【グッチ】の無限のエネルギーと最高峰のクラフトマンシップを体感できる展示 #105 #GucciCosmosKyoto

京都の紅葉よりも一足早く、京都市京セラ美術館が深みのある赤色に染まり、『GUCCI COSMOS』展が始まりました。100年以上にわたる歴史を持つ至高のブランド、グッチが日本にはじめて紹介されて60年という節目を迎えた2024年。グッチと日本の関わりや共有している文化的価値観、これまでのブランドの歴史やアーカイブを一望できる展示が行われています。

京都の紅葉よりも一足早く、京都市京セラ美術館が深みのある赤色に染まり、『GUCCI COSMOS』展が始まりました。100年以上にわたる歴史を持つ至高のブランド、グッチが日本にはじめて紹介されて60年という節目を迎えた2024年。グッチと日本の関わりや共有している文化的価値観、これまでのブランドの歴史やアーカイブを一望できる展示が行われています。

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ホースビットはグッチの象徴的なデザイン。馬のハミ具がここまで洗練されたモチーフになるとは……。

「Time Maze」は、グッチのアイテムが万華鏡のように円形に展示されているゾーン。ブランド創設者グッチオ・グッチにはじまり、歴代のクリエイティブ・ディレクターの名品が並んでいます。

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グッチ アーカイブのフローラ プリントのシルクスカーフ

引き出しにはスカーフが収められていたり、時間を忘れて引き込まれるアーカイブです。珍しいものでは、グッチのGGパターンが一面に入ったダイビングのフィンや、ピンクのギターケース、ドラえもんコラボもさり気なく展示。ヘラクレスの顔がモチーフのネックレス、うずらの形のソルト&ペッパーケースなどもありました。クリエイティビティと最高の技術が融合しています。

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黒くておしゃれなグッチのフィン。GGパターンが海の中でも目立ちそうです。
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鞍を馬に固定する腹帯からインスピレーションを得た「ウェブ ストライプ」。1950年代からずっと古びないデザインです。
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「Zoetrope」の部屋では 定期的に迫力ある馬の映像が流れ、没入体験ができます。馬好きは必見です。

グッチといえば上流階級のたしなみである乗馬の世界とのつながりも根強いです。乗馬のモチーフが時を経てブランドのシンボルになることも。馬とブランドの伴走のハーモニーを感じさせるのが 「Zoetrope」 のコーナーです。「ホースビット」のデザインは馬の口に噛ませる「ハミ」をヒントに考案されました。馬蹄(ホースシュー)にとどまらず、ハミに着想を得るとは視点が違います。グッチのホースビット ローファーは、永遠の憧れのアイテム。この展示室は、古い映写機 「Zoetrope」 のように、時折走る馬の映像が投影され、蹄の音や「ヒヒーン」といういななきが流れ、乗馬の世界観に没入できます。

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「Zoetrope」 の乗馬モチーフのコーナーにはアイコニックなホースビットがあしらわれたウエアも展示。
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グッチのコレクションをまとったマネキンが並ぶ「Echoes」のコーナー。年代順ではなく、カラーや直感で配置。左手のグリーンドレスはテイラー・スウィフト着用。

「Echoes」 は1970年代から現在までのグッチのコレクションルックが並んでいて、動かないまでもファッションショーを眺めているようです。この中には、2024年のゴールデングローブ賞授賞式で、テイラー・スウィフトが着用したグリーンのグリッタードレスも展示されています。おそらく他のドレスもそれ相応の方が着用したのだと思うと、セレブの残留オーラを吸収できそうです。

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「Leisure Legacy」コーナにあった、グッチのピクニックセット。貴族的な雰囲気が醸し出せそうです。

 グッチはレジャーというジャンルでも幅広く展開しています。「Leisure Legacy」はレジャーやスポーツとファッション、そしてアートの競演を楽しめるコーナー。ピクニックセットやテニスバッグ、ゴルフバッグ、乗馬用の鞍といったスポーツやレジャーにまつわるアイテムが並んでいるだけでなく、それらをモチーフとした、京都市京セラ美術館収蔵の芸術作品も展示されていました。日本とイタリアのセンス融合のような企画です。

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乗馬の鞍と、京都市京セラ美術館所蔵の菊池契月による馬モチーフの作品。合成させて脳内乗馬を想像できます。
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グッチのアイコンでもある「グッチ バンブー 1947」バッグ。スエードやレザー、キャンバス、ラフィア、サテン、ベルベットなどこれまで様々な素材で作られてきました。

 「Bamboo」は、竹林のような空間に、壁から「グッチ バンブー 1947」バッグを持った手が出ている、という幽玄でスピリチュアルな演出が目を引きます。どんなデザイン・素材でもバンブーのハンドルがマッチしています。「グッチ バンブー 1947」バッグの製作風景を垣間見ることができるVR動画もありました。職人がバンブーに炎を当てて、一個ずつ丁寧に曲げていました。その炎の映像が、そのまま物欲の炎になって心に引火したようです。

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「Red Threads」に展示されていた、トム・フォードによる赤いレザージャケットが目を引きます。

「Red Threads」の部屋には、これまでグッチで象徴的に使われてきた赤い色のウェアやアクセサリーなどを展示。アレッサンドロ・ミケーレの華やかな赤のクラッチバッグや、トム・フォードデザインの鮮やかな赤い財布、サバト・デ・サルノによる、深い赤のロングビーズのフリンジがあしらわれたイブニングスカートなど、赤のバリエーションに驚かされます。赤いものを身につけると元気になる、という健康法がありますが、グッチの多様な赤は、鮮やかな動脈血から、深い赤の静脈血まで働きかけ、体中の血の巡りが良くなるようです。赤は生命力の色。体内に赤い血潮が流れる人間は、誰でも赤い色が似合い、赤に惹かれるのは自然な流れなのでしょう。その中でも「グッチ ロッソ アンコーラ」の深い赤は、これまでありそうでなかったシックで大胆で洗練された色合い。胎内を想起させるのか、この深い赤に包まれたくなる不思議な魅力があります。


赤色のゲートで始まり、最後も赤の余韻で展示はしめくくられました。これはただの展示ではなく、グッチと運命の赤い糸で結ばれる儀式のような空間でした。
   

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赤の中でも「グッチ ロッソ アンコーラ」は上品で大胆で、新鮮さもあり、今までありそうでなかった色に感じられます。
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『GUCCI COSMOS』

期間:~2024年12月1日(日)
時間:10:00~18:00(最終入場は17:00まで)
休:月曜日(祝日の場合は開館)
会場:京都市京セラ美術館 本館 北回廊1階  新館 東山キューブ
京都市左京区岡崎円勝寺町 124
料金:一般¥2,200 大学生1,500(当日) 事前予約優先制 https://www.gucci.com/jp/ja/nst/cosmos-exhibition

辛酸なめ子プロフィール画像
辛酸なめ子

漫画家、コラムニスト。埼玉県出身、武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。アイドル観察からスピリチュアルまで幅広く取材し、執筆。新刊は『辛酸なめ子の世界恋愛文学全集』(祥伝社文庫)『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後 40代女子叫んでもいいですか 』(PHP研究所)『大人のコミュニケーション術 渡る世間は罠だらけ』(光文社新書)『妙齢美容修業』(講談社文庫)『辛酸なめ子の現代社会学』(幻冬舎文庫)。Twitterは@godblessnamekoです。

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