LE SSERAFIMの初ツアー『2023 LE SSERAFIM TOUR 'FLAME RISES'』をレポート！　大迫力のパフォーマンスに会場が沸いた

5人が順に倒れていく鮮烈なオープニング

開演時間になると、客席のFEARNOT（ピオナ／LE SSERAFIMファンの呼称）が手にしたペンライトが、ステージから降り注ぐライトに呼応するように光り、FEARNOTの期待感は膨らむばかり。そしてLE SSERAFIMがステージに堂々と姿を現すと、割れんばかりの大歓声が！「The World Is My Oyster」が流れる中、5人は立ったまま後ろに次々に倒れていくという演出で観客の度肝を抜き、コンサートのオープニングを飾りました。

再び登場した5人は、ステージに一列に横たわり、膝を立てたポーズ。そう、鮮烈な印象を残した日本デビュー曲「FEARLESS -Japanese ver.-」の冒頭のフォーメーションです。FEARNOTは一糸乱れぬシンクロダンスで魅せていく5人のパフォーマンスを、大きな声のコールで彩りました。

この日のヘアスタイルは、KIM CHAEWONは茶髪ボブを後ろでひとつにくくり、HUH YUNJINはウェーブのかかったダウンスタイル。KAZUHAは前髪の右サイドがハイトーンになったロングヘアを下ろし、HONG EUNCHAEはブロンドのロングヘアの一部を編み込みに。そしてSAKURAはポニーテールを2本の三つ編みにするという、それぞれの個性が生きたスタイルで魅了します。目の周りに散らされた、キラキラとした大きめのストーンも最高にキュート！

筆者はスタンド席で鑑賞していたのですが、ステージからはそれなりの距離があるのに、5人がとても大きく見えることに驚きました。それだけ彼女たちのパフォーマンスがダイナミックであり、全身からは自信が滲んでいて。日々、鍛錬を積み重ね、そして自分たちの物語を音楽で紡いでいることが、その自信に繋がっているのだと思います。

観客のエネルギーにメンバーも感激「FEARNOT、すごいですね？」

エレベーターのような映像を背にパフォーマンスされたのは、LE SSERAFIM初の日本オリジナル曲であり、日本公演で初披露となった「Choices」。センターステージに立った5人は軽快にステップを踏んでいきます。この曲でSAKURAは流暢なラップを展開。最後にはHONG EUNCHAEがウインクを繰り出し、全員のハートを射抜きました！

歌い終えると、メンバーの額にはきらきらと光る汗が。KIM CHAEWONは「ステージから見ていたら、FEARNOTのエネルギーが私たちに負けないくらい溢れていました。ありがとうございます！」と感謝を伝え、SAKURAも「私たちもさらにパワーをもらいました」としみじみ語ります。そしてKAZUHAは「（「Choices」の披露を）FEARNOTの皆さんが喜んでくださるんじゃないかなと思ったんですが、こんなに楽しんでくれてうれしかったです」と感激している様子。

さらにFEARNOTへのサービスとして、リリースされたばかりの日本2ndシングル「UNFORGIVEN」に収録されている「ジュエリー (Prod. imase)」を、アカペラで歌い上げる一幕も。FEARNOTも一緒に歌い、その歌声を聴いたメンバーは口々に「上手！　FEARNOT、すごいですね？」と感動した表情を浮かべていました。このほかにもライブ本編では、LE SSERAFIMがバラエティ豊かな楽曲を披露。LE SSERAFIMはリリースする作品のタイトル曲にクールでパワフルな楽曲が多いため、そうした印象を強く持っている人が多いと思いますが、彼女たちの魅力がその一面にとどまらないことを実感しました。

トークでは、随所で彼女たちの“Sっ気”が発動。観客の声量が物足りないと、拗ねたように煽る姿がなんとも可愛らしかったです。そしてトークの進行も、初ツアーとは思えないナチュラルさ。常に形式的ではなく自然体で、FEARNOTとコミュニケーションを取る姿が印象的でした。またMCはほとんど日本語で展開。日本公演のためにさまざまな準備をしてきてくれたことに、さらに胸が熱くなります。 

手を下ろすタイミングまでもが完全にシンクロ

終盤では、LE SSERAFIMを象徴するような楽曲を畳み掛けるように連発。炎が上がる中で「ANTIFRAGILE -Japanese ver.-」が始まると、客席からは割れんばかりの歓声が起こります。KAZUHAが「忘れないでよmy toe shoes」という歌詞のパートで披露する、美しいY字バランスは圧巻でした。「Eve, Psyche & The Bluebeard’s wife」ではダンスビートとメンバーの激しいダンスに誘われ、フロアのボルテージが最高潮に。

