はじめての京都 Part.2

細尾で美しい西陣織の世界へ

クラフツマンシップを世界に届ける

京都に由来する先染め織物、西陣織。1200年ほど前から脈々と育まれるこの伝統文化を率いるのが「細尾」だ。卓越した職人技を、新しい見せ方で精力的に発信しているのが12代目・細尾真孝さん。たとえば2019年9月にリニューアルしたばかりのテキスタイルメゾン「HOSOO」の旗艦店に併設されたギャラリーでは「4年かけて33カ所の日本各地を訪ねて探した」という美しい布のエキシビションが開催されていた。奥深いテクニックを目にして、ゲラルドのイマジネーションも膨らんだ様子。「ぜひコラボレーションしてみたいですね! 靴はもちろん、ベルベット・フィニッシュのティアラにテキスタイルを配しても美しいと思います」と構想を語った。

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(ユリアさん)ジャケット¥168,000・スカート¥75,000/PARAGRAPH CO.LTD.(プラン C) ブラウス¥91,000/ PARAGRAPH CO.LTD.(プラン C) 靴「ヴィヴテックス」¥280,000・バッグ「ティキヴィヴ」¥186,000/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ)

1 旗艦店の2階に併設された「HOSOO GALLERY」にて、歴史や風土が息づく日本各地の美しい布に囲まれて(現在展示は終了)。絣や友禅、大島紬、先に登場した長艸さんの刺しゅうが施された絹織物も。「つい本能的にさわりたくなってしまいますね」とゲラルド。さまざまな要素や美意識を昇華した布と、ユリアさんが携えるフェザーやストロー素材をミックスしたバッグが共鳴する。

2 ユリアさんの足もとは、エレガントな視点で刷新したロジェヴィヴィエのアメリカンテキサスブーツ。伝統に新たなイメージを加えるのは「細尾」のモダンなクリエーションともリンクする
3 「色の組み合わせや透ける感じがきれいですね」とゲラルドが気に入ったのは岐阜県の「紋紗」。織りと染めを組み合わせて文様に
4 アーティストの高谷史郎さんがディレクションした映像を織り機の糸に投射するインスタレーション

5 「HOSOO FLAGSHIP STORE」では好きなテキスタイルから家具やカーテンなどのオーダーもできる。ユリアさんはポーチを愛用中
6 工房にて、和紙に金箔を貼って細かくカットされた素材にタッチ
7 織りの構造によって、見る方向で異なる輝きが生まれる。「工房には自社で開発した150㎝幅の西陣織の織り機があり、すべてここ、西陣で織っているんです」(細尾さん)「そんなに大きなマシンがあるんですね!」(ゲラルド)

8 建築家の細尾直久さんが手がけた旗艦店の外観。壁はさまざまな種類の京都の泥を混ぜ、あえて人の手によるムラが残るように塗り上げた
9 最後に工房前でセルフィー!のれんを眺めて「この生地を仕立てるのに何カ月かかるでしょう? 家のカーテンにぴったり」とインテリア好きのゲラルドらしい質問も

DATA

HOSOO FLAGSHIP STORE
京都市中京区柿本町412
TEL : 075-221-8888
営業時間:10時30分〜18時
定休日:日曜

祇園ない藤で履きものをオーダーメイド

“人に合わせて仕立てる”履きもの

明治時代から続く履きものの老舗「祇園ない藤」。京都の中心部に構えた店ではオーダーメイドの相談ができる。「西洋の靴は後ろに重心があるけれど、下駄は前。足裏の硬いものを履くと、体の動かし方ががらりと変わるんですよ」と語るのは、5代目店主の内藤誠治さん。同じ“履きもの”ではあるけれど、ヨーロッパとはまったく異なるアプローチに、ゲラルドの興味も高まる。「初めて見る靴ばかり! まだ慣れませんが、快適ですね」。数々の試し履きののち、自宅の庭仕事用にレザーアッパーのサンダルを1足、オーダーメイドで2足を仕立て大満足。「内藤さん、ぜひイタリアのブランカドーロにある僕たちの工場に遊びに来てください!」とラブコールを送った。

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10 行者や登山者が履いていた、背の高い一本歯の下駄。「このデザインは斬新ですね! どうやって立つんですか?」というゲラルドに「かかとを蹴って走るのではなく、飛び跳ねるように走るんです」と内藤さん
11 ゲラルドがオーダー中。杉の「利休下駄」の台といくつも組み合わせを試して、バイカラーの鼻緒をチョイス
12 気になるデザインを試着。通常かかとが1/3〜半分ほど飛び出るサイズを選ぶ。美しく履きこなす姿を内藤さんも絶賛

13 ユリアさん好みの一足。「洒落もので日常にもよいですが、ユリアさんなら作家ものの着物と合わせてフォーマルに履くのも素敵ですね」と内藤さん。着物ではなく、人のパーソナリティを見てすすめるのが「祇園ない藤」の哲学
14 店の奥には現代の暮らしに合う履きものを提案するオリジナルブランド「JOJO」の工房が。「実は僕も以前に買ったんです」とゲラルド
15 気に入った竹の草履を試してみるも「とても美しいけれど、痛すぎる……」と断念。「茶室までの路地などで履くもの。竹の素材は多く油分を含むため藁のように崩れづらいのです。硬いので、最初は痛いかもしれません(笑)」(内藤さん) 

16 グリーンの草履は帆布に染料をかけて華やかな色に仕上げたもの。足もとのシックなプラットフォームサンダルのソールには繊細なラメ刺しゅうが施され、履く人のスタイルに添う「祇園ない藤」の手仕事とも通ずる。

ジャケット¥332,000・スカート¥233,000・シャツ¥111,000(参考価格)/トム ブラウン青山(トム ブラウン) バッグ「ソーヴィヴィエ」 ミディアム¥345,000・靴「ミニスターズ」¥140,000/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ)ソックス/私物

17 「祇園ない藤」の外観。ショーウィンドウに飾られていたミニチュアの下駄にも「もし買えるなら欲しい!」とゲラルド
18 内藤さん(中央)の後ろにずらりと並ぶのは台のサンプル

DATA

祇園ない藤
京都市東山区祇園縄手四条下ル
TEL : 075-541-7110
営業時間:13時〜18時
定休日:火曜、第2 ・4 日曜
※来店時はできれば予約が望ましい

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