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アメリカではオスカー候補作がほぼ公開されたが、現時点では『ダンケルク』でついにクリストファー・ノーランがオスカーを獲るのでは!? という声が高い。ただ、2017年は『ラ・ラ・ランド』(’16)を制して『ムーンライト』(’16)が作品賞を受賞したように、2018年のオスカーもまだその行方がわからない。今回も大作とは言えないが、現代社会を映し出し観客の心を直撃するような傑作が多く誕生しているからだ。
たとえば、『スリー・ビルボード』。オスカーの前哨戦が始まるトロント映画祭で観客賞を受賞! 警察対一市民の闘いが描かれているが、最後に希望を与えるところがポイントだ。さらに、オスカー史上最高の3冠を獲得したダニエル・デイ=ルイスが、ポール・トーマス・アンダーソン(PTA)監督とタッグを組み、50年代のクチュリエの恋愛物語を描いたとなればまさかの4冠? と大騒ぎだ。
また、観た人たちの心をきゅんきゅんさせているのが『君の名前で僕を呼んで』。17歳の少年が24歳の男性と初めての恋に落ちていく様が描かれているのだが、美しくて切なくて泣けるのだ。ティモシー・シャラメが新人ながら主演男優賞にノミネートされるのではと言われている。
そして現在主演男優賞に一番近いのが、ゲイリー・オールドマン。彼が英雄ウィンストン・チャーチルになりきる様が見事すぎる。オールドマンがすでに引退していた特殊メイクアーティストの辻一弘に「君にしかできない」と特殊メイクをお願いした、という逸話も素敵すぎる。すでに混戦のオスカー最前線。乞うご期待!
『スリー・ビルボード』
F・マクドーマンドとS・ロックウェル、W・ハレルソンの演技対決に感動。娘を殺された母が捜査を巡り警察と闘い3つの看板を立てるブラック・コメディ/人間ドラマだが、どちらが勝つかではなく人がどこまで変われるのかが描かれているところがいい。痛快に笑えるのも絶賛の理由だ。(2018年2月1日公開)
©2017 Twentieth Century Fox
『ファントム・スレッド』
ダニエル・デイ=ルイス演じるデザイナーが、ミューズに夢中になり才能が揺らぎ始める。1950年代の英国社交界を舞台にした今作、着想源のひとりはクリストバル・バレンシアガだそう。PTA監督は「普通の恋愛物語ではない」と語り、デイ=ルイスがこれで俳優引退を宣言しているなど話題が満載。(2018年5月公開予定)
©amanaimages
『君の名前で僕を呼んで』
17歳の主人公エリオを演じるティモシー・シャラメが可愛すぎて目が釘づけ。イタリアの避暑地を舞台に、彼がアーミー・ハマー演じる24歳の青年と恋に落ちていく様が描かれる。多くの初恋がそうであるように、心が張り裂け泣けるのだ。男性同士ということを超えた普遍的な恋愛物語。(2018年4月公開予定)
©Sony Pictures Classics
『ウィンストン・チャーチル〜ヒトラーから世界を救った男』
『ダンケルク』は兵士が救出されるまでの物語だったが、こちらはウィンストン・チャーチルが彼らをいかに救ったのかを描いた物語。冒頭からチャーチルを演じるのがゲイリー・オールドマンということを忘れてしまう名演。こんな英雄が実在したということ自体が、希望のメッセージを投げかける。(2018年3月公開)
©amanaimages
SOURCE:SPUR 2018年2月号「2018年の#INSPOを探せ」
text:Akemi Nakamura
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