そして本編最後を飾ったのは「UNFORGIVEN (feat. Nile Rodgers) -Japanese ver.-」。KIM CHAEWONとKAZUHAが勇ましい表情で動物のようにゆっくりとフロアを進む振付に、会場は沸き立ちます。ライブを通して、複雑なフォーメーションを高いシンクロ率でこなしていくメンバーに終始強いリスペクトを覚えましたが、この曲のラストでは、頭にかざした両手をメンバーが下ろすタイミングまでもが完璧に一致。思わず鳥肌が立ちました。

アンコールで披露された「Fire in the belly」は、韓国で行われた公演にて、KIM CHAEWONが冒頭のセリフを噛んでしまった姿がかわいすぎると話題に。東京公演ではセリフを「FEARNOT！　私の仲間になれ！」と日本語にアレンジし、堂々と決めていました。ラテンビートが特徴的な明るいナンバーを5人は情熱的に歌い、全方位のFEARNOTとの別れを惜しむように手を振って、ステージを後に。

LE SSERAFIMこそ、生でパフォーマンスを目撃すべきグループ

最後にそれぞれのメンバーの印象を少しずつ残しておきます。リーダーのKIM CHAEWONは伸びやかなボーカル、しなやかなダンスでLE SSERAFIMのパフォーマンスを底上げし、くるくると変化する愛嬌たっぷりの表情には思わず全員が恋をしてしまうこと間違いなし。KAZUHAは縦線の入った美しい腹筋、体幹の素晴らしさに惚れ惚れ。そしてこれがデビュー後初のツアーとは思えないほど、落ち着いてMCをする姿にも驚かされました。

スクリーンに映るたびに大歓声が起こっていた最年少のHONG EUNCHAE。まるで客席の全員がHONG EUNCHAEの保護者と化したような温かいムードが流れていました。その一方で、激しい曲で見せる強い眼差しとのギャップもたまりません。そしてSAKURAは、さすがの広い視野で遠くの席のファンまで漏らさず愛を届け続け、「彼女がこのライブの空気を作り上げている」と感じる瞬間も少なくありませんでした。HONG EUNCHAEが日本語でMCをする際には隣で優しく見守りサポートする、母娘のような“クラウンズ”も頻出。

またパフォーマンスで見せる挑発的な表情と、MCのときの優しい笑顔のギャップが一番印象的だったHUH YUNJINは、初ツアーへの喜びを思う存分発揮。「コンサートでやるのが夢だった」ということを実現させて嬉しそうに語る姿や、真摯に思いを伝えてくれたMCの言葉はとても胸に刺さりました。

アンコールで届いた、誠意のこもった言葉

アンコールでは、ツアーTシャツを着て登場し、メンバーがそれぞれFEARNOTに感謝の言葉を伝えました。

KIM CHAEWON「いつまでもFEARNOTにとってプレゼントのような存在になれるように頑張ります！　見守ってください！　今日も来てくださってありがとうございます。大好きです！」

SAKURA「いつも私はアーティストとファンという関係は、本当に不思議な、奇跡のような関係だなと思います。何年もずっと応援し続けて会いに来てくれるなんて、よっぽどの愛と信頼がなければできないことじゃないかなと思います。こんな奇跡のような関係だからこそ、私も皆さんに、皆さんからもらっている以上の幸せをずっと与えられる存在になりたいなと思っています。今日は素敵な時間をありがとうございました！」

HUH YUNJIN「皆さんがFEARNOTであることが誇りに思えるようなアーティストになります！　愛してる！」

KAZUHA「今まで見ていた場所に私たちの写真やポスターがあったりして、本当に信じられない気持ちと応援してくださる皆さんへの感謝の気持ちでいっぱいです。またこうやってコンサートをしに日本に帰って来れたことが本当に嬉しくて、ありがたいなと実感しています。今日のこの瞬間がFEARNOTにとって本当に幸せな思い出になっていれば嬉しいです！　今日は来てくださってありがとうございました。大好きです！」

HONG EUNCHAE「ステージをするたびにFEARNOTがくれる愛や応援が私にはすごく大切で、大きすぎると感じています。今日幸せだったこの瞬間を忘れずに、これからもっと幸せな時間を過ごしていきましょう！　ありがとうございました！」

終演後会場を出ると、想像していたよりも時間が経過していないことに驚きました。それだけ充実していて、飽きさせない公演だったということなのでしょう。初のコンサートとは思えない安定感と、良いライブを届けたい、FEARNOTを楽しませたいというメンバーの意欲に満ちた公演。LE SSERAFIMは、生でパフォーマンスを目撃すべきグループであると強く感じました。なお日本では9月6日、7日に大阪城ホールでも公演が行われます。