ビギナーでも怖くない! 古今東西のヘヴィメタル・アルバムから好みのタイプを探す。
名盤4選
今日からヘッドバンガー! とりあえず、ここから聴いておきたい80~90年代の傑作。
Marilyn Manson『Antichrist Superstar』
世界の終わりは轟音とともに
KNOTFESTで来日する彼らの傑作と言えば、世界を終焉に導く異形の存在を描く、ロックオペラ仕立てのサード。冷たい電子音が渦巻くインダストリアル・メタルの名盤でもあり、轟音を浴びつつ背徳のファンタジーに浸れる、究極の逃避アルバムだ。
Metallica『...And Justice For All』
スラッシュ・メタル入門盤
BABYMETALも可愛がってもらっているというメタリカこそ、ストイックな美意識を誇る、現代メタル界きってのスーパースターだ。ずば抜けて複雑な曲が多いこの4作目は、彼らならではの数学的な精度・スピード・攻撃性を存分に見せつけている。
Mötley Crüe『Dr. Feelgood』
いかがわしさを極める
ビジュアルを含めてグラムロックの影響を強く受けたモトリー・クルーは、“ヘア・メタル”と総称された、80年代のLA発のスタイルの代表格。ケバケバしくて下品で、でもポップで愛さずにいられない彼らの魅力が、この5作目に凝縮されている。
Guns N' Roses『Appetite For Destruction』
とびきり危険な歴史的傑作
全世界で実に3千万枚のセールスを記録したガンズのデビューアルバム。パンクもブルースも消化した、ヘヴィだけど、ファンキーな名曲の数々は、80年代のLAのデンジャラスな空気に満ちていて、これぞまさにセックス、ドラッグ&ロックンロール!
素顔は見せない
サウンドもルックスもどんどん多様化する、趣向を凝らした覆面バンドは定番だ。
Ghost『Meliora』
歌詞は宗教色に満ちていて、ホラー調のコスチュームで演劇的なショーを披露し、オカルト・ロックなどと評されてもいるけど、怖いのかと思えば、妙にキャッチーで……。そんなエキセントリックなスタイルを誇るのが、“コピア枢機卿”と名乗るシンガーが率いるバンド。このサードアルバムで、地元スウェーデンから世界に進出した。
Slipknot『Iowa』
世界各地で独自のフェスKNOTFESTを主催しているこのアメリカン・バンド抜きに、今のメタルは語れない。メンバーがかぶっている不気味なマスクと、ふたりのパーカッショニストとDJを含む編成で異彩を放つ彼らは、すさまじい爆音で負のエネルギーを放出。初期の名盤とされているこのセカンドを聴けば、思わず大暴れしたくなる?
Hevisaurus『Bändikouluun!』
世界一のヘヴィメタル大国フィンランドでは、昨年この9枚目にあたるアルバムを発表したキッズ向けのメタル・バンドが大人気。メンバーは恐竜の着ぐるみ姿でステージに立ち、歌詞の題材は、子どもにとって身近なことばかりなのだとか。でもベテランのミュージシャンたちが演奏しているとあって、サウンドはあくまでオーセンティック。
ご当地メタルで世界旅行
各地のカルチャーと溶け合うヘヴィメタルで未知のエキゾティシズムと出合う。
The HU『The Gereg』
海外ツアーでBABYMETALの前座を務めたこともある彼らは、このデビューアルバムで、今世界中で熱い注目を浴びている新人だ。なにしろ故郷はウランバートル、喉歌と呼ばれる唱法で歌ったり、馬頭琴をかき鳴らしていたり、モンゴルの伝統音楽とメタルをミックスした勇壮なサウンドは、さすが唯一無二。3月には初の来日公演も控える。
System Of A Down『Toxicity』
メタルのラディカルなエッジをひた走る4人のメンバーは、みんなアルメニア系のアメリカ人。そのアルメニアの伝統音楽のほか、各地の民族音楽やジャズの影響も聴き取れる、得体の知れないミクスチュア・サウンドがウリのバンドだ。政治や社会問題を題材にした歌詞も多くて、刺激には事欠かないこのセカンドは、全米ナンバーワンを獲得。
超絶テクニックに酔う
辣腕プレイヤーのミュージシャンシップを堪能できる美しきヘヴィメタル。
Apocalyptica『Wagner Reloaded-Livein Leipzig』
シンフォニック・メタルと言えば、クラシックとメタルが出合うサブジャンル。その界隈でも格別に風変わりなバンドが、リヒャルト・ワーグナーにインスパイアされた作品をこのライブ盤で披露した、フィンランド出身のアポカリプティカだ。名門シベリウス音楽院卒の3人のチェロ奏者とドラマーが奏でる弦楽メタルは、果てしなく壮大。
ichika『I』
厳密にはヘヴィメタルと言い切れないかもしれない。しかし、国内外で脚光を浴びるichikaは、メタルの影響を受けてプレイし始めたという凄腕ギタリスト。このEPでも、変調を繰り返す早弾きやディープな低音が、彼のルーツを物語っている。原田郁子ほか豪華ゲストシンガーが参加しているけど、きっとギターに聴き入ってしまうはず。
ポップに転ぶ
エレクトロニック・ビートとラウドなギターで踊る。ヘヴィで、グルーヴィという選択肢。
POPPY『I Disagree』
YouTube上のキャラとして登場し、パステルカラーのポップソングを歌っていた彼女が、サードアルバムで突如メタルモードに。ウィスパーボイスは変わらないけど、ゆがんだギターとアグレッシヴなビートとの組み合わせが、シュールなこと極まりない。ヘヴィなのに、どこかライトで、ニッコリ微笑みながら威嚇する、2020年最初の怪作。
Bring Me The Horizon『Sempiternal』
イギリスの若手メタル・バンドの中で一番ビッグな5人組は、2013年にリリースした本作でブレイク。女子人気も高いボーカルのオリー・サイクス以下、見た目は怖くない上に、折衷志向が強くてポップな曲がウリだ。ラウドなロックンロールとアンビエントな電子音、そしてオリーのダミ声のコンビネーションはビックリするほど聴きやすい。