テーマはアンドロジナス。美の追求あるのみ / 岡部駿佑

昨今のメンズコレクションでアンドロジナスの風を感じ、満を持してドレスを購入。骨太な体格なのでディーバ風味を振りかけて仕上げ、"男性"の延長線上でどこまでいけるのかに挑戦中。インスタグラムに「Men in Dress」というフォルダを作って参考画像を集めている。

1 トップスはジルサンダー、パンツとプリーツスカートが融合したボトムはジュンヤワタナベ。ハイヒールのブーツは大学生の頃から愛用しているブランド、Pleaserの一足

ずっと掲げているファッションのテーマは「アンドロジナス」。
「小学生のときからファッション誌を愛読していたのですが、そこでデヴィッド・ボウイやアニー・レノックスに出会いました。男性だけど濃いメイクをしてドレスを着て、女性だけど角刈りでスーツ。そんなことをしていいんだ、それを“アンドロジナス”と呼ぶんだ、と知ったとき、あ、僕が生涯目指すものだ、と思ったんです」
 中学生になるとメイクをし、毎月国内モード誌を読破する日々。かなり異質な存在だったのでは。
「友達は一人もおらず、毎日無の境地で通学していましたね。周囲から理解されず、奇異の目にさらされることもあったのですが、何を言われても耳の“自動キャンセリング機能”が“ノイズ”を除去しちゃって(笑)。あんたらの知らない美しい世界を僕は今追求しているんです、視点がまったく違うので勝手にどうぞ、と半ば突き放すような感じ。面倒くさいと思われたのか、いじめられることもありませんでした」

2 ハロウィン用に購入したアン ドゥムルメステールのドレス 
3 パンキッシュなモチーフに目がない。左から、タカヒロミヤシタザソロイスト.、エルメス、リーフェジュエリー
4 ゴッサンスのジュエリーもついつい集めてしまう


 そんな状況が一変したのは、二十歳になってから。かねてより憧れていたクラブカルチャーに足を踏み入れた。
「“いいじゃん、派手じゃん”と、生まれて初めて変わった格好をしていることを認めてもらいました。皆、僕と同じファッション好きだということがわかる人たち。交友関係も一気に広がっていきました」
 クラブではファッションジャーナリストのティファニー・ゴドイやミーシャ・ジャネットに出会い、MTV仕込みの英語力を生かしてアシスタントを務めることに。ファッションエディターの道へとつながった。今や水を得た魚のように生き生きと活動している岡部さんの将来は?
「体型の変化に応じてチューニングしつつ、とげとげのブレスレットをしているようなおじいちゃんになりたい」

岡部駿佑 SHUNSUKE OKABE(Editor)

1990年生まれ。ファッションジャーナリストのアシスタント時代は翻訳やリサーチなどに奔走。2年半を経たのち、ファッションエディターに。海外誌のほか、SPUR.JPで活躍中。SPURの公式YouTubeチャンネルで動画連載も担当している。

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