数年前まで料理家の長尾智子さんの連載を担当しておりまして、2ヶ月に一度の撮影は仕事の中の楽しみランキングのトップクラスにいつも君臨していました。とにかくこの撮影日には、不可抗力の仕事が入らないように全力で調整(ライターさんがいるので、私がいなくても現場は問題なし)。撮影後の出来上がりを試食するのが最大にして一番の目的なわけですが、その次に楽しみだったのが、長尾先生の器やカトラリーの選び方とその使い方を見ること。お料理がもともと美味しいことはもちろんですが、先生の事務所でいただく時に、例えば先がすっと細い竹のお箸や、普通よりちょっと深いくぼみをもった銀のスプーン、薄い口当たりの小さな湯のみ、というのは絶妙にお料理を美味しくさせる力がある気がして、お料理は作って終わりじゃないんだな、としみじみ思ったものでした。
連載のときにはレシピがメインだったのであまり語られることはなかったのですが、そんな長尾先生のお料理まわりのあれこれがつまった通販サイト「SOUPs」がスタートしたとのこと。のぞきに行ってみて驚きました。先生のスープを食べるときに使っていたあの深いくぼみが特徴のアンティークスプーンが販売されていたのです。「こ、これは!」と思って、鼻息荒くポチったら、なんとサイト第一号のお客様になってしまったそうで、あとできいてちょっと恥ずかしい思いをしたりも。そしてやって来たのがこのテーブルスプーン&フォークとデザートスプーン。
普段私の家で使っているものと比較すると、右のデザートスプーンが同じくらいの通常サイズで、テーブルスプーンのほうはひとまわり大きくずっしりしています。この大きなテーブルスプーンは、料理を口へ運ぶときに大きくすくうのにも役立ちますが、サラダや蒸し料理などをサーブするときにも便利なサイズ。よくインテリアショップで売っているサラダサーバーみたいなもののデザインが気に食わず、かといって普通のスプーンとフォークだと小さい。長尾先生のところで使っていたあの絶妙な大きさのスプーン&フォークはどこで手に入るのだろうか、、、とたまにしかしない自炊のときに生意気にも悩んでいたのでした。
実を言うと、一緒にスープ皿も買ってしまいました。ヨーロッパの食堂で毎日使われていそうなスタンダードなルックスの器は波佐見焼きで、SOUPsのオリジナル。レードル2杯のスープがちょうど入る絶妙な大きさで、デザートスプーンとの相性もぴったりです。こちらはSPUR2月号で登場予定ですので、お楽しみに。
アイテム自体はこれら以外にも少しずつ増えていく予定で、アンティークのカトラリーなどは売り切れたら次はまた買い付けができたときのタイミングで、というペースだそうですが、そのときどきの出会いがあるのも楽しい。最近アップされたばかりのロングスプーンのこともこっそり狙っています。ルクルーゼで野菜をごろりと蒸し焼きにしたのをおなべごとテーブルに出すときに、この大きなスプーンさっとつけたら、なんて素敵な食卓……!と妄想は広がり、「まずは自炊を地道にね」という先生の声まで聞こえてきそうな気がします。
ファッションと占い担当。おしゃれは我慢、ができないので、着心地重視。休みの日は、大体インテリアのことを考えています。