山縣良和による、美術館での初個展。アーツ前橋にて「ここに いても いい リトゥンアフターワーズ:山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口」開催

writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)のデザイナーであり、ファッションの私塾、coconogacco(ここのがっこう)を主宰する山縣良和の個展が、2024年4月27日(土)〜6月16日(日)、群馬県前橋市のアーツ前橋にて開催される。会期中には多彩なゲストを招いてのトークプログラムも!

ファッションレーベル、writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)のデザイナーであり、ファッションの私塾、coconogacco(ここのがっこう)を主宰する山縣良和による、美術館での初の個展「ここに いても いい リトゥンアフターワーズ:山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口」が、群馬県前橋市のアーツ前橋で開催される。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_1
writtenafterwards《The seven gods》2012

神話などからインスピレーションを得た物語的コレクションで知られるリトゥンアフターワーズ。山縣はそのノスタルジックな表現の中で、〈装う〉心の純粋性を追求する一方で、3.11からの再生を祈った《The seven gods》や、ファッション業界へのアイロニーを込めた《Graduate Fashion Show》、戦後と日本人の集団性をテーマにした《After Wars》、コロナ禍の都市を離れ無人島で描いた新しい人間像《Isolated Memories》など、資本主義社会や歴史観への問題提起を大胆に織り込み、ファッションの領域を超えて注目を集めてきた。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_2
山縣良和《Field Patch Work》2023

また、2008年にはここのがっこうを設立し、教育者としての活動も展開。参加する一人ひとりが生きる場所や社会を見つめ、「ここ」から独自の表現を立ち上げていく学びと実験の場を開いてきた。ここのがっこうは私塾でありながら、多くのデザイナーや国際コンテスト受賞者を輩出してきたことでも知られている。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_3
リトゥンアフターワーズ《It’s Alright To Be Here》2024 撮影:エレナ・トゥタッチコワ

本展のメインギャラリーで山縣は、2024年現在の日本社会を表象する〈メゾン/家〉を、リトゥンアフターワーズの過去のコレクションと、群馬県内の空き家や廃屋から移設した家財道具を組み合わせて表現。最後の部屋には、何気ない家族の情景や子供服からインスピレーションを得た最新コレクションが“追記(=writtenafterwards)されている。このコレクションは、昨年父親となり、東京で子育てをはじめた山縣のパーソナルな変化が色濃く映し出されているものだ。さらに、教育者としての山縣の思想と実践を伝える「それぞれの個性を育む学び場」を展示室内に開設。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_4
リトゥンアフターワーズ《After Wars》2017

会期中には多彩なゲストを招いてのトークプログラムも開催。初日の4月27日(土)はvol.1「山縣良和へのインタビュー“ここに いても いい?”」と題し、山縣と本展キュレーターの宮本武典が、展覧会ができるまでについて解説した。5月12日(日)にはvol.2「物語る衣服たち」と題し、広島の被爆者やフリーダ・カーロの遺品など、“亡き人々”の衣服を撮り続けてきた写真家の石内都と、その作品から多大なインスピレーションを得てきた山縣が対談する。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_5
リトゥンアフターワーズ《Isolated Memories》2023

5月19日(日)にはvol.3「蚕と日本人の古今東⻄」と題し、『蚕――絹糸を吐く虫と日本人』の著者で⺠俗学者の畑中章宏と、養蚕に強い関心を持って作品に取り入れてきた山縣が、蚕の歴史と文化を掘り下げながら、その生命の循環の延⻑線上にあるファッションのあり方を探る。そして6月1日(土)には、vol.4「生き抜くためのファッション教育 − coconogaccoのアトリエから」と題して、山縣とともに哲学者の谷川嘉浩と、ここのがっこうの出身者で、アーティスト・ファッションデザイナー・看護師の津野⻘嵐が、ここのがっこうの歩みを振り返りながら、そのメソッドの今日性について考える。

山縣良和による、美術館での初個展。アーツの画像_6
リトゥンアフターワーズ《After All》2019 

いずれのトークイベントも観覧券があれば無料だが予約が必要。既にvol.1は終了、vol.2は満席になってしまったが、vol.3とvol.4はアーツ前橋の公式ページから予約できるので、早めにチェックを。養蚕や絹織物で栄えた群馬を舞台にした本展で、「日々ニュースから飛び込んでくるウクライナとガザの悲劇、そして能登半島地震と、個人では消化しきれない歴史の大きなうねりの中で、いま自分が表現できるのはとてもパーソナルなこと」という山縣が、どんな“ファッション表現のかすかな糸口”を提示するのか。それを目撃しに、アートの街への進化を続ける前橋まで、ぜひ足を延ばしてみて。

「ここに いても いい リトゥンアフターワーズ:山縣良和と綴るファッション表現のかすかな糸口」
会期:2024年4月27日(土)〜6月16日(日)
会場:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)
開館時間:10:00〜18:00(最終入場17:30)
休館日:水曜
入館料:一般 ¥800、学生・65歳以上・団体(10名以上)¥600/高校生以下無料/障がい者手帳等を持参した人と介護者1名は無料
https://www.artsmaebashi.jp/?p=19899

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