ベネチアのアルチザンがすごい! 驚きの職人技に迫る【ベネチア・ビエンナーレ】

トッズが支援するアート&クラフト

芸術、文化が栄えるベネチアのクラフツマンシップに注目したい。トッズがサポートする名匠の技と情熱にフォーカスした展示をはじめ、さまざまな職人による眼福クラフトを巡る。意匠を凝らした手仕事を堪能して

ベネチアの名匠にフォーカス。熟練の技で〝ゴンミーニ〟が七変化!

ベネチアが誇る名匠11人が、技術を駆使して「ゴンミーニ」の表現に挑んだ

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イベント会場では、ベネチアの名匠と並び、靴職人もゴンミーニを実演で制作した。ハイクオリティなクラフツマンシップとハンドメイドの伝統に重きを置いているトッズ。そこで働く職人もまた、優れた技を脈々と受け継ぎ、高めていく使命を担っている

2024年11月24日までイタリアのベネチアで開催中の『第60回ベネチア・ビエンナーレ国際美術展』。トッズは、その中のイタリア館をパートナーとして支援し、開幕に合わせて現地の名匠にフォーカスした「アート・オブ・クラフツマンシップ」を開催した。選ばれた11人の職人が、自らの芸術性と道具、熟練の技を駆使し、高度なクラフツマンシップでトッズのシンボルである“ゴンミーニ”を表現するプロジェクトだ。

会場となった旧サン・クリストフォロ造船所は、ベネチア共和国時代に建造された歴史的空間。レンガ造りの広々としたスペースに、作品と制作の実演シーンがスタイリッシュに配された。並んだのは、吹きガラス職人がガラスで造形した作品や金箔を貼った黄金のゴンミーニなど、原形がイメージできるものから、帽子職人が制作したゴンミーニを思わせる装飾つきの巨大な布の彫刻や、仮面職人の作る、頰にゴンミーニのレザーや部品が涙のように配された仮面まで、素材やフォーマットを問わず多数の作品が並んだ。名匠たちがあらゆる解釈で自由にゴンミーニを表現している様子は、もはやアートの領域に入っている。

職人といえば、決して華々しい仕事ではなく、ぞんざいに扱われた時代もあった。しかしトッズのようなラグジュアリーブランドがその重要性を認識し、リスペクトしてきたことで、若者の間にも職人への憧れが生まれてきている。今回のエキシビションには、職人という仕事を誇りに思い、その道を究めてきた結果、唯一無二の名匠となったプロフェッショナルが集まった。そして彼らが誇るトップレベルの技術を披露している。そこに満ちあふれていたのは、モノづくりに向ける情熱と、自然と発生した芸術性。アーティスティックな作品が並ぶ会場で「あなたはアーティストですか?」との問いに「イエス!」と答えた者は皆無。皆、「職人」と呼ばれることを選んだ。伝統技術を愛し、究め、しっかりとモノを作る。そのモノづくりに対する姿勢は素晴らしく粋だった。

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1 木工職人のセバスティアーノ・ルナルデッリ。トッズの「T」をかたどったランプを制作

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2 ゴンミーニを仕立てる女性職人を中心に、絡み合うガラス糸で人の顔をかたどったガラスランプ。職人のルーチョ・ブバッコ作 
3 モザイクアートで、足跡のような巨大なゴンミーニを制作
4 マスク職人のセルジオ・ボルドリンが仮面の装飾に使用したのは、トッズ製品の一部

注目のアルチザンの声を聞く

革新的、かつ保守的。用いる素材も技術も異なる個性豊かな3名の職人の根底に流れるのは情熱だった

帽子職人/天然素材を用いて明るい未来への希望を表現

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トーンの異なる鮮やかなオレンジが空中で動く布の作品は、会場内でひときわ目を引く。帽子の素材を使い、軽やかな未来への前進を表現した

