萬波ユカ × 宮崎聖子(EVA) 私たちがヴィンテージを着る理由 Part1

クラシカルなのにモダンなエッセンスも感じられるアイテムが揃う「EVA」は、東京を代表するショップのひとつ。
そのディレクター・宮崎さんと萬波さんのふたりが、ヴィンテージの魅力について語り合った

鮮やかな花柄プリントが目を引くロングドレスは、60~70年代のフランス製。スリムなシルエットで、身体のラインを美しく演出する。「母のお下がりなんです」と語る萬波さんの定番、チョーカーで首元を引き締めて。頭上に吊り下げられているのは伊デザインチーム、メンフィスミラノによるアイキャッチなランプ。ドレス¥18,000・イヤリング¥2,000/EVA

エネルギーを与えてくれるヴィンテージウェアに出会って

宮崎 萬波さんはいつヴィンテージの服に目覚めたのですか?

萬波 高校生のときですね。派手で古着好きな友達の影響で着るように。当時は原色に原色を合わせたりと奇抜でした(笑)。でもある日近所の蚤の市でシックなベージュのボウタイワンピースにひと目惚れしたんです。それから似たテイストのアイテムを収集しはじめて、徐々に40~50年代のロングワンピースやイブニングドレスというスタイルが定着しました。

宮崎 今、ドレッシーな装いの人って少ないから、萬波さんにはヴィンテージの伝道師としてどんどん発信してほしいんです。

萬波 街ではけっこう浮いちゃいますけど(笑)、普遍的な魅力がありますよね。私はヴィンテージの服からパワーや存在感を借りているんです。Tシャツにジーパンだったら、きっと誰も私のことがわからないし、自信がなくなると思う。宮崎さんがヴィンテージを好きになったきっかけはなんですか?

宮崎 私は12、13歳のときにアメカジの古着から入ったんです。地元が仙台なのですが、当時古着屋さんというと軍ものやデニムを扱うような、メンズのお店しかなくて。でも私もあるとき偶然ヨーロッパのヴィンテージに出会って、もっと見たい! と思うように。もともと個人輸入業をしていたのですが、上京して受付や役員秘書を経験したあとに、やっぱり好きなことを、と思いお店を開きました。

変化しつつあるヴィンテージの曖昧な定義とは?

萬波
 以前から疑問なのですが、ヴィンテージと古着はどう違うんですか?

宮崎 明確な定義はないんです。うちではリメイクアイテムも扱っていて、手を加えられるのは古着、手を加えたら価値が落ちてしまうのはヴィンテージと区別しています。それは大事にされてきたか、大量生産されたものかどうかに関係しますね。

萬波 最近は、比較的新しい年代の洋服でもヴィンテージと呼ぶようになってきていますよね。

宮崎 そうですね。90年代以降と、それ以前のデザイナーってもの作りへのアプローチがまったく違うんですね。マルタン・マルジェラは古着を解体して再構築したデザイナーですが、そういった転換期である90年代が今フィーチャーされているのは、納得できる。90年代以降、アートや音楽、スポーツなどさまざまな要素がミックスされてきた。けれど私や萬波さんが好きなのは、ファッションがファッションというカテゴリのみで成立していた、とても〝ピュア〟な80年代までの服ですよね。

萬波 はい。私も新しいものよりも古いものにまだまだ驚きがあると思っていて、もっと掘り下げたい。今度NYで初めて倉庫に連れていってもらうんです!

宮崎 いいですね! 萬波さんのバイイング企画とかどうですか? 予算も出すのでぜひうちでやってほしい(笑)。

Part2へ続く >


SHOP DATA
EVA(エヴァ)●東京都渋谷区猿楽町2の1 アベニューサイド代官山Ⅲ-1B 
電話:03-5489-2488 営:12時~20時 無休
http://evavintagetokyo.com/home/menu.html

PROFILE
宮崎聖子●1975年、宮城県生まれ。高校在学中にレコードの輸入業を起こす。モデルやDJを経て、上京し就職。企業受付や役員秘書を5年間務めたのち、退職する。2004年にヴィンテージショップ「EVA」をオープン。

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