NYの人気デザイン・ホテルやセレブリティの自宅インテリアを手がける気鋭のデザインユニット「ローマン&ウィリアムス」。作家のアトリエを訪ねて来日した彼らの旅に、T JAPANが同行した
今、ニューヨークのファッション、デザイン界で最も話題に上がる店といえば、「ローマン&ウィリアムス ギルド」(以下「ギルド」)だろう。「エースホテル」や「ヴィセロイ」といったニューヨークの人気デザイン・ホテルをはじめ、グウィネス・パルトロウらセレブリティの自宅の内装デザインで知られる「ローマン&ウィリアムス」が、初めてオープンしたライフスタイル・ショップだ。ローマン&ウィリアムスは、ロビン・スタンデファーとスティーブン・アレッシュによるデザインユニット。ハリウッド映画のセットデザインからスタートし、2002年に「ローマン&ウィリアムス」を設立すると、そのモダン・ヴィンテージな世界観で注目を集めた。
昨年末、ソーホーに誕生した「ギルド」では、彼らがホテルなどのためにデザインした家具のほか、世界各地から買いつけた品々が販売されている。カフェやフラワーショップが併設されているのも特徴で、ライフスタイル全般をカバーする品揃えは日本では最近よく見かけられるスタイルだが、ニューヨークではまだまだ珍しいという。「『ギルド』は五感に訴える店です。さまざまな素材があって香りも味覚も楽しめる。日本や北欧にはありますが、ニューヨークではこうしたスタイルの店はユニーク。でも人々は必要としていたのです。おかげでよい反応を得ています」とロビンは言う。ロビンとスティーブン、そして彼らとともに店の品物のセレクトを行うスタイル・ディレクターのアカリ・エンドウ・ガウトの3人が、2月に日本にやってきた。目的は作家のアトリエを訪ねることだ。彼らの旅に同行した。
今回、彼らが訪れたのは福島県郡山市を拠点とする陶芸作家、安齊賢太のアトリエと、木工作家、吉川和人が東京・世田谷の材木店内に構えるアトリエだ。安齊は独自の質感をもつ黒い器で知られる作家で、生地の上に糊材として漆を入れた土を塗っては磨くという独自の製法により、陶器とも漆器ともつかぬ器を作り出す。吉川は、古材などの木の質感を活かした作品が特徴だ。シンプルなデザインながら木が経てきた時間を封じ込めたような品々は、それ自体が生き物のよう。
作家のアトリエを見ることは、ロビンとスティーブンにとってとても大切なことだという。自身も木で家具を作り、陶芸も学んでいるというスティーブンは「人物やアトリエの外見的特徴は、その作品の性質そのものも語ります」と述べる。確かに、整えられたアトリエで現代音楽をかけながらひとり黙々と作業する安齊の作品は「詩的で静か」で、さまざまな木の素材が雑然と置かれ喧騒のなかで作業する吉川の作品は「遊び心にあふれ生き生きとしている」。「直接作り手と会い、モノ作りの過程を見ることは、写真で製品を見るのとは違ったレベルへと私たちを連れて行ってくれます。彼らの作品についてのより深い理解を助けてくれるのです」とロビン。(安齊と吉川の作品には通じるものは?)
SOURCE:「The Beauty of Utility」By T JAPAN New York Times Style Magazine
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