ゴンドリエーレ(ゴンドラ船頭)の帽子やカーニバル用の奇抜な帽子など、ベネチアに縁の深い帽子を50年以上にわたって作り続けるジュリアーナ。今回制作したのは、宙に浮かびプロペラのように動く、帽子をかたどった布の彫刻。イタリア産のわらや、バナナファイバーなど、伝統的な帽子の素材4種を使用し、天然の植物であるアガベから採取した長い繊維に金属の芯を入れて張りを出した。ベージュとオレンジに染色した麻を挿入して、ゴンミーニのドットを表現。「未来を考えたとき、軽やかに前に進んでいきたいと思って、布の彫刻を作りました。天然素材にこだわったのは、人間は自然と共に歩むべきだと思ったから。ゴンミーニの小さな粒々が、可愛いでしょ?」。現在、ヴェネト州から『歴史的店舗』に認定されている帽子店は、曾祖母がベネチアのリアルト橋の近くで創業。「ベネチアでは造船など、男性向けの仕事が多かった。その中で帽子作りは女性の仕事にうってつけで、代々家族の女性が受け継いできた」という。彼女はゴンドラに関連する職人協会エル・フェルゼの一員であり、古くからあるマリエゴラ(団体の規約)を研究し、復活させようと試みている。伝統へのリスペクトと、布の彫刻に見られる先進性。帽子を通じて、歴史への尊重と未来への可能性を体現する職人だ。

Giuliana Longoプロフィール画像
Giuliana Longo

ジュリアーナ・ロンゴ●1902年創業の帽子店Giuliana Longoオーナー。ゴンドリエーレの帽子製造は、この工房が独占で請け負っている。

ガラス職人/ガラスに魅せられた男の、新たな技術と伝統の融合

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"シンデレラの靴がゴンミーニだったら、話の結末も変わったのかしら?"と考えながら見てしまう。本当に履けそうなガラスの一足だ

弱冠30歳の若き職人ロベルト・ベルトラーミが制作したのは、鮮やかなイエローがまばゆい吹きガラスで作った実物大のゴンミーニ。幼い頃の夢は発明家だったという彼はボストンの大学で物理学を専攻していたが、あるガラス展を鑑賞した際、自らの手で制作することにかき立てられた。世襲の多いムラーノのガラス製造業において彼はまったくの新参者。なぜここを選んだのか。

「ムラーノガラスは、何世紀にもわたって受け継がれた知識が結びついた技術。炎の魅力とモノを形作るパワーがある。僕は炎が大好きなんだ。よちよち歩きを始める前にソファを焦がしたことがあるくらい」と誇らしげに語る。主宰するWave Murano Glassでは、伝統技術をリスペクトしながらも、常に新しいアイデアと科学を共存させて革新を目指す。

「手を動かすことは好きだが、一方でデジタル世代でもある。若さの価値は、オープンマインドと新しい視点を持つこと」と新世代の職人として多岐にわたって活躍。インテリアデザインやファッション、アート界とのコラボレーションにまで、のびやかにフィールドを広げてきた。サステイナブルにも力を注ぎ、ムラーノ島で唯一、インダストリー4.0規格に準拠したガラス溶解炉と、環境負荷を低減する廃熱回収システムを備えている。

Roberto Beltramiプロフィール画像
Roberto Beltrami

ロベルト・ベルトラーミ●ベネチアのムラーノ島で最も若いマスターガラス職人。職人集団Wave Murano Glassを主宰。

木工職人/細部まで顧客とすり合わせて作る一級の工芸品

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腕から手の形を模したフォルコラは、手仕事の力を表現したデザイン。実際に櫂を組むと、木の手が櫂を動かしているようにも見える

イタリア人にもあまり知られていない「フォルコラ」という言葉は、ゴンドラの櫂を支える"櫂受け"を示すもので、曲線を描く美しい木製彫刻のような部品を指す。実際、ベネチア土産のインテリアオブジェとして購入する人もいるという。フォルコラの存在を知ってからゴンドラを見ると、それぞれ微妙に形やサイズの違いがあるのがわかる。ゴンドリエーレにとって、ゴンドラは大切な愛船だ。その愛船をカスタマイズするために、さぞかし奇抜なオーダーもあるのだろうと尋ねると、「いや、デザイン上奇抜なものは好まれないが、櫂の操作性への追求はすごいよ!」という返事が返ってきた。

「フォルコラを作るためには、職人であり、エンジニアでなくてはならない」というピエロ。3年間寝かせて自然乾燥させた木を使い、話し合いを重ねながらゴンドラとその漕ぎ手の身体の特徴に合わせて、細かいところまでオーダーメイドしていく緻密な作業だ。実はピエロは、パドヴァ大学で天文学を専攻し修士課程を修了している。しかし、ベネチアの日常と強く結びつきたいという気持ちが募り、フォルコラ職人になった。彼は今、ベネチア人であることを誇りに思い、この地で生まれ育ち、伝統を紡いでいく実感を伴いながら、工芸を追求しているのだ。

Piero Driプロフィール画像
Piero Dri

ピエロ・ドリ●ゴンドラの櫂を支える"フォルコラ(櫂受け)"の職人歴20年。工房 Il Forcolaio Mattoオーナー。

ビエンナーレに足を運んで

世界中から現代アートが集結するビエンナーレ。現代美術の動向を探りに、いざベネチアへ!

