ユ・セリ(유세리)さん/素材や釉薬と対話したモダンな陶芸【クラフト作家を訪ねて】

ユ・セリ(유세리)さん/素材や釉薬と対話の画像_1

土の配合や釉薬の調合は、土とのコミュニケーション。その実験の記録をデータ化し、ストックしていく。「地道な作業ですが、きれいな色が出ると本当にうれしい。このグリーンもお気に入りですね」と、自身の作品を手に語るユ・セリさん

気鋭の作家が生み出す、神秘的なセラミックワーク

新進気鋭の若手陶芸家として注目を集めるユ・セリさん。作家活動をしつつ、ソウル大学で陶芸を学ぶ大学院生として、後輩のサポートや論文の準備と忙しい日々を送っている。活動の拠点である大学の美術棟の周りは四季折々の自然があり、雄大な山々も目の前に。ソウル大学のキャンパスの中でも最も美しい場所として知られている。この豊かな環境は、作陶に多くのインスピレーションを与えている。

巨大なシェルフに並ぶセリさんの作品は、白磁にソフトな色彩で模様を施しているのが大きな特徴だ。特にマーブル模様の作品は、神秘的なムードすら漂う。「まるで惑星の軌道のようですよね。白磁土と着色した粘土を混ぜ合わせてろくろで回しながら、ナイフで削ると美しいマーブル模様ができるんですよ」と実際に披露してくれた。

「土と土を混ぜ込む作業はクッキー作りのようで、楽しいんです。マーブリングを取り入れる作家の方は多いからこそ、自分だけのマーブル模様を求めて、試行錯誤を続けています」

ソウル大学の美術棟には、釉薬の配合と仕上がりの色を細かく記した大量の陶磁ピースがストックされており、いつでも手に取って確認することができる。このようなデータを参照しつつ、自分の表現したい色を追求できるのはアカデミックな環境ならでは。思い描いた発色やテクスチャーが得られたときは、喜びもひとしお。一つひとつの作品を手に取って、ほほえみかけながら説明するセリさんの姿が印象的だ。そして、棚の向かい側のテーブルにあるのが白磁の茶器(4)。

「型に縛られず、自分の作りたいように作れるのが茶器です。白磁土をこねながらままごとをしているような気持ちになれますよ」

Instagram(@seri_ceramic)のDMや展示会場で購入できるほか、延南洞のカフェ1994 SEOULでもセリさんの器で伝統菓子を供している。

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1 (右から)マーブル模様のシリンダー(小)₩360,000・2トーンのコントラストが美しいボウル(大)₩550,000・ざらざらした質感が特徴的な淡いグリーンのフラワーベース₩240,000・円筒型のシリンダー(大)₩450,000・(小)₩120,000
2 テスト用の陶磁ピース
3 アトリエには制作中の作品が並ぶ
4 白磁の茶器セット₩160,000〜₩200,000

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5 ろくろで回しながら表面を削ると、"惑星の軌道"が現れる

 

PROFILE
 ソウル大学校デザイン学部陶芸専攻を卒業、同大学院に在学中。茶器、食器、オブジェなどを制作。李朝白磁を現代的に解釈した作品が得意。2024年2月にソウル大学5人展『WE; BUILD UP』など団体展などに参加。2月にはドイツのミュンヘン『TALENTE2024』に出品。5月30日〜6月2日にはソウルのCOEXで『国際茶文化大展』に参加予定。

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