本気で「NOプラスチック生活」体験ルポ

地球環境に影響を与えているプラスチック。そこで、漫画家とエディターのふたりにプラスチックを極力排除した“NOプラ”生活をしてもらった。そこから見えてきたものは?

CASE.1 家族一丸となってプラごみ削減に挑む!

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※1 適切に処理されないプラごみが川→海へ

多くの人は家庭ごみは分別し、外出先でもポイ捨てはせず、ごみ箱に捨てているはず。それでも大量のプラごみが海に集まっているのは、街中のごみ箱があふれて風に飛ばされたり、集積所の袋を動物が破ったりして回収されるはずのごみが川から海へ流出してしまっているから。その数、世界で年間800万トン。しかもプラごみで海洋生物を傷つけたり、プラごみが紫外線などで細片化して海洋生物に取り込まれてしまう「マイクロプラスチック」問題も深刻。

 

※2 紙の外袋に変更するお菓子も登場!

使いやすさゆえ、お菓子の包材にも汎用されるプラスチック。そこへ一石を投じたのがネスレの「キットカット」。「キットカット」の売り上げが世界トップクラスの日本で、2019年から主力製品の外袋を紙に変更。2022年までに「キットカット」全製品の包材をすべてリサイクル、リユース可能な素材にすることを目指している。

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※3 日常生活で何かと使うポリ袋を新聞紙でバッグに

実はレジ袋以上に身近なのがポリ袋。パンや野菜の個装はもちろん、湿りけのあるものを入れたり、生ごみ処理に使ったりと結構な活用率なだけに、なくすのは至難の業。ところが、そんな難問も新聞紙バッグが解決。新聞で作った袋は丈夫なうえ、野菜を入れれば長持ちするし、生ごみを捨てる際には脱臭効果も発揮。強度は落ちるけれど、キッチンペーパーでも代用可。

 

※4 紙だけじゃない!金属ストローの選択も

プラスチックストローが鼻に刺さったウミガメや、ストローを飲み込んで胃に穴があいてしまったペンギンの写真が拡散したことで、世界の潮流が変わったストロー。大手コーヒーチェーンショップが紙ストローを導入するや、さまざまな飲食店でも紙ストローが主流に。また同時に、代替となる金属ストローも登場。ゴミ削減効果も相まって“マイ箸”ならぬ“マイストロー”の携帯はこれからの常識になるかも。

 

※5 今すべきなのは、プラスチックの削減 

安価で使い勝手のいいプラスチックは、まだまだ私たちの生活には欠かせない存在。しかし、2050年には海洋プラスチックゴミの質量が海の魚の質量を上回るという予測も出ている今、私たちにできるのは、プラスチックそのものの利用量を削減(リデュース)すること。まずは自分の生活を見直し、できることから始めてみよう。

 

Profile
大盛のぞみさん●南関東の都市で、夫・バブ夫と、息子、娘の4人で暮らす漫画家。クセの強い爆笑漫画がインスタグラムで話題に。著書『のぞみ33歳。だだ漏れ日記』(扶桑社)のほか、電子配信で漫画を連載中。

CASE.2 意識高い系が臨むシングルのエコライフ

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※1 化粧品の容器は変わってきている!

現在多くの化粧品メーカーで、プラスチック削減のための取り組みが行われている。たとえば、レフィラブルなケースを導入したり、温室効果ガスの排出量を抑制する植物原料の「バイオ PET」や生分解性パッケージを採用したり。また、リサイクルガラスの使用や使用済みボトルの回収など、知ることでエコ製品が選べる。

 

※2 使い捨てずに日用品容器を回収・再利用へ

日用品の容器を使い捨てから耐久性のある機能満載のデザインに変える、NY発の循環型ショッピングプラットフォーム「Loop」。洗剤や調味料など、協賛企業の製品を発注すると、専用バッグで自宅に届き、空になった容器はLoopが回収。それが洗浄消毒されたのち、商品が詰め替えられて市場に出るという仕組み。日本では、2021年3月から専用サイトのほか、東京を中心としたAEON16店舗で展開予定。

写真は、海外の容器例。Loopの最新情報はテラサイクルのインスタグラムhttps://www.instagram.com/terracyclejp/?hl=jaで発信中。

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※3 洗剤の量り売りで必要なだけ購入

自然由来の原料を使用した洗剤を店頭で量り売りをし、ごみになってしまう容器の削減を目指したニュージーランド発の「エコストア」。現在、量り売りができるエコストアの「リフィルステーション」は日本国内に10カ所。
さらに、都内のナチュラルローソン3店舗に実験導入中。今後は、さまざまなロスを減らすため、2023年までにリフィルステーションを国内50カ所に設置することを目標にしている。

ナチュラルローソン3店舗では、食器用洗剤、洗濯用液体洗剤、柔軟剤、おしゃれ着用洗剤の4アイテム。100g¥70〜110で必要な分だけ購入を。エコストアジャパン 03-3261-2893

 

※4 固形シャンプーでプラボトルを削減 

シャンプーやコンディショナー、ボディソープ、洗顔料を固形製品に置き換えることで、年間約100万本相当のプラ容器を減らしているニュージーランド発のサステイナブルブランド「エティーク」。シャンプー バー1個あたり、液体シャンプー(約350㎖)3本分のプラ容器削減効果をもたらす。

潤いと輝きを与える。シャンプー バー ピンカリシャス(110g) ¥1,980/ピー・エス・インターナショナル 03-5484-3481

 

※5 NOプラ生活は自分を見つめ直す機会

私たちの生活に溶け込んでいるプラスチック製品。しかし、その利便性と引き換えに、地球環境は刻一刻と危機にさらされている今、私たちに必要なのは“しっかりと選んで買う”という意識。製品が生み出される背景を知り、納得したものを購入するということは、究極のサステイナブルにつながる。

 

Profile
エディターU●都内でひとり暮らしをする、アラサーのSPURファッションエディター。サステイナブルの意識はもともと高く、企業HPをチェックして、商品の開発背景や工程を知るようにしている。

SOURCE:SPUR 2020年12月号「NOプラスチック生活」
illustration: Nozomi Ohmori, Osushi Muroki edit: Yuumi Fujii 〈dis-moi〉

FEATURE