イタリア館

イタリア館

トッズがサポートしているイタリア館では、「聴く」ことをテーマにしたマッシモ・バルトリーニの《Due qui / To Hear》を展示。会場に設置されたインスタレーションを通り抜ける際、英国のギャヴィン・ブライヤーズらによる実験的なサウンドが流れる。同じ音源を聴くことで観客に一時的なコミュニティが生まれるという。

USA館

USA館

今回のビエンナーレ全体のテーマは「外国人はどこにでもいる」で、外国人や移民、人種差別などにフォーカスしている。ここでは、ジェフリー・ギブソンによる《私の居場所》と題した色彩豊かな作品を展示。ネイティブアメリカンのチェロキー族出身で、先住民文化や芸術に造詣の深いアーティストならではの持ち味を発揮した内容の展示だ。

カナダ館

カナダ館

権力の形態に関心を寄せるアーティスト、カプワニ・キワンガの作品《トリンケット》を展示している。素材に用いられている極小のシードビーズはベネチアのムラーノ島から世界に広まり、物質文化に取り込まれたもの。破壊的になりがちな商業の歴史と、ビーズの取引がどのように巡り、世界を形作ったのかを表現している。

フランス館

フランス館

人気上昇中の彫刻家、ジュリアン・クルーゼの《緑の峰々の麓にあるアッティラ大峡谷の源は、月の涙に溺れた青い大海の深淵で終わる》という長いタイトルの作品。海洋廃棄物が絡んだ難破船の残骸のような彫刻と、海洋映像を組み合わせた展示。用いたテーマとは対照的に、グロテスクさはなく、カラフルで美しい寛容なムードが漂っている。

 

ベネチア・ビエンナーレ国際美術展
1895年から2年に一度開催されている、世界で最も歴史ある国際美術展。メイン会場のジャルディーニとアルセナーレのほか、市内各所で展示が行われ、街中にアートがあふれる。第60回を迎える今回は、88の国別パビリオンのほか、331ユニットのアーティストが参加。11月24日まで開催。
https://www.labiennale.org/en/art/2024 

トッズの手仕事が光るアイテムをショップで

限定品を揃え、カスタマイズ等でトッズの技術を堪能できる新ショップをレポート

 

ベネチアを象徴するような鮮やかなカラーの限定コレクションを発売

ベネチア・ビエンナーレ開催直前の4月5日、トッズのベネチアストアがリニューアルオープンした。19世紀に建てられた由緒ある建造物の中に造られた新ストアは、250平米のワンフロアのエレガントで贅沢なスペースだ。ビエンナーレ関係者向けのプレオープン期間に合わせて、この街にゆかりのある限定コレクションも登場。発売されたのは、「ゴンミーニ」と「T タイムレス ショッピング バッグ」のスペシャルモデルの二つ。革の自然な風合いを保ちつつ、透明感を高める特別な仕上げ加工を施した最高品質のカーフレザーを用いた特別な逸品だ。ハンドステッチが際立つデザインからは、卓越した職人技が垣間見える。色展開はベネチア派の画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオが好んだティツィアーノレッド、ベネチアのラグーンを思わせるディープブルーと、この街を象徴するような新色だ。ディープブルーの「T タイムレス ショッピング バッグ」は、わずかな期間中に完売するほどに人気だったという。また、同期間中には、店内でトッズの職人がイニシャルの刻印など、商品のカスタマイズサービスを実施。ラグジュアリーな職人技が大好評を博した。

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1 「ゴンミーニ」と「T タイムレス ショッピング バッグ」の限定コレクション。ベネチアストアとオンラインのみの限定販売 
2 ゴンミーニを制作する職人

 

DATA
●San Marco 2251, Calle Larga XXII Marzo, 30124 Venezia
+39(0)41 5206603
https://www.tods.com

ベネチアのクラフトをもっと知る

伝統技術を受け継ぎながら、ユニークな表現に秀でた逸品。実際に見て、買えるクラフトを探しに行こう

Livio De Marchi(リヴィオ・デ・マルキ)

