動く彫刻、モビールで知られるアメリカのモダンアートを代表するアーティストの一人、アレクサンダー・カルダーの日本最大規模となる個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が、麻布台ヒルズ ギャラリーで 2024年9月6日(金)まで開催中だ。カルダーの個展が東京で開催されるのは約35年ぶりとなる。
動く彫刻、モビールを発明したことで知られる、アメリカのモダンアートを代表するアーティストの一人、アレクサンダー・カルダー。東京では約35年ぶりとなる個展「カルダー:そよぐ、感じる、日本」が、現在、麻布台ヒルズ ギャラリーにて開催中だ。
アレクサンダー・カルダーは1898年アメリカ・ペンシルベニア州ローントン生まれ。吊るされた抽象的な構成要素が、絶えず変化する調和の中でバランスを保ちながら動く「モビール」でよく知られている。この「モビール」という言葉は、1931年にマルセル・デュシャンによってつくられた、フランス語で「動き」や「動因」を意味する言葉だ。
初期のモビールにはモーターで動く作品もあったが、次第にカルダーは気流や光、湿度、人間の相互作用に反応する作品を多く制作するように。モビールの重要な要素として「動き」を用いた彼は、キネティック・アートの先駆者の一人となった。カルダーは、友人のジャン・アルプが「スタビル」と名付けた、静止した抽象的な作品も制作している。
カルダーはモビール以外にも絵画、ドローイング、版画、宝飾品など、数多くの作品を制作した。1950年代以降になると海外からの制作依頼も増え、ボルトで固定した鉄板を使った壮大なスケールの屋外彫刻の制作に力を注ぐようになった。
本展はニューヨークのカルダー財団理事長で、カルダーの孫にあたるアレクサンダー・S.C.ロウワーが、ペースギャラリーの協力のもと、カルダーの芸術作品における日本の伝統や美意識との永続的な共鳴をテーマにキュレーション。カルダー財団が所蔵する1920年代から1970年代までの作品約100点で構成されており、代表作であるモビール、スタビル、スタンディング・モビールだけでなく、油彩画、ドローイングなども数多く展示。1925年に墨で動物たちを描いた作品群には、鳥獣戯画のような日本の作品とも共通するものが感じられるのが面白い。
展示デザインを手がけたのは、長年のカルダー財団の協力者で、ニューヨークを拠点とする建築家の後藤ステファニー。カルダーが同時代の偉大な建築家たちとコラボレーションしていた精神にならい、3:4:5の直角三角形の幾何学にもとづいた設計で、日本建築の要素や素材を見事に展示空間に取り入れているので、是非注目して。
「カルダー:そよぐ、感じる、日本」
会期:〜2024年9月6日(金)
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー(東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA MB階)
時間:月〜木・日曜 10:00〜18:00(最終入館17:30)/金〜土曜・祝前日 10:00〜19:00(最終入館18:30)
入館料:一般 ¥1500、専門・大学生 ¥1200、高校生 ¥1000 ※障がい者手帳持参の人とその介助者(1名まで)は通常料金の半額
https://www.azabudai-hills.com/azabudaihillsgallery/sp/calder-ex/
All works by Alexander Calder All photos courtesy of Calder Foundation, New York / Art Resource, New York © 2024 Calder Foundation, New York / Artists Rights Society (ARS), New York