ミュウミュウのペニーローファー・FANEのバッグ・GABRIELA COLL GARMENTSのコート【2023年SPUR.JPエディターHAYASHIのベストバイ】

今年はずいぶん高額な買い物をしたなと1年を振り返ってみて思う、というか今さらだけど震えています。「クワイエット・ラグジュアリー」の一大潮流に乗っかり、いいものを長く大切に着たいという気持ちがいちだんと深まった1年でした。去りゆく年も、めぐり来る年も、「これさえあれば大丈夫!」と自信をもらえる、極私的・三種の神器をご紹介させてください。

【ミュウミュウのペニーローファー】君となら、どこまでも一緒に歩いていきたい

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ローファー¥161,700/ミュウミュウ

仕事もプライベートも、「素敵な黒ローファーが一足あればうまくいく」。これ、私のスタイリングのモットーです。そう言っていいくらいローファーが好きです。もちろんスニーカーも履くんですが、今年はわりと足もとをきちんとさせたい気分が強かったように思います。ただし、まじめ過ぎるとつまらないので、遊び心をちょい足ししたい。結果、たどり着いた理想の一足がミュウミュウのペニーローファーでした。

艶やかなブラックレザーのオーセンティックな佇まいに、ひねりを加えるコインモチーフ。さりげなく挟み込まれたユーモアがもう最高。1950年代にアメリカの学生たちが制服着用に反抗し、シューズの切れ込みに1セント硬貨を挟んでいたことから「ペニーローファー」という名前がついたそうですが、まさにその挑発的なアティチュードを反映したデザインです。

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チャンキーヒールは前後の高低差が少なく、長時間履いても疲れ知らず。

抜群に安定感のあるチャンキーヒールもまた可愛いんですよ。プレイフルな要素もあり、程よくガーリーな味付けも忘れない。ミウッチャ・プラダらしい自由なクリエーションに、まことちゃん風に言うと「グワシ!」と心掴まれました。この靴となら、どこまでも歩いていけると確信しています。

圧倒的にシンプルなのに驚くほどモダン。最愛トートは【FANEのバッグ】

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「LISSE」トートバッグ¥140,800/FANE

2023年のお買い物のベスト・オブ・ザ・ベスト賞は、仏ブランドのFANE(フェイン)のトートバッグ。ご覧ください、このロゴすらも払拭した究極のミニマリズムを。シンプル美を突き詰めた潔さは、何度見ても惚れ惚れします。端正なスクエアシェイプと細身のストラップのモダンなバランス、グレーのカーフレザーが醸し出すマチュアで静謐な雰囲気。削ぎ落とされた中にもそこはかとなく漂う洗練された空気感は、ありそうでなかなかないと思います。

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シックなグレーは、どんなスタイリングにもマッチします。

一見シャープだけれど、実は細部が丸みを帯びていて、驚くほどなめらかに仕上がっているのもグッとくるポイントです。ちなみにこのバッグには「LISSE」という名前が付いているのですが、フランス語で「なめらか」という意味なんですよ。まさに、名は体を表す。

開き口にマグネットが内蔵されていて、フラップやファスナーがなくても中身を目隠しできる仕様。スリムなシルエットながら、四六判の単行本が2冊分くらいはすっぽり入る収納力。見た目も中身もじつにスマートで、持っていると自分自身もアップデートされたかのような気分に。アノニマスなデザインですが、使えば使うほどパーソナルな愛着が湧いてくるのも不思議な魅力です。個人的には「一生もの」と呼べるくらいの価値があると思っています。

試着して心底感動! 【GABRIELA COLL GARMENTSのコート】は10年後も着続けたい名選手

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No.65 オーバーサイズコート¥262,900/GABRIELA COLL GARMENTS

そして今冬、LAND OF TOMORROWの店頭で見て、袖を通さずにはいられなかったのがこちら。ここ数年じわじわと人気を集めている、スペイン・バルセロナを拠点とするブランド、GABRIELA COLL GARMENTS(ガブリエラ コール ガーメンツ)のNo.65 コートです。2019年の初登場以降、繰り返し展開されているピースで、ずっと気にはなっていたのですがチャンスに恵まれませんでした。というのも、スペイン国内のクラフツマンが一点一点ハンドメイドで仕立てているので、少量ロットでしか生産されないんですよ。実物に触れる機会が限られる中で、今年ようやく初対面が叶った次第です。

実際に着てみたら、やっぱりものすごく良かった。イタリアの老舗高級生地メーカー、ロロ・ピアーナのウールカシミヤをたっぷりと使った、ダブルブレストの贅沢な一品。そのクオリティの高さは、生地に触れた瞬間にわかりましたよね。裏地のない一枚仕立てで、やわらかくて程よい落ち感があり、思いのほかさらりと羽織れます。着るとドレープがきれいに出て、ただぼんやり突っ立っているだけでも立ち姿が美しい。触れて感動、羽織って心酔、気づけばお会計というスムースな流れでした。

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裾と袖口に加えて、襟もカットオフ。ボタンを外してラフに羽織ってもさまになります。

首元にボタンをあしらったハイネックのデザインや、膨らみのある袖、切りっぱなしの裾や袖口も絶妙で、随所に個性が宿っています。素材感やディテールがこだわり抜かれていて、着るたびに好き度が増していく。生地も仕立てもしっかりしているので、10年先、いや20年先も着られそうな気がします。文句なしに、マイ殿堂入り決定です。

以上、師走のワードローブの現場から、とっておきの3品をご紹介させていただきました。私の中では、黄門さま・助さん・格さんに匹敵するくらいの名物トリオです。きっとこれから長いお付き合いになることでしょう。いつかマイヴィンテージになるように、大切に育てていこうと思います。

エディターHAYASHIプロフィール画像
エディターHAYASHI

生粋の丸顔。あだ名は餅。長いイヤリングと丈の長いスカートが好き。長いものに巻かれるタイプなのかもしれません。

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