品川と横浜で、写真と文章の適切な関係について考える

最近行ったふたつの展覧会の話です。

ひとつは、品川・原美術館で開催中の『「ソフィ カル ─ 限局性激痛」原美術館コレクションより』、もうひとつは、横浜市民ギャラリーあざみ野で開催中の『あざみ野フォト・アニュアル長島有里枝展 知らない言葉の花の名前 記憶にない風景 わたしの指には読めない本』。

ソフィ カル展の図録。本自体は英文ですが、日本語訳もついているので、じっくりと作品を味わうことができます
ソフィ カル展の図録。本自体は英文ですが、日本語訳もついているのでじっくりと作品を味わうことができます

ソフィ カル展は、失恋までの92日と失恋から立ち直るまでの99日を写真と文章で見せるというコンセプトの作品。実際に見ていただきたいので詳しくは書けないのですが、付記される文章によってこんなにも写真の見え方が変わるのか、という驚きを感じる展示です。文字のフォントや色、掲載の仕方など、細かなディテールが積み重なることで、ソフィの気持ちがぐぐっと迫ってくるのを感じます。写真と文章のマッチングの妙によって、受け取るメッセージの深度が変わるんだ、と素直に感動を覚えました。

ソフィ カル展の感動が冷めやらぬまま、別の日に長島有里枝展に行った時のこと。会場で配られた冊子に掲載されていたインタビューのなかに「文章と写真、その二つを隣り合わせにすることに対して長い間、どういうかたちがベストなのかを考えてきました。現時点では、お互いがお互いを殺してしまうことのほうが多いと思っています。」とあり、頭をガンと殴られた気持ちに。Instagramひとつとっても、自分自身の編集という仕事を考えても、写真と文章を組み合わせるということを日々行なっているわけですが、ここまで意識的にやってきただろうか、と。胃がひやりとする気持ちを抱えつつ、三部構成からなる展示を見学。

展覧会で配布されている冊子。長島さんのインタビューも掲載されており、読み応えがあります
展覧会で配布されている冊子。長島さんのインタビューも掲載されており、読み応えがあります

三部構成の展示は、いずれも写真と文章をテーマにしたものですが、全く違う方法でその主題が提示されています。こういう可能性があるのか、と衝撃を受けたのですが、結局自分のなかで何がベストなのかという答えに辿り着くことはできませんでした。ただ、こうやって考えること自体が美術館に行く意味なのかもしれない、と珍しく思索をめぐらす週末に。ソフィ カル展は3月28日まで、長島有里枝展は2月28日まで開催しています。

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エディターMORITA

物心がついた時からパンツ派。今、一番興味があるのは、どうやったら居心地のよい部屋で暮らせるのか。美容、アート担当です。

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