【マリウス葉の一歩ずつ進もう】フードロスはなぜ起こるのか?「#ごちそうさまチャレンジ」に参加しよう!【WEB限定カットあり】

マリウス葉 One step at a time

「傷んだ果物や野菜を捨てない、余った食事はテイクアウトする」とフードロスが出ないように日々気をつけているマリウスさん。フードロスの対極にある飢餓問題とともに考えた

マリウス葉さんからのメッセージ

マリウス葉さんからのメッセージ

[ 翻訳 ]

世界の飢餓

11人に1人が飢餓に直面している一方で、全食品の5分の1が廃棄されている。

日本では、国連WFPが援助する食品の1.3倍も毎年廃棄されている。

世界の飢餓は、紛争、気候変動、ジェンダー不平等によって引き起こされている。

賢く買おう、残り物を使おう、そして#ごちそうさまチャレンジに参加しよう。

【マリウス葉の一歩ずつ進もう】フードロスの画像_3

M:MARIUS
S:SPUR


S:今月のテーマは、近年問題になっている「フードロス(食品ロス)」です。食べ残しや売れ残り、賞味期限切れなどで、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことですね。マリウスさんがこの問題に興味を持った理由を教えてください。

M:2020年にSPURの対談連載で、その年のノーベル平和賞を受賞した国連WFP(国連世界食糧計画)の方とお話ししたのがきっかけです。国連WFPは、世界中の紛争地や災害地に食糧支援を行なっていて、まさに命懸けで活動しているんですね。

S:確かガザでも、支援にあたっていた車両が銃撃されることがありましたね。

M:そうなんです。でも世界の飢餓は深刻で、国連WFPによると地球上では今も11人に1人、最大7億5,700万人が飢えに苦しんでいる。一方、世界では、生産された食べ物の5分の1が廃棄されています。日本も「フードロス」大国の一つで、1年間に国連WFPが支援する食品(370万トン)の約1.3倍も廃棄されていることを知りました。

S:非常にもどかしい状態ですね。

M:こういうことを知ると、フードロスへの意識が高まると思うので、まずは飢餓の現実について僕が学んだことをお伝えしたいと思います。飢餓に陥る理由は主に3つあって、1つ目は紛争です。民族紛争や戦争によって土地を追われるなどで、食料の生産や運搬が難しくなる。急性飢餓に苦しむ人の70%は紛争の影響を受けている地域の住民です。

飢餓の原因の2つ目は気候変動です。洪水、台風、山火事、砂漠化など、自然災害が多発して農業生産が停止してしまうというものです。世界の飢餓人口の80%以上が災害多発地域に住んでいて、さらに世界の人口の40%が、気候変動に脆弱な地域に住んでいるので、これから異常気象による被害はますます広がるんじゃないかと。

S:日本でも明らかに台風や洪水が増えていて、農業にも影響が出ていますね。

M:そう。以前、台風被害で北海道のジャガイモの生産量が減少して、ポテトチップスが生産中止になったりしましたよね。

S:日本にいるとまだ他に食べるものがあるような気がしていますが、決して他人事ではなく、明日はわが身という気もします。

M:そして3つ目の原因が、意外かもしれないけれど、ジェンダーの不平等による飢餓なんです。世界の約3分の2の国で、女性は男性よりも餓死や栄養不足に苦しんでいるというデータがあります。立場の弱い女性は食料の確保が難しくて、世界の飢餓人口の60%が女性と女児なんです。

S:日本でも食べるものがないほど貧困状態に陥るシングルマザーの家庭が増えていますよね。それを考えると、ジェンダー不平等による飢餓というのは想像できますね。

M:こうした飢餓の問題とフードロスがどうかかわっているかですが、まずフードロスに関連する二酸化酸素の排出量は、年間37億トンで、これは世界全体の温室効果ガスの排出量の8%に相当します。つまりフードロスを減らすことができれば、地球温暖化対策にもなって、異常気象も減るかもしれないということです。

S:2つ目の飢餓要因の対策に直結しますね。

M:それから、もしすべてのフードロスを回収することができれば、飢えに苦しむすべての人に2回分のご飯を提供できるといわれています。たとえば余ってしまったお米を子ども食堂に寄付するとか、余剰食品で被災地に必要とされるものがあるなら届けるとか、まずは身近なところから、フードロス削減を実行してみることが大事なんじゃないかと思って。

S:そうですね。フードロス削減は、日々の暮らしの中で実行できることもあるのがポイントですね。

M:そうなんですよ。そんなことをやっても世界の人たちを救うことはできないから意味ない……と言う人もいるけれど、そういう冷笑主義は本当によくないと思う。今、自分が恵まれているのだとしたら、過酷な状況に陥ってしまった人たちに少しでも関心を寄せることが、人間の責任だと僕は思います。善意ある行為は相手のためだけではなくて、きっと自分の人生も豊かにしてくれると思います。

S:そんな中、マリウスさんは、2023年に続いて、国連WFP協会が主催するSNSキャンペーン「#ごちそうさまチャレンジ」でアンバサダーを務めるんですね!?

M:そうなんです。アンバサダーのひとりとして僕もまた参加します。このキャンペーンは、「#ごちそうさまチャレンジ」のハッシュタグをつけてXやFacebook、インスタグラムにアクションを投稿すると、途上国の子どもたちの学校給食の支援になるというものです。

M:食品ロスに配慮した行動に関する投稿をお願いしているんですが、何を買うか、何を作るか、何を食べるかなど、日常の小さな行動が食品ロスにつながっているんです。それこそ完食したお皿とごちそうさまのポーズでもいいし、フードロスをなくすためのアイデアなんかもウェルカムです。

S:クリスマス、お正月、節分、バレンタインデーなどイベントが多い時季だからこそ、意識を高めたいですね。でも、投稿するだけで、どうして給食支援が可能に?

M:このチャレンジには、日本を代表する食品会社など20社以上が協賛しているんですね。その協力企業から1投稿につき、給食5人分(150円)が寄付されるという仕組みです。また、キャンペーンアンバサダーの投稿をシェアするだけでも、1拡散につき学校給食1人分(30円)の寄付になります。前回は50万人分の給食が届けられたので、今回はそれを超えたいです。期間は2025年2月16日まで。皆さん、ぜひ投稿&拡散をお願いします!!

S:はい! こういうアクションから、つい頼みすぎたり買いすぎたりしてしまう無自覚な行動を変えていきたいですね。

M:「いただきます」「ごちそうさま」とか、「もったいない」という言葉って、日本独特で、すごく素敵だと思うんです。自然の恵みに感謝して食べ物をいただくということをいま一度、かみしめながら日々を過ごしたいなと思います。

今月のsnaps

マリウス葉
僕のメガネ越しに見えるブルックリンの朝日をシェア 

今月もマリウスさんはニューヨークへ。忙しい日々を過ごしています。

ニューヨークのハイラインの壁
ニューヨークのハイラインの壁に、Rosana Paulinoの新しいアートが描かれました
マリウス葉 「Kapital」のシャツとジャケット
最近とても気に入っているブランド「Kapital」のシャツとジャケット

WEB限定! マリウス葉さんの撮り下ろしカット

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マリウス葉プロフィール画像
マリウス葉

2000年、ドイツ生まれ。幼少期を父の出身地のハイデルベルクで過ごす。元タカラジェンヌの母の影響で歌や踊りのレッスンを始め、11歳のとき、アイドルグループのメンバーとしてデビュー。2022年12月、芸能活動を引退。2024年7月、スペインの大学を卒業した。

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