日本画の誕生から現在地までを総覧!【ポーラ美術館】で「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画」展を開催中

ポーラ美術館では、2023年12月3日(日)までの期間、「革新」をテーマに日本画の誕生から現代までの展開をダイナミックに紹介する大規模展「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」を開催中。「日本画」の可能性を新しい視点から多角的に探る、必見の展覧会だ。 

神奈川・箱根のポーラ美術館では、日本画に秘められた可能性に迫る大規模展「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」を開催中。明治〜昭和初期の作家の名作から現代の作家たちによる新作まで、幅広い作品を展示、「日本画」の真髄に迫る必見の展覧会だ。

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三瀬夏之介の作品で構成される展示室。天井から提げられた作品は《日本の絵》(2017)。Photo: Ken KATO

「日本画」は明治時代、日本の伝統的な絵画と西洋画の接触により、新しい表現形式として確立。明治政府のお雇い外国人として来日していたアーネスト・フェノロサが日本国内で目にした絵画を総じて “Japanese Painting”と呼び、この英語を日本人通訳が「日本画」と翻訳したことから生まれた概念。油絵具や水彩絵具などを使って描いた西洋風の絵画=洋画に対して、日本の伝統的な画材や様式で描かれた絵画を指す。その後、近代国家の形成期の混沌の中で、画家たちは近代、西洋、国家といったテーマと否応無しに向き合うことになる。第二次世界大戦後は日本画滅亡論も唱えられたが、現代日本画の担い手たちは「新しい日本絵画の創造」を目指し、新たな段階へと日本画を推し進めていった。

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杉山寧 《慈悲光》(1936)の隣にはアーネスト・フェノロサの言葉の紹介が。Photo: Ken KATO

西洋と東洋の二分化そのものが意味を成さず、主題や形式、画材などが多様化する21世紀における日本画の可能性とは? 本展は、橋本雅邦や狩野芳崖といった、日本画と西洋画のはざまで自身の進む方向性を模索した画家たちの作品を皮切りに、第1章では「朦朧体」という革新的な画法に取り組んだ横山大観や菱田春草らの作品を、第2章では小杉放菴(未醒)や岸田劉生、藤田嗣治(レオナール・フジタ)らの作品を通して技法材料と表現手法の関係性を紹介する。

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「絵画におけるレクイエム」と題された、マコトフジムラ(左)と山本基(右)の作品が並ぶ展示室。Photo: Ken KATO

さらに、第3章では西洋の抽象絵画などから影響を受けながら独自の日本画を創出した、「日展三山」こと杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄らを中心に展示。そして第4章では会場の冒頭で展示される三瀬夏之介のほか、春原直人、久松知子といった現代の日本画の描き手たちの作品と、李禹煥や蔡國強、杉本博司、山本基、マコトフジムラなどといった現代美術界のスター作家たちの作品が並び、日本の絵画の現在地、“シン・ジャパニーズ・ペインティング”を探る絶好の機会となっている。

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左奥の、尾形光琳《紅白梅図屏風》をテーマにした山本太郎《紅白紅白梅図屏風》(2014)(左)と杉本博司《月下紅白梅図屏風》(2014)(右)が並ぶ様子は本展の見どころのひとつ。右手前は李禹煥、右奥は長谷川幾与の作品。の作品。Photo: Ken KATO

本展と併せて、アトリウム ギャラリーでは「マテリアルズ 日本画材の博物館」と題した、日本画の「革新」を支えた画材や、顔料の原料となる鉱石やクリスタル、筆や刷毛などといった道具の展示も。また、展示室4では同館の新収蔵作品、メアリー・カサット《劇場にて》の展示も行われているので、こちらも是非見ておきたい。まだまだ酷暑は続きそうだけれど、箱根の森の中に佇む美術館で、涼をとりつつアートに浸る1日を過ごしてみてはいかが。

「シン・ジャパニーズ・ペインティング 革新の日本画―横山大観、杉山寧から現代の作家まで」
会期:〜2023年12月3日(日)
会場:ポーラ美術館 展示室 1、2、3、アトリウム ギャラリー(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
時間:9:00〜17:00(入館は16:30まで)
年中無休(展示替えのため臨時休館あり)
電話番号:0460-84-2111
https://www.polamuseum.or.jp/sp/shinjapanesepainting/ 

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