創造の翼を広げる、架空のスタイリスト

Clifford Jago

ブライトンで撮り下ろしたカットのテーマは、英国人と英国文化の“アイデンティティクライシス”。「今、私たちは新しいものと古いものの間で常に戦いをしている時代にいます」。手にはチップス!

タイリストを名乗るClifford Jago。実はフォトグラファー二人が主体となった空想の存在だ。「雑誌の撮影では、モデルにブランドの服を着せなければいけない窮屈さを感じていました。私たちが挑戦したかったのは、縛りのないアプローチ。 “何でもあり” なClifford Jagoは、バナナや工事現場の赤いポールなどスタジオの周りにあるもので自由にスタイリングします。実在しない人物像だからこそ、可能性は無限。鑑賞者が現実の人間に対して期待することへのリミットをなくし、作品自体に焦点が当てられる。私たちは栄光のためでも、SNSの可愛いセルフィーのためでもなく、世界を巡りながらただClifford Jagoというファンクな列車の後部座席に乗っていたいんです!」

 ロックダウン期間中には「家にいてもクリエイティビティに制限はない」というメッセージを込めた#JagoChallengeも実施。誰もが身近にあるものを活用してスタイリングをし、ハッシュタグをつけて投稿する企画だ。「大きなバーチャルムーブメントとStay Homeが結びつき、今までにない他者とのつながりが実現しました。旅ができない代わりに、世界中の人々が表現するそれぞれの“Jago” スタイルを受け取って、私たちもまた成長するんです」

 今後は「Clifford Jagoという架空の人物のスタイリングやキャラクターを映画化したい」という、イマジネーションにあふれた未来予想図も。「私たちは愛犬の2匹のチワワとともにテスラに乗って、ガムボール3000( 7日間で世界各国を走るドライブツーリズムイベント)スタイルで国を横断するロードトリップを計画中。日本で作品集、Jago Bookを作ることも夢見ています。アニメやゲーム、仮面ライダーの衣装、雑誌『FRUiTS』のファッションからは大きな影響も受けたので。参加したい方はぜひご連絡ください!」

profile
2017年、アムステルダムで撮影したシリーズ『Clifford Jago&Tulip Chewers』を皮切りに活動をスタート。次いでアイスランドでの『Clifford Jago&The Ice Queens』、ウクライナでの『Clifford Jago&The Sunflower Children』と各国でコラボレーションしながら現在まで作品集を3冊発表している。Instagram: @cliffordjago

photography & styling: Clifford Jago model: Sam McMidwie(armoured dress),Nel&Lily(5G slime dogs) edit: Mana Arai

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