Livio De Marchi(リヴィオ・デ・マルキ)

1 木で彫ったレインコート。ジャケットや靴、バッグなど、服のモチーフも得意
3 大運河を走る木製フェラーリにはベネチア中が度肝を抜かれた

 

木とガラスの職人アーティスト
壁にふんわりとかかったレインコート、洗濯紐に干したパンツやブラジャー。それらは布のように見えるが、実は固い木の彫刻! そんな驚きとユーモアあふれる作品で知られるリヴィオ・デ・マルキは、永遠の遊び心を持つ職人アーティストだ。サン・マルコ広場から徒歩10分ほどの工房は、わくわくする作品であふれている。一方、ベネチアならではのガラスと木を組み合わせた作品は、サンマルコ広場に面したギャラリーショップ「OROVETRO murano(オーロヴェトロ・ムラーノ)」に常設展示。ガラス製の絵の具が飛び出すチューブや巨大な筆を組み合わせた椅子など、カラフルで躍動感あふれる作品が揃う。リヴィオは、ベネチアの運河を舞台とした大規模なインスタレーションでも名を知られている。ベネチアの大運河を自作の木製フェラーリで疾走したり、巨大なバイオリンを運河に浮かべ、その上でコンサートを開催したり……ベネチア愛をたたえた奇想天外な大仕掛けを、地元民はとても楽しみにしている。ちなみに、木製フェラーリの制作費は、本物のフェラーリよりも高くついたそう。

Livio De Marchi(リヴィオ・デ・マルキ)

2 ユニークなオブジェで埋め尽くされた工房。日本人の妻が常駐し、日本語対応も可
4 帽子と髭がトレードマークのダンディなリヴィオ。1950年代から木工に携わる
5 サン・マルコ広場のギャラリーに展示されるガラス作品もユーモアたっぷり

 

DATA
San Marco 2742/A, Calle del Dose Da Ponte, Corte Da Ponte-S.Maurizio, 30124 Venezia
電話番号:+39(0)415 285694 
https://www.liviodemarchi.com/
※予約必須
※ギャラリー「OROVETRO murano」
https://orovetro.it/

MARIO BEVILACQUA(マリオ・べヴィラックア)

MARIO BEVILACQUA(マリオ・べヴィラックア)

6 クッションカバー(€170~)やチャームにもなるタッセル(€12~)は、お土産にも

ファッションメゾンも愛する"布の宝石"
7世紀末から1000年以上にわたり、長く国家として存続したベネチア共和国は、東地中海貿易で栄えた。その代表的な輸出品のひとつ、多色使いの立体的なシルクビロードは"布の宝石"とも呼ばれて世界中で珍重された。しかし今はその栄華も影をひそめ、1499年から続く「テッシトゥーラ・ルイージ・ベヴィラックア」が、本島に現存する唯一の工房。そのビロードを取り扱うショップ「マリオ・ベヴィラックア」は、本島内に2店舗を構える。18世紀の織り機を用いて伝統的製法で手織りするビロードは、熟練の職人でも一日に20~40㎝ほどしか織れないという稀少な布。バチカンやホワイトハウス、世界の王室も御用達だ。ベネチア生まれのブランド「ロベルタ・ディ・カメリーノ」の有名なバゴンギバッグには、このビロードが用いられている。現代においても、ベヴィラックアのビロードに魅せられるファッションメゾンによる特注は多く、ドルチェ&ガッバーナ、グッチ、ヴァレンティノなどのランウェイにも登場している。職人の手が紡ぐ、永遠の美を愛でてみて。

MARIO BEVILACQUA(マリオ・べヴィラックア)

7 テーブルセンターなどさまざまな布が揃う。独自の技術"ソプラリッツォ"を用いた立体的ビロードは必見
8 歴史を感じさせるSanta Maria Del Giglioの店舗。サン・マルコ広場から徒歩8分

 

DATA
San Marco 2520, Santa Maria Del Giglio, 30124 Venezia
電話番号:+39(0)41 2410662
https://www.bevilacquatessuti.com/
※サン・マルコ寺院裏手Fondamenta Canonicaにも店舗あり

Dalla Lidia Merletti d’Arte(ダッラ・リディア・メルレッティ・ダールテ)

Dalla Lidia Merletti d’Arte(ダッラ・リディア・メルレッティ・ダールテ)

