次なるファッション都市は?注目のアートスクールがある、ヘルシンキ!

最近若い才能の発信地として注目される、ヘルシンキ。フィンランドのファッションと言うとまず思い浮かぶのはマリメッコですが、この国のクリエイティブ・パワーは、実はもっとエッジーです。その筆頭が、トゥオマス・メリコスキ。ちなみに彼が自身のブランドをアールトと名付けたのは、フィンランド語で“波”を意味するからだとか。

ところで通にとっては、アールトと言えばアールト大学(Aalto University)美術・デザイン・建築学部のこと。フェスティバル・ディエールでも毎年この学校の卒業生が、ファイナリストのリストに名を連ねます。例えば、今では自身のメンズのブランドを始めている、16年ノミネートのロルフ・エクロス(Rolf Ekroth)。同じ年に日本から参加の黒沢秋乃も、実はアールトに学んだとか。そして5月10日の記事で公開したように、今年はミリア・リンティラが賞を獲得。ビジネス・オブ・ファッションで世界のベスト・ファッション・スクールにも選ばれているこの学校の底力は、講師トゥオマス・ライティネン(Tuomas Laitinen)のヴィジョンにあると言えるでしょう。SSAW誌のファウンダーでもあり、ラフ・シモンズやバレンシアガを着こなし、自らスタイリングを手がける彼は、先生と言うより、若手を牽引するアートディレクター的な存在なのです。

さて5月末にはこの街で、トークショーやプレゼンテーションなどのイベントから成るファッション・イン・ヘルシンキ(Fashion in Helsinki)が開かれました。最終日の夜を飾ったのは、アールト大学ファッション部門の卒業ショー。グランジからアーティ、ポップまでスタイルは様々ですが、いずれもシルエットの構築力と素材の探求力はかなりのハイレベル。客席にはパリからのヘッドハンターたちも顔を見せ、この学校の注目度を物語っていました。“アントワープの6人”のように、ヘルシンキからアップカミング・デザイナーの“波”が押し寄せる日も、遠くないかもしれません。

Text: Minako Norimatsu

ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子プロフィール画像
ファッション・ジャーナリスト 乗松美奈子

パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
https://www.instagram.com/minakoparis/

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