「ドッグラバーのあなたと話が合いそうなL.A.のアーティストがパリに行くから、会ってみたら」と友人が繋いでくれたのが、グラント・レヴィ・ルセロ。保護犬の絵を陶器に描いていると言うから、捨て犬駆け込み寺から引き取った我が家の愛犬スウィーティもいつかモデルにしてもらおう、と言う下心で早速アポを取りました。聞き覚えのある名前だと思ったら彼、本サイトでも8月7日に紹介されている、アクネ ストゥディオズのコラボレーターではないですか!9月半ば、同カプセル・コレクションのプロモーションでヨーロッパに飛んだ際、ロンドンとミラノ滞在の間に1日だけパリに来ていたグラントに、色々な話をきいてみました。
ナイーブ・アートのようなセラミックで知られるグラントは、実は元々ニットデザイナー。ファッションの専門学校ではカッティングやパターンも学びましたが、祖母が編み物をしていたことから実験的にニットアイテムを編む事に熱中したそうです。ロサンゼルスでできたコネクションから受けた仕事はロダルテ、イージー、リック・オウエンスなどのコレクションの一部、ハンガー・ゲーム、X-MENといった映画の衣装、果てはビヨンセからの特注まで。同時に友人の陶器づくりのアトリエに出入りするうちに、独学で陶器を作り始めたとか。そして最初の試作であったピッチャーの形をキャンバスに見立て、大好きな犬をモデルに、また街角でスナップし続けていた日用品のパッケージを着装源にペイントするという作品作りの形態が出来上がっていったのです。一方ニットでは別のアプローチを試みて、来年の9月にはロサンゼスにて、ニットを使ったテキスタイルアートの展覧会が予定されています。
「僕はアーティストと言うより、クリエイティブ・パーソン。目指すのはアートではなく、作品によって人と人、また人と動物をつなげること。コミュニティ、つまり友達の輪からいろんなアイディアやプロジェクトが生まれるんだ」。こんな風に語るグラント・レヴィ・ルセロによる日常に密接した作品の数々は、現代のポップアートと言えるかもしれません。
Text: Minako Norimatsu