9 ベッドリネンやテーブルクロスなど、大物も棚にぎっしり 
10 ハンカチは€50~。手前中央は、50年前のアンティーク(€500)、右は89歳の職人が仕上げたという稀少ピース
11 記念に買いたいレースのピアスは、€35~

ロマンティックなレースを訪ねてブラーノ島へ
ベネチア本島から水上バスで約40分。ベネチアン・レースの生まれ故郷ブラーノ島に到着する。カラフルに塗り分けられた家が運河沿いに連なる街並みは、おとぎ話の舞台のようだ。霧が立ち込めたときに漁師が沖から自分の家を簡単に見分けられるよう、色鮮やかに塗られたのが起源だという。青く塗られた「ダッラ・リディア・メルレッティ・ダールテ」は、第二次世界大戦後すぐにブラーノ島初のショップをオープンした老舗のレース工房。店内奥には、ルイ14世が所有していた扇や、18世紀のウェディングドレスなど、創業者ファミリーがオークションで蒐集した16世紀以降のアンティークレースが展示されている。ブラーノ島内では、安価な中国製品なども出回っているが、ここのレースはすべて「メイド・イン・ブラーノ」の一級品。すべてが職人によるハンドメイドのため高価だが、一見の価値がある。せっかくレースの本場を訪れたのなら本物に触れてみてはどうだろう。店内では職人がレース作りを実演していることも。「後継者不足が悩み」だと話す彼女の繊細な手捌きに思わず見惚れてしまうはず。

Dalla Lidia Merletti d’Arte(ダッラ・リディア・メルレッティ・ダールテ)

12 子どもの頃からレース作りを習ったという、大御所職人のパオラが実演中。気の遠くなるような細かい作業
13 店内奥には私設のレースミュージアムが。18世紀のウェディングドレスは、ため息の出る繊細さ
14 レースのモチーフをあしらったビロードのバッグは特注品 
15 青く塗られた外観が目を引く

 

DATA
Via Galuppi,215, 30142 Burano (Venezia)
+39(0)41730052
https://www.dallalidia.com

marina e susanna sent(マリーナ・エ・スザンナ・セント)

marina e susanna sent(マリーナ・エ・スザンナ・セント)

16 代表作のひとつ「soap」。サイズにバリエーションがあり、それぞれ泡のボリュームが異なる。€120~
17 ムラーノ島の工房に併設されたショールーム兼ブティック。その他、ベネチア本島内に2店舗を構える

ムラーノグラスを現代風に刷新
ベネチアン・グラスの産地、ムラーノ島で300年以上続く工房の跡継ぎとして生まれた姉妹が、「コンテンポラリーアート&デザインとしてムラーノグラスを表現していこう」と1993年に立ち上げたブランド「マリーナ&スザンナ セント」。建築デザイナーの姉スザンナと、ガラス製造技術に秀でた妹マリーナが作り上げるジュエリーやオブジェは、伝統的な装飾のベネチアン・グラスとは一線を画した、モダンな造形。ガラスという素材の永遠性と耐久性の間でバランスをとりながら、透明で儚いミニマリズムを探求した代表作の「soap(ソープ)」(2001年)は、吹きガラスの玉を連ねて、泡のように表現したネックレス。身につけると必ず「それは何?」と聞かれるキャッチーなジュエリーは、「ちょっと急いでシャワーしたから泡を流し忘れちゃって」と答えるのがお約束。ほかには、躍動感あふれるセンスのよい色を重ねたジュエリーもガラスならではの独特の質感が魅力。NYのMoMAデザインストアで取り扱われたり、世界各地の美術館に招聘されるなど、アート界でも実力が認められている。

marina e susanna sent(マリーナ・エ・スザンナ・セント)

18 アーティスティックなペーパーウエイトやブレスレット。独特なカラーリングに惹かれる
19 本島内、ペギー・グッゲンハイム・コレクション近くにあるドルソドゥーロ店
20 ベネチアン・グラスの産地ムラーノ島にある工房は、可愛い三角屋根が目印

 

DATA
Fondamenta Serenella, 20, 30141 Murano (Venezia)
+39(0)41 5274665
https://marinaesusannasent.com/
※ベネチア本島内にも2店舗あり。

Dorsoduro店(Dorsoduro 669, 681,Campo San Vio 30123 Venezia)
San Polo店(San Polo, 70, Sotoportego de Rialto 30125 Venezia)

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