クリエイターが推す! 秋の企画展リスト

各界で活躍する、アート好きな6名が太鼓判を押す展示をリストアップ。時代のムードを投影し、力強いメッセージやアティチュードを発信する芸術に触れて、未来を考えるヒントを得よう

コムアイさん(アーティスト)

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1992年生まれ。「水曜日のカンパネラ」のVO.として国内外で活動。2019年のオオルタイチとのプロジェクトでは、屋久島からオンライン公演を配信するなど多方面で活躍。Instagram: @kom_i_jp

『アナザーエナジー展:挑戦しつづける力 ―世界の女性アーティスト16人』@森美術館

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ミリアム・カーン《無題》  1999年12月29日 油彩、キャンバス 28.3×21.3㎝ 所蔵:OKETA COLLECTION(東京)

今なお世界各地で挑戦を続ける72歳から106歳の女性アーティスト16名をピックアップ。約130点以上に及ぶ、絵画、映像、彫刻、大規模インスタレーションが並ぶ。力強い作品群に込められた、アーティストたちの信念と未来へのまなざしは圧巻だ。
「老若男女がふらっと立ち寄れる場所にある森美術館。そんな特性を持つ場所だからこそ、意味のある素晴らしい展示でした。参加した作家の人生にとって、アートはどういう存在なのか、ジェンダーギャップはどれくらい埋まったのだろうか……などなど、同じ女性アーティストとしていろいろな想いがよぎりました。見終わった後には、人生頑張ろう、というポジティブな気持ちで胸がいっぱいに」

会期 / 4月22日(木)〜1月16日(日) 
会場 / 森美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mori.art.museum

安田昂弘さん(アートディレクター・グラフィックデザイナー)

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1985年生まれ。CEKAI所属。グラフィックだけでなく、デジタル領域やプロダクト、映像、空間など幅広い分野で表現する。国内外での作品発表も行う。Instagram: @takahiro_yasuda

『GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?』@東京都現代美術館

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横尾忠則《T+Y自画像》2018年 個人蔵

1960年代から常に第一線で活躍し、日本、そして世界を魅了してきた横尾忠則による過去最大規模の個展。近年制作した新作も含め、600点以上の作品から60年以上にわたる創造の全貌が放たれる。
「グラフィックデザイナーから美術家になった横尾忠則さん。学生時代に訪れた展覧会では、あまりのエネルギーに圧倒され、逃げるように会場を後にした記憶が(笑)。それから15年がたち、意を決して見に行きました。まさに圧巻という言葉に尽きます。インスピレーションはどこから湧き出てくるのか、自分自身の原点への探求とすさまじい執着心。永遠の謎を解こうとしているかのように、あらゆるテーマでアプローチしていく姿勢。〝サイケデリック"の正しい解釈を改めて教えてもらった気分になりました」

会期 / 7月17日(土)〜10月17日(日)
会場 / 東京都現代美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://genkyo-tadanoriyokoo.exhibit.jp/

横澤琴葉さん(ファッションブランド「kotohayokozawa」デザイナー)

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1991年生まれ。2015年より「kotohayokozawa」をスタート。コレクションラインのほかにも、「todo kotohayokozawa」「somebody kotoha yokozawa」も展開する。Instagram: @kotohayokozawa

『ルール?展』@21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2

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展覧会ポスタービジュアル

日常のさまざまなシーンで遭遇する「ルール」の存在と影響にフォーカス。さらに、デザインによってどのように形づくることができるのか、多角的な視点から探る展覧会だ。来場者同士で、未来の「ルール」のあり方を考えることができる場所も設けられているところがユニーク。
「正直『ルール』と聞くと、従いたくない!と、ゾッとしてしまうのは私だけではないはず。でも大丈夫。会場内では『ルール』を自分流につくり出すことができたり、グレーゾーンについて考えさせられたり。制約があるからこそ、はみ出ることができるのか! と気づかされます。規律をもとに自分と違う価値観の人がいることを知るきっかけになる、参加型の作品も。一人でも、複数人でも楽しめるのがいいです」

会期 / 7月2日(金)〜11月28日(日) ※事前予約制
会場 / 21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー1&2
03-3475-2121(ハローダイヤル)
www.2121designsight.jp/

石田 潤さん(編集者)

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Photo by Nobuyoshi Araki

ファッションを中心にアート、建築の記事を編集、執筆。編集した書籍に『Sacai A to Z』(Rizzoli社)など。現在、新しいアートメディアのローンチを準備中。Instagram: @junishida29

『クリスチャン・マークレー トランスレーティング[翻訳する]』@東京都現代美術館

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《フェイス(恐れ)》2020  コラージュ 30.2cm×30.3cm © Christian Marclay. Courtesy Gallery Koyanagi, Tokyo.

