【ルイ・ヴィトン】メンズ最新コレクション! ファレル・ウィリアムスによるウエスタンの世界
メンズのファッションウィークの幕開けは、ルイ・ヴィトン
日中の最低気温がマイナス5度という寒さの中、メンズ・ファッションウイーク(以降MFW)の2024-'25秋冬シーズンが終了しました。数多くの話題を振り返りつつも多くの人々がベストショーに挙げるのは、今季MFWの幕を開けた、ファレル・ウィリアムズによるルイ・ヴィトン。昨年6月にパリのポンヌフで開かれた壮大なデビューショー、11月の香港でのプレフォールのショーに続く、3度目のコレクションです。今回のショー会場はパリの最西端に位置するアクリマタシオン庭園内の巨大な仮設テントで、入り口にはParis Virginiaと赤のサインボードが。ヴァージニア州は言わずと知れた、ファレルの出身地です。州のスローガンが「Virginia is for lovers」なので、モノづくりでも人との繋がりにおいても“愛”を口にすることが多いファレルとヴァージニアは、密接な関係にあるのです。
平野紫耀さんやRIIZEの面々が並ぶフロントロー
一歩会場に足を踏み入れると、四方の壁は、麦畑の向こうにグランドキャニオンかと見まごう赤土の谷の風景を投影した、LEDスクリーン。ゲストたちがこのセットに圧倒されている中、セレブリティたちが続々と登場し、場内の熱気は次第に高まっていきます。日本からは平野紫耀さん、岩田剛典さん、スケートボーダーの堀米雄斗さん、そしてダンサーのTHE D SoraKiさんが。そして韓国勢ではRIIZEのメンバーが到着すると、会場は騒然とした雰囲気に!
ネイティブ・アメリカンを讃えて、テーマはウエスタン
夜8:30を回ったところで聞こえてきたのは、ウエスタン映画を思わせるメロディーとパーカッション。現れたファースト・ルックは、褐色の肌にロングヘアのモデルが着たブランケット・コートにジーンズ、カウハイド・ブーツ。もうウエスタンと言うテーマは明らかです。
女性モデルが着た3ルックを含めた計76ルックは、終始ウエスタンをテーマに展開。セットや音楽、キャスティングともあいまってファレル流“カウボーイ・ダンディー”とでもいうべき世界観が完結していました。
素材ではデニムはもちろんレザーやフランネル、ツイード、そしてドレスアップバージョンではシルクサテンからシークェンスまで。アイテムではジーンズ、ウェスタンシャツ、チャップスパンツ、ファレルお得意の襟なしジャケットなど。またテーマを強調した小物はウェスタンブーツ、ティンバーランドとのコラボレーションによるワークブーツ、ターコイズのボタン、そしてシルバーやターコイズのジュエリーの一連。柄では馬のイラストのプリントから、バッファローチェックと呼ばれるダミエと呼応するブロック・チェックに加え、ダモフラージュ(ファーストコレクションで披露された、カモフラージュをピクセル化してダミエとの関連性を持たせたハイブリッド柄)も健在です。ディテールはフリンジ、ロープ刺しゅう、スタッズからファレルが長年懇意にしているネイティブ・アメリカンのダコタ族、ラコタ族によるデザートフラワーの刺しゅうに渡ります。さらに再解釈されたスチーマーから使い込んだ風合いを出したモノグラムのスピーディまで、バッグのバリエーションは数知れず。
コレクションを通じて、ファレルの永遠のインスピレーションであるワークウェアやエッセンシャルアイテムは、テーラリングを含めたルイ・ヴィトン固有のサヴォワフェールで昇華されました。一つだけのテーマを巡って、しかもこれまでの作品とも関連性を持たせてここまで上手くまとめられるファレルの技量が明確に打ち出されたコレクションでした。
フィナーレは、雪景色
ショーが進むと次第にLEDスクリーンの青空は色褪せ、フィナーレで人口雪が舞い出すと、壁一面が雪景色に。そしてやっと姿を見せ、何度も何度も深々とお辞儀を繰り返すファレルに、拍手が鳴り止みませんでした。
終了後にはNative Voices of Resistanceのメンバーとキャリー・マリガンの夫であるMumford & Sonsがファレルとともにライブを披露。合間にはバーベキューが振る舞われ、極寒をよそにウエスタン気分満点の夜は終わりを告げたのでした。
パリ在住。ファッション業界における幅広い人脈を生かしたインタビューやライフスタイルルポなどに定評が。私服スタイルも人気。
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