UMMMI./うみ
1993年東京都生まれの映像作家。これまでに、愛、ジェンダー、個人史と社会をテーマに作品を発表。ファッションブランドとの仕事の傍ら、MVや映画なども制作。
vol.3 社会とのバランスで見いだす自分の居場所
ハトリミホ
東京都生まれのミュージシャン。1994年に渡米後、Cibo Mattoとして活躍。現在もNYを拠点に国内外のさまざまなアーティストとコラボレートしながら活動中。
ハトリミホ
Caroline International
コロナ禍で制作されたソロアルバム。異世界と日常が交差する混沌とした現代。その中で自分の居場所を見つめ、アイデンティティを思考していく、インスピレーションにあふれた一枚。Apple MusicやSpotifyなどで配信中。
UMMMI.(以下U) 90年代からNYに住むミホさんは、9.11やリーマンショックなどを経験していますが、新型コロナウイルスの蔓延、BLM運動、大統領選が続き、アメリカがこれまでにないくらい揺れていたと思います。そんな状況下で、リリースした最新作『Between Isekai and Slice of Life 〜異世界と日常の間に〜』は、どんな気持ちで制作をしたのでしょうか?
ハトリミホ(以下H) パンデミックが起きて、実際に人との接点が少なくなって、情報の偏りが大きくなったよね。それがきっかけで、政治や人種問題など、あらゆることが炙り出された気がする。いろいろな問題が社会で複雑に絡み合うなかで、そのしがらみや、他者と自己から、自由でありたい。そう思って、世の中とバランスを取ることを示唆する"Between"をタイトルにつけたの。
U 社会にはさまざまな意見があるから、多くの視点を勉強し、社会と自分の位置を確認していく作業がとても大切だと思います。アルバムのコンセプト、詩人エドゥアール・グリッサンの「アイデンティティは、ルーツではなく関係性で変えられる」という言葉も、世の中に対する問題意識とつながっているなと思いました。人間は、生まれたときから誰かの支えがないと生きていけなくて、そこから社会構造が始まった話を思い出しました。
H 人と関係性を築くことで、コミュニティは形成されていくよね。
U 最近、アート業界はコレクティブで活動する人たちが増えた傾向にあるなと感じます。ミホさんもいろいろなアーティストとコラボしていますよね。
H ある意味、それも社会のカタチのひとつだよね。私は、音楽を通して自分やリスナーもフレキシブルな空間をつくって、一緒に学んでいけたらいいなって思っているの。そこで面白い和音が生まれて、新たなコミュニティができれば、人生がより楽しくなると思う。
U "アタシたちの砦"のような意識で作品を作ってきました。だから、作品を発信し続けていくことで、自分と同じような状況や考えを持つ人に、「あなたもここに居て大丈夫だよ」と励ましたり、寄り添える存在でありたいです。
Monthly Pick-up
Luca Yupanqui
¥2,420/Big Nothing
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SOURCE:SPUR 2021年6月号「UMMMI.の社会とアタシをつなぐ音」
text: Fumika Ogura(interview), Hiroko Shintani(review) edit: Ayana Takeuchi