アートと音楽の交差点から作品を発表し続け、パフォーマンス、コラージュ、インスタレーション、写真、ビデオなどのさまざまなメディアを通して、音を目に見える形に変換してきたクリスチャン・マークレー。本展は、日本の美術館における、初の大規模な展覧会となる。
「古今東西の映画の時刻を示すシーンをつなぎ合わせた24時間の映像作品《The Clock》を制作したアーティストといえば、思い当たる人もいるでしょうか。クリスチャン・マークレーは、70年代から、音楽、アート、漫画、映画、グラフィティなどを素材に制作してきました。サンプリングやコラージュにより"思わぬ結合"を生み出し、人々にインスピレーションを与え続けているマークレー。その異なる世界を軽やかに横断する世界観を、たっぷり堪能したい」

会期 / 11月20日(土)〜2022年2月23日(水・祝)
会場 / 東京都現代美術館 企画展示室1F
050-5541-8600(ハローダイヤル)
www.mot-art-museum.jp/

早川すみれさん(スタイリスト)

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武蔵野美術⼤学卒業。2014年文化庁の研修員に選抜され、ベルギーでダンスカンパニーの舞台衣装に関わる。広告、雑誌、音楽、演劇など活躍は多岐にわたる。Instagram: @sumire_hayakawa_stylist

『リバーシブルな未来 日本・オーストラリアの現代写真』@東京都写真美術館

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© Polixeni Papapetrou, courtesy of Michael Reid Gallery, Jarvis Dooney Galerie

これまでにオーストラリアの現代写真表現を積極的に取り上げてきた東京都写真美術館ならではの展示。過去と未来、経験と未知、記憶と忘却、生と死など、対立するものの間を作品
のなかで自由に行き来する。その循環から、新たな視座、可逆的な思考へと導く、写真・映像表現が映し出される。
「展示に参加しているポリクセニ・パパペトロウの作品は、惜 しくも、2018年に他界したことをきっかけに知りました。弁護士として働いた後、子育てをしながら写真を学んだという彼女。メルボルンを拠点にサブカルチャーを感じる被写体だけではな
く、自身の子どもをモデルに制作している点も素敵なんです。本展では理想と現実、希望と絶望の間をさまよう気持ちに。また、子どもの頃、よくその狭間で自由な想像を膨らませていたことを思い出しました。少し恐ろしい童話の世界です」

会期 / 8月24日(火)~10月31日(日)
会場 / 東京都写真美術館 3階展示室
03-3280-0099(ハローダイヤル)
https://topmuseum.jp/

林 里佐子さん(OIL by 美術手帖ギャラリーマネージャー)

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1987年生まれ。2016年より『美術手帖』にて編集者を務めたのち、’19年より現職。OIL by 美術手帖ギャラリー(渋谷パルコ)では10月3日まで榎本マリコの個展を開催。Instagram: @risako_hayashi

『柳宗悦没後60年記念展「民藝の100年」』@東京国立近代美術館

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ポスタービジュアル(《羽広鉄瓶》  山形県 1934年頃 日本民藝館)

さかのぼること100年も前に、柳宗悦、濱田庄司、河井寬次郎の3名がつくり出した新しい美の価値観「民藝」。柳らが日本各地で収集した陶磁器や染織、木工、籠やざるなどの暮らしの道具類や大津絵といった民画のコレクションなど400点以上を一挙に展示。
「約100年前に登場した『民藝』は『民衆的工芸』を略した言葉でした。当時、ファッションではモガモボが大流行していた時代です。そんな都会のモダンな文化とは対照的に、何げない日常のなかにこそ、美が宿っているということを情熱的に推し進めた人々がいたのです。彼らの思想は、現代に照らし合わせても、エモーショナルな魅力を感じませんか? ニューノーマルも定着しつつありますが、本当に大切なものについて考えるのにいい機会になりそう」

会期 / 10月26日(火)〜2022年2月13日(日)
※会期中一部展示替えあり 会場 / 東京国立近代美術館
050-5541-8600(ハローダイヤル)
https://mingei100.jp/

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