケットはhttp://www.veeteed.comで事前購入が可能。e-ticketから「Kihnu - Munalaid」を選択して、日程を選ぶとその日の運航スケジュールが表示されるので便利。また、夏場は天候によって、時間が前後するので随時このサイトをチェックするのと、余裕をもったスケジューリングを心がけたい。島に着いたら、ぜひレンタル自転車を借りたい。

 

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