5人5様の「私とバディ」。“バディ”との出会いをつくる人

幸せな生活を待つ保護犬猫たちが、生涯の家族を見つけるサポートをする。それぞれの活動のかたちとは?

保護犬猫診療と保護活動を行う病院

服部真澄さん(なないろ動物病院 院長)

以前勤務していた病院が保護犬猫の診療をしていたことから、自ら開院後もやはり保護された動物たちの診療と、里親探しのサポートをしている服部さん。「獣医だからできることもあるんです。保護団体では預かるのが難しい病気の子も、ここでなら預かれる。譲渡会は興味がある人しか行かないけれど、病院にはいろんな人が訪れるので、思わぬ縁が生まれることもあります」。犬を家族に迎えたい人は、まずは気軽に相談してみてほしい、と言う。「好きな犬種でも、その気質を知らないと『こんなはずでは』という結果になることも。行動診療科では、不安や恐怖心が問題行動に表れてしまう犬のケアもしています。しつけ教室では人間も犬も快適に暮らすためのルールを教えていたりも。特に子犬を迎えた方には、ぜひ一緒に正しいしつけを学んでほしいですね」
保護団体も増えている昨今。でも資金面をはじめ、その苦労は並大抵ではない。「保護されたのに不幸になるのは避けたいこと。地域の方たちとともに楽しく『犬猫にも好かれる病院』を目指しながら、無理なくできることに少しずつ取り組みたい。保護犬猫の新たな幸せを見つけられたら、と思っています」

5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_1

【F】悪質なブリーダーの繁殖犬としてつらい経験をした、服部先生の愛犬ちーちゃん。今は元気に
5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_2

【G】明るく心地よい院内は、オープンで入りやすい
5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_3

【H】多くの動物が劣悪な環境で飼われてしまう“多頭飼育崩壊”から保護された愛犬コール


PROFILE

はっとり ますみ●「なないろ動物病院」 院長。動物とその家族の毎日を、虹色に輝かせたいと7年前に開院。国際猫医学会からキャット・フレンドリー・クリニックにも認定。犬2匹、猫2匹と暮らす。「迎え入れるときは、性格も相性もすでにわかりやすいおとなの動物もぜひ検討して」

なないろ動物病院●住所:東京都文京区千駄木1の19の11 阿部ビル1F TEL:03-6312-7779 営業時間:9時~12時、15時~18時30分(行動診療科は隔週水曜13時~17時) 休業日:水曜午後、日曜、祝日 ※トリミング、ペットホテルあり https://nanairo-ah.com

オンラインで保護活動をサポート

佐々木優依さん(株式会社ペットキャンプ 代表)

ウェブ関連の仕事をしていた6年前、激務で心身のバランスを崩してしまった佐々木さん。「そんなときに保護した2匹の子猫とともに、自分の療養のため実家に戻ったんです。のびのびと生きている彼らの姿は、生産性と効率ばかり追っていた私の価値観とは真逆。そこに本当に癒やされ、救われたんです。だから社会復帰するにあたり、何か恩返ししたいと思ったのがきっかけです」
そしてITの力で保護活動をサポートするべく、「株式会社ペットキャンプ」を設立。「保護活動に関わる方の現状には、人間の生活が金銭的に圧迫されるほどの厳しい面が。持続可能な新しい仕組みづくりが必要だと思ったんです。当初はライブ配信型里親募集プラットフォームを立ち上げる予定で動いていましたが、新型コロナの件があり、まずは急遽オンライン譲渡会というかたちでスタートしました。私たちが最終的に目指すのは、動物も人もともに健やかに暮らせる社会。今後は収益性も考え、保護活動以外も視野に入れながら、新しい取り組みができたらと。動物とは暮らせないという人も、サポーターになってもらえたらうれしいですね」

5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_4

正式に譲渡が決まった猫たちや新しい家族を待つ犬。普段のありのままの姿を配信で届けられるのがオンライン譲渡会の強み。特に猫は生活空間以外の場所が苦手な子も多く預かりボランティアの個人宅からの配信に注力し、ストレスを軽減
5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_5


PROFILE

ささき ゆい●ウェブデザイナーとして活躍後、「株式会社ペットキャンプ」を設立。オンライン譲渡会は毎月第3日曜に開催し、次回は8月16日を予定。今後は常設カメラを置いた譲渡促進サービスも展開する。 https://petcamp.co.jp

生体販売をしないペットショップ

猪本博子さん(BETTER HALF オーナー)

東京を離れて熊本に移り住むにあたり何をするか。そう考えたときに「どこにいても、何らかのかたちで携わりたかった、犬の保護活動に関わる仕事しか思いつかなかったんです」という猪本さん。「子どもの頃の夢は『捨て犬を拾う人』だったので(笑)」。
そして、ペット先進国の店頭では、買われるのを待つ子犬はいないのに、日本だけなぜ?という長年の疑問から、グローバルスタンダードである「命を売らない」ペットショップをオープン。保護団体のサポートや近隣店とコラボしたチャリティグッズの販売も行い、今後は企業と連携した社会貢献活動も計画中。また6歳で引き取った愛犬の介護経験から、シニアやハンディキャップ犬用の介護グッズも取り揃えている。
「売れ残った子はどこに流れるのかと考えれば、目を背けたい結論にたどり着くはず。保護犬の認知は広まっても、生体販売を引き締めなければ現状は変わらない。でも悲壮感は押し出さず前向きに軽やかに、“生体販売しない日本”を目指したいんです」

5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_6

愛犬COCOは気まぐれ出勤
5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_7

足腰の力が弱った犬の介護用ハーネス。着けたまま散歩や排泄も可能。オス・メス兼用3wayケアハーネス¥5,500〜 
5人5様の「私とバディ」。“バディ”とのの画像_8

【 I 】シンプルで機能的なウェアやグッズ、オーガニックフードが並ぶ店内は犬同伴もOK


PROFILE

いのもと ひろこ●ファッション誌のエディター、コンサルタントとして活躍後、昨年7月に熊本で「Pet Shop/Shelter for DOGS-BETTER HALF」をオープン。「大きな問題も小さな歩みから。最初の一歩を踏み出すお手伝いができれば」

Pet Shop/Shelter for DOGS-BETTER HALF●住所:熊本県熊本市中央区上通町5の20 上通セントラルハイツ1F 111-B TEL:096-285-9706 営業時間:11時30分〜18時 休業日:水・日曜 https://www.better-half-dog.com

 

FEATURE