「私の体は、この『七味あられ』で出来ています」。そう言ってもいいくらい、このあられをずっと食べ続けています。辛いものは昔から得意だったので、もの心つく頃からおやつとして食べていました。実は母も、そのまた母の祖母も、私が生まれる前から食べ続けているので、もはや遺伝子レベルでこのあられの記憶が刻みこまれているのかもしれません。
正式名称は「七味あられ」ですが我が家ではずっと「からいあられ」というニックネームで呼ばれ、祖母、母、娘と3代にわたって常に絶やすことのないように常備されてきました。濃厚で香ばしいお醤油の味に、ピリリと強めに主張する七味。まず声を大にして言いたいのが、このお醤油の味がなんとも濃くて、深い味わいで美味しいのです。七味のバランスも絶妙で、これ以上量を多くしたら辛くてあまり食べられないし、これ以上少なくしたら物足りない。 よく、観光地で七味せんべいが売っていて、食べ比べたこともあるのですがあれとは比にならないくらい濃密で、後を引く味。とにかく一度食べたら止まらないおいしさ!辛うまいとはまさにこのことです!
製造元は、私の地元岐阜県にある塗壁製菓。私が好きなこの濃密な味は、この塗壁製菓創業60年来の秘伝のタレとして、たまり醤油から丁寧に作られているようです。
我が家のソウルフードであり、愛してやまない七味あられですが残念なことが一つ。東京で売られているところをほとんど見かけないのです。約20年前、岐阜から上京したばかりの私は焦って母親に電話をしました。「東京にはどこにもからいあられが売っとらへんよ!!泣」。
以来、いい大人になった今も母から、時には祖母から、からいあられが、ふとしたタイミングで何の前触れもなく送られてきます。お正月に帰省した時に必ず持たされるのもこのあられ。先日、87歳になった祖母が岐阜から東京へはるばる遊びに来て食事をしたのですがその別れ際にも「持って来たったがね(訳:持ってきてあげたよ)」と言って地元のスーパーの袋に入ったこのあられを5袋渡されました。
今の時代、ネットでも買えるんですが、こればかりはポチることなく「次はいつ食べられるかな」と淡い期待を抱きながら、祖母や母からの“あられ定期便”を待ってしまう自分がいるのです。そこだけはいつまでたっても甘えたいのかもしれません。
主に美容担当。山登りなど自然に触れることが好き。最近は健康とかインナービューティとかいう言葉にめっぽう弱くなりました。