2018.01.14

少女と大人のはざまでどんな夢を見る? Grace VanderWaal ( グレース・ヴァンダーウォール)

interview & text:Hiroko Shintani photography:Takako Noel


ウクレレとの出会い

噂のウクレレ・ガール、グレース・ヴァンダーウォールは、最愛の楽器との出会いをこう振り返る。「理由はうまく説明できないんだけど、初めて手にした2年前、11歳のときに、"これだ"と確信したの。ウクレレと出会ってなかったら、今の私はなかったわ。それまでも歌は大好きだったけど、真剣に音楽と向き合うきっかけになったし、私の中から曲を引き出して、胸につかえていることに言葉を与えてくれるの」

 その後間もなく、アメリカで大人気のオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」に応募したグレースは、ウクレレの弾き語りで披露したオリジナル曲で世界中を虜にして、見事に優勝。辛口の名物審査員にも、「君は次のテイラー・スウィフトになれる」と絶賛されたものだ。そして2016年末にデビューして以来、地元で学校に通いながらミュージシャン活動をするという、多忙な日々を送っている。


姉からのインスピレーション

「デビューからの1年はすごく刺激的だった。でも、変化のペースに圧倒されてもいるわ(笑)。私みたいな状況に置かれると、環境の変化に耐えられる強さがあるのかが人間として試されると思う。それに、『アメリカズ・ゴット・タレント』の優勝者として期待にもこたえなくちゃいけない。そんな中で自分を失わずにいるのは大変だけど、いつも家族がそばにいて私を支えてくれているの」
 先頃リリースされたファーストフルアルバムを『JUST THE BEGINNING』と命名したのも、彼女が常日頃から頼りにしている3つ年上の姉なのだそう。「今まさに出発点にいて、この先もずっと音楽を作り続けるつもりでいる私にぴったりのタイトルだと思った」とグレース。そこから聴こえるのは、生意気なくらいに自分を主張したり、率直に疑問を投げかけて、身近な関心事を歌う曲の数々だ。まだ磨かれていないナイーヴな歌声と強い意志に貫かれた歌詞が生むギャップは、14歳という微妙な年頃を物語っているようでもある。


ポスト・ミレニアル世代に言いたいこと

そんな彼女、ポスト・ミレニアル世代を象徴するアーティストになると目されているのだが、同世代について聞いてみた。「私の世代って、過激な発言をしたり、セクシーに振る舞ったりして、ソーシャルメディアで注目されることしか考えていない子が多すぎる。才能とハードワークで評価を得るという選択肢があるってことを、みんなに知ってもらえたらと願っているわ」と遠慮なく苦言を呈するところがまた頼もしい。

 


編集Iのインタビューのぞき見話

★インタビューでは14歳とは思えないほど大人びた印象だったけれど、ときたま同行しているお母さまに「ママ、あれってなんだっけ?」と声をかけるときには少女の表情に!

★カメラを向けるとピースをするところはやっぱりティーンエイジャー!こちらは現場で撮ったポラロイド。

★終始元気いっぱいだったグレース。撮影が終わると突然大きな声で童謡を歌いだす一幕も。

INFORMATION

『JUST THE BEGINNING』
グレース・ヴァンダーウォール

(¥1,920/ソニーミュージック)

11月に発売したファーストフルアルバム。当初は弾き語りで歌っていたが、本作ではバンドサウンドやエレクトロニック・ビートも用いて、趣向を凝らしたウクレレ・ポップ集に。

Profile

2004年、ニューヨーク州サファーン出身。2016年にオーディション番組「アメリカズ・ゴット・タレント」で優勝し、EP『Perfectly Imperfect』でシンガー・ソングライターとしてデビューした。先頃トップモデルたちが所属する事務所IMGと契約したばかり。

SOURCE:SPUR 2018年2月号「SPUR Loves...」

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