はじめての京都 Part.1

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(ユリアさん)ドレス¥170,000/マルベリージャパン(マルベリー) バッグ「ボーヴィヴィエ ストラス」¥280,000・パンプス「アイラブヴィヴィエ」¥86,000/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ) ソックス/私物

東京でのプレゼンテーションのために来日し、翌日から京都での1日半のクラフト・ツアーがスタート! 「東京は何回も訪れているけれどやっと念願の京都に来られてうれしいですね。普段から仲のいいユリアが案内してくれるということで楽しみです!」とゲラルド・フェローニ。こちらは最初に訪れた「長艸繡巧房」のチャーミングなのれんの前で。

「和装にもいいですよね」とマドモアゼル・ユリアさんが語るバッグは、シックなベルベット素材にクリスタルのバックルがジュエリーのよう。洗練された景観ともマッチする。

長艸繡巧房(ながくさぬいこうぼう)で京繍(きょうぬい)の技に触れる

伝統的な“刺しゅうのクチュリエ”を訪ねて

作家の朝吹真理子さん、デザイナーの黒河内真衣子さんからも強くおすすめされてぜひ訪れてみたかった、という1980年に創業した「長艸繡巧房」。2代目・長艸敏明さんの京繍は、斬新な色選びと、ユーモアあふれる意匠で絶大な支持を得ている。工房には貴重な能衣装や掛け軸、屏風などが並び、込められたストーリーや製法にじっくりと耳を傾けるひとときに。オペラが趣味のゲラルドと合唱団にいたこともある長艸さんが盛り上がる一幕も。「京繍の衣装をオペラのアリアで着ることもあるんですよ」と長艸さん。「とてもエレガントで繊細な針仕事が本当に美しいですね。たくさんの好きな色を見つけました」(ゲラルド)。

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(ユリアさん)ドレス¥170,000/マルベリージャパン(マルベリー) バッグ「ボーヴィヴィエ ストラス」¥280,000・パンプス「アイラブヴィヴィエ」¥86,000/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ) ソックス/私物

1 長艸敏明さん(中央)は1948年京都・西陣生まれ。背後には俵屋宗達の屏風絵を刺しゅうで表現した掛け軸「風神雷神」が。「遠く離れた国のカルチャーであっても、受け継がれる技や美学はまさにフランスでいう“サボアフェール”ですね」(ゲラルド)

2・3 能面の下にハチマキのように締めて結ぶ鬘帯(かずらおび)。主役用の金箔入りから夏用の麻素材まで。南天柄の一本を首元に当てて「蝶ネクタイにもぴったりだね」とゲラルドがアレンジを提案
4 「誰ヶ袖図屏風」の一部。紫と紅の藤がエレガント

5 能衣装の「寒暁」。糸の撚りを調整してこんもりとした積雪を表現した、静かな迫力のある一着 
6 オリジナルのローズモチーフのファブリックや造形の美しさに長艸さんも感嘆。
パンプス「アイラブヴィヴィエ」¥86,000/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ)

DATA

刺繡ギャラリー 貴了庵
京都市北区平野鳥居前町5
TEL : 075-200-4617
営業時間:10時30分~17時(最終入庵16時30分)
定休日:日曜・祝日、第2土曜
※長艸敏明さん、長艸純恵さんの作品を鑑賞、購入もできる。事前に予約が必要。入庵料¥1,000(抹茶・お菓子つき)
※写真の工房とは別の施設になります

開化堂(かいかどう)で茶筒とほっとひと息

創業明治8年の、エターナルな名品

ゆっくりと経年変化する銅や真鍮の茶筒を長年作り続けている「開化堂」。サイズや形も豊富に揃い、コーヒーや茶葉、シリアル入れなど暮らしでの用途は自由。入店後すぐ、トスカーナ生まれらしくゲラルドはパスタ缶に興味津々。「ドローイングケースを友人にあげたところ、小さくしたらパスタ用にぴったりだねと提案されて」と6代目当主の八木隆裕さん。「生産や消費のサイクルが速い今、長く愛せるものは素晴らしいですね」とゲラルドも語る。工房では10名の職人が今も創業当時からの手作業を貫き、1日で40個ほどを製作。徒歩6分の場所にある「Kaikado Café」では、さらに茶筒の魅力を堪能できる。

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「Kaikado Café」の外観。旧市電の車庫兼事務所を改装したモダンな佇まい。2016年にオープンした
8 工房を訪れる合間に「Kaikado ブレンドコーヒー」(¥850)でしばしのブレイクタイム。「今日僕が首元につけているジュエリーも1830年のアンティーク。ともに長い歴史を歩んでますね」(ゲラルド)

9 4 年の歳月をかけてPanasonicと共同開発したワイヤレススピーカー「響筒」。蓋を持ち上げるにつれて、内蔵スピーカーから音がクリアに広がっていく。「コンセプトや技術面など、試行錯誤を繰り返し完成しました」(八木さん)。手のひらで響くサウンドにゲラルドとユリアさんも夢中!「とても面白いプロダクト!」とご満悦。
(ユリアさん)ブラウス¥91,000/PARAGRAPH CO.LTD.(プラン C)

10 左は5年、右は8年使用した茶筒。蓋の開閉の具合なども年を経て変わっていく
11 6代目・八木隆裕さん。写真は本体を型にはめて金槌で叩き、正確な円形へと整えていく様子。「完成までにどれくらいのステップがあるんですか?」というゲラルドの質問には「100以上の工程を経てひとつの茶筒が仕上がります。修理もここで受けるので、大事に使えば2代、3代と受け継ぐことができますよ」と八木さん

DATA

開化堂 本店
京都市下京区河原町六条東入
TEL : 075-351-5788
営業時間:9時〜18時
定休日:日曜・祝日、第2月曜

Kaikado Café
京都市下京区住吉町352 河原町通七条上ル
TEL : 075-353-5668
営業時間:10時30分〜18時30分
定休日:木曜・第1水曜

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