先日、「COVID-19危機はメンタル・ヘルスにどう影響しているか」という海外のポッドキャストを聞きました。実際、いまは身体の健康だけでなく、精神の健康を保つのも大事。結構大変ですよね。そのポッドキャストでは、いまの状況に大きな不安を感じている人が実行していることとして、「一日に小さな目標を作って、それができればよしとする」「午後6時以降はニュースを見ない」を挙げていました。特に後者は役立ちそう。私も最近夜はテレビ、PC、スマホを消して、(フィジカルの)本を読む時間を作っています。完全オフラインになってはじめて、少しゆとりが持てる気がするから。
なのでもしかすると、配信で映画やドラマを観る時間は前より減ったかもしれません。それでも、『愛の不時着』はやっと完走! みんながこの韓国ドラマにハマる気持ち、よくわかりました。韓国財閥の娘と北朝鮮の兵士の叶わぬ恋。38度線が分ける二人の世界の違い、その統一の夢こそ、現実に存在するファンタジーなんですよね。政治やサスペンス、コメディを全部取り込んで一大ラブロマンスにする、韓国のエンタメ・パワーにも圧倒されます。
いまはその熱も冷めやらぬ間に、金曜と土曜に更新される『ザ・キング』を見ています。一挙配信ではなく、週に二話のペースがいい感じ。このドラマは『愛の不時着』と共通するところがいろいろあるのですが、「別世界」をもう一歩進めて、パラレルワールドにしているのがミソ。大韓民国とは別に、大韓帝国という世界線があり、そこから若き皇帝が白馬に乗ってやってくるのです! 彼が愛するのはソウルで働く女性刑事。SF風味ですが、やっぱり政治とサスペンスがたっぷり混ざったラブストーリーで、今後時空を超えてどう展開するのか楽しみ。皇帝と近衛隊長の関係も気になります。
あと細かいんですが、『愛の不時着』にせよ『ザ・キング』にせよ、フライドチキンが美味しそうな場面がなんども出てくるのはなぜ? お約束? それともチキンをみんなに食べさせようとする陰謀? 韓国映画『エクストリーム・ジョブ』を見たときも、「焼肉のタレをつけたチキン」が食べたくなって困ったのに。『ザ・キング』では、女性刑事の生きがいが「仕事のあとのチキンとビール」なのです。うーん、私も外に出られるようになったら、揚げたてのチキン食べるぞ! それがいまの小さな目標。韓国ドラマにはかなり元気をもらっています。
『ザ・キング:永遠の君主』
脚本/キム・ウンスク
出演/イ・ミンホ、キム・ゴウン、ウ・ドファン
Netflix独占配信中
『愛の不時着』
脚本/パク・ジウン
出演/ヒョンビン、ソン・イェジン
Netflix独占配信中
『エクストリーム・ジョブ』
監督/イ・ビョンホン
出演/リュ・スンリョン、イ・ハニ、チン・ソンギュ
本誌で映画のレビューを手がける。ライター、エディター、翻訳もこなす。趣味は散歩と、猫と遊ぶこと、フットボールを見ること。