レースの全身タイツを見せたいがため、ボトムははかない。ケイティのセーラーカラーのピーコートを羽織るのみ。悩みはプチプラからハイブランドまで、どんどん増えるタイツの管理。脚のトルソーを手に入れてお気に入りをディスプレイしたいと真剣に考えている。
1 リアイムのワンピースは体を美しく見せるように首、手首、足首を出し、Vネックできゃしゃな印象に。シャーリングの位置にもこだわっている。
「“可愛いもの”を“バイオレンス”なエッセンスを含んで表現する」「“甘いと辛い”の両方を徹底的に味わいたい!」というケイティのブランドコンセプトを自身で体現。中学生のとき、ボンテージアーティスト、ジョン・ウィリーの作品やピンナップ・ガールのベティ・ペイジでバックシームストッキングに開眼して以来、タイツが大好き。ハイブランドから商店街の洋品店にまで目を光らせて収集。スタイリングはタイツから決め、朝晩ではき替えることも。「見せて歩きたいから」だいたいミニボトムで、最後の仕上げに必ずソックスをはく。
「どんなにセクシーな格好をしていてもソックスをはいているんです。私にとって少女性のアイコンなんですよね。白ソックスは薄くなってガーゼ化した状態くらいのほうがいい。何年も家ではき続けてからデビューさせます」
自由奔放に見えて、バランスにはかなり気を使っている。
「“歳を重ねても可愛い格好”をしたい。でも、すごくバランスが難しくて。ブランドをスタートさせた頃はお客さんも私も同世代でオルタナという価値観を共有できていたけれど、今はいつまでも“可愛い”にとらわれている“変な人”と思われかねなくなっている。人からどう見られても、自分が好きだからいい、と振り切っちゃうタイプではないんです。だから洋服にお金をかけて、説得力を出すんです」
2 エディ・スリマンが手がけていた頃のサンローランのスワロフスキーつきタイツ。誕生日にいただいた
3 商店街の洋品店で見つけたデッドストックの100円パンスト
4 ケイティでも時々タイツを作る。左のニットのロゴタイツは定番(¥5,900)。右は限定販売した伝線させたストッキング
5 マリーン セルのレギンスはトップスとセットで。ケイティの新作ボディスーツを合わせて
最新モードも手に入れるが、ブランドの提案はおかまいなしで、自分流に落とし込む。スタイルを貫き、どうでもいい格好はしない。「“すごいおしゃれしてますね”とリースに来たスタイリストさんに言われたことがありますが、お互いファッションを生み出す仕事。おしゃれをして当たり前の立場だと思います」
今日もリンダさんはおしゃれに全力を傾ける。
三井リンダ LINDA MITSUI(Katie Designer)
神奈川県出身。一貫教育のお堅いキリスト教の女子校に通い、ジョルジュ・バタイユや澁澤龍彦などを愛読。フェティッシュな世界に関心を持ちつつ、反逆心を育む。1997年、友人のTAKIさんとケイティをスタート。 2021年春夏は90年代のムードをテーマとしている。