ボランティアグループの「熊野古道継(つなぐ)ユニット」が企画、和歌山県立神島高校の写真部の面々が撮影した、熊野古道や身近な人物、風景の写真で構成される展覧会「KODO –Heartbeat of Kumano–」が、KYOTOGRAPHIEのサテライトイベント「KG+」の一環として京都天狼院にてスタート。「Zero Waste(ごみゼロ)」をテーマに掲げた会場設営にも注目が集まる。
世界遺産 熊野古道の魅力を伝えるために2018年に結成されたボランティアグループ「熊野古道継(つなぐ)ユニット」が企画、全国写真甲子園で3連覇を果たした和歌山県立神島高校の写真部の面々が撮影した、熊野古道や身近な人物、風景などの写真で構成される展覧会「KODO –Heartbeat of Kumano–」が、京都天狼院にてスタートした。
本展はKYOTOGRAPHIEのサテライトイベント「KG+」の一環として開催されているもの。タイトルの「KODO」には、“古道”と“鼓動”の2つの意味を込めており、“古道”は熊野古道、“鼓動”は神島高校の所在地で熊野古道が通る和歌山県田辺市の風景を撮影対象とした作品群を表している。
今回の展覧会は本来春に開催予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で9月に延期に。自粛期間中は神島高校写真部も活動ができなかったという。そんな中、写真部の顧問の恵納崇が提案したのが、身近な景色を撮影すること。部員たちは家族や家の中などを被写体として撮影活動を続け、これによってこれまで見えていなかったシーンを切り取ることができたという。
単なる風景でも観光写真でもない、神島高校写真部の面々による「KODO」の写真。今回は彼らの作品を展示するとともに、この8月に天狼院書店「海の出版社」から発売された「シューティングノート」を使って、それぞれの作品に対する思いや撮影記録を公開。このノートは、撮り手が「どんな写真を撮りたいのかをイメージする“プランニング”」と「どんな状況で撮影したのかを記録する“レコーディング”」をするために作られたもの。詳細な書き込みを通じて、高校生たちの作品の背景を知ることができる。
今回は会場設営のコンセプトに「Zero Waste(ごみゼロ)」を掲げ、額は全て古材や廃材を使って手作り。展覧会のコンセプトと空間構成は、持続可能性をテーマに活動するデザイナーの野村涼平が、また什器の設計は古道具屋を営むデザインユニット「ものや」が担当している。町屋を改装した京都天狼院の土壁の素材感が、借景として写真の額の中に映り込むような見え方を演出したり、燃やして磨いた古材でオリジナルのフレームを制作するなど、写真を活かす空間演出にも注目したい。
また、展示作品は今後、期間限定で「KODO –Heartbeat of Kumano–」のウェブサイトでも発表。ぜひこちらもチェックして。
「KODO –Heartbeat of Kumano–」
会期:〜10月18日(日)
会場:京都天狼院(京都府京都市東山区博多町112-5)
時間:月曜〜金曜 12:00~20:00/土曜・日曜・祝日 10:00〜22:00 ※会場の都合により観覧不可の時間帯もあり
入場料:無料(ただし要1ドリンクオーダー)
075-708-3930
https://kashima-kgplus2020.studio.design/
text : Shiyo Yamashita