2020.11.16

海と森と人にやさしい紙パックの可能性

気候変動への影響が少ないとされ、注目される紙製容器。国産の紙パック入りナチュラルウォーターの販売を始めたハバリーズ社長の矢野玲美さんに話を聞いた。

紙パック入りナチュラルウォーターの挑戦

「以前は私も違和感なくペットボトルを消費していました。仕事で海外に行き始めて、日本にはプラスチックが多すぎると気づいたんです。ヨーロッパでは、もはやペットボトルを持ち歩くのは恥ずかしいことだという意識がありますが、その感覚は日本にはまったくない。これはまずいと思いました」

そう語ってくれたのは、今年8月から「ハバリーズ ジャパン ナチュラルウォーター」の販売を始めた矢野玲美さん。もともと、矢野さんの実家はペットボトル入りミネラルウォーターの製造業だ。社会人になって、水を扱う企業としての責任を感じるようになった矢野さんは、今まで市場になかった国産の小型の紙パック入り飲料水の販売を決意した。

紙製容器を選んだ理由は、プラスチック使用量を減らすためだけではない。原料の調達から輸送、廃棄やリサイクルに至るすべての過程における環境負荷を算定するライフサイクル・アセスメント(LCA)では、飲料容器の中で紙パックはもっとも気候変動への影響が小さいとされている。また、ハバリーズが採用したテトラパック社の紙パックは、FSC®認証を取得しており、森林保護だけでなくさまざまな観点からSDGsに貢献できる。さらに、ボトル1本の売り上げにつき1円が世界自然保護基金(WWF)に寄付される。一石二鳥ならぬ、「五鳥」の貢献ができる水なのだと、矢野さんは話す。

「これはただの水ではなく、SDGsに取り組み、循環型社会に参加しているという意思表示ツールです。コンセプトは『1本の水から世界が変わる』。まずはひとりひとりが身近な行動から変えていかないと、大きな変化は起こせませんから」

ハバリーズ ジャパン ナチュラルウォーター(330㎖)¥160(参考価格)/ハバリーズ https://havarys.jp/

おいしさと減プラを両立するアルミつき紙パック

ハバリーズの容器である、テトラパック社の紙パック「テトラ・プリズマⓇ・アセプティック330スクエア ドリームキャップTM26(330㎖)」(左)。風味を保ち、従来の340㎖入りペットボトルに比べ、プラスチックの使用量を56%削減。将来的には、再生可能資源の割合をさらに増やしたいという考えも。

森林だけではなく、 働く人々や地域も守るFSC®認証

FSC®(Forest Stewardship Council®)認証を得るには、森林資源の適切な使用・管理だけでなく、現地社会の利益や労働者の権利も守っていることが必要とされる。地球環境だけでなく、人にもやさしい商品であることの証明になるのだ。

PROFILE
矢野玲美さん

やの れみ●1993年生まれ。技術系商社に勤務したのち、家業のミネラルウォーター製造業を継ぐ。今年6月にハバリーズを創業。