
猛暑の夏です。前回ご紹介した「武相荘」に引き続き、竹林の庭に吸い寄せられております。今回のデスティネーションは、Gucci Bamboo House。

先週、ブランド創設100周年を記念したプロジェクト「Gucci in Kyoto」が開催されました。ブランド発祥の地、イタリア・フィレンツェの姉妹都市である京都を舞台に、新たな100年に向けた鼓動を感じさせる仕掛けが随所に。まず9世紀に建立し、吉田兼好の『徒然草』でもお馴染みの仁和寺にて、世にも美しいハイジュエリーコレクション「ホルトゥス デリキアルム(ラテン語で『歓喜の庭』)」の展示を鑑賞。そこには和洋折衷の、万華鏡のような世界が広がっていました。
そして、夜になると清水寺にて、最新コレクション、Aria(イタリア語で『息吹』)のお披露目がありました。
一夜限りのエクスクルーシブなインスタレーションは、自然を内に取り込む美学を、デジタルと伝統芸能のハイブリッドで表現していました。
アレッサンドロ・ミケーレによる「ハッキング」というアイデアで生まれた、バレンシアガとのルックも。バレンシアガのアーティスティック・ディレクターであるデムナ・ヴァザリアとの雑談から出発し、「デムナの(バレンシアガでの)最初のショーで見たものを取り込んで、自分が作ったものへの異物の混入を楽しみました。ルール破りを始めたのです」というミケーレ。クリエイターのピュアな創作意欲には、見るもの、持つもの、着るものの精神を引き揚げてくれる力があると改めて感動します。
その感動を皆さんも体験できるのが、8月15日まで開催中のGucci Bamboo Houseです。舞台は、旧川崎家住宅。1920年代に建てられた町家で、京都市の有形文化財に指定されています。玄関を上がって右の洋間は「グッチ デコール」の壁紙や椅子が、和のディテールとマッチ。
このライブラリー(上の写真)ではフィレンツェにある施設Gucci Gardenにも所蔵されている本や、ヒグチユウコさんの作品集を楽しめます。
「竹節庵」と名付けられた茶室には、グッチ デコールの花器を飾ってハッキング。

そして、町家と西洋の建築様式や様々な意匠が共存し調和した空間には、新旧のバンブーバッグが並びます。ブランドの歴史の中で繰り返し登場し、1947年の誕生以来、時代を超えて愛されるハンドバッグ。1950~1990年代当時のアーカイブは今見ても新鮮で、可愛い!と思うものばかり。

ネオンカラーのバンドが目印の新作「グッチ ダイアナ」は、クラシックとモダンを絶妙に融合したバランスにグッときます。
外を見れば、清々しい竹林の庭。天高く伸びていく竹に、無限の未来を感じます。そして、奥の蔵ではミケーレの最新映像も。100年をただ振り返るのではなく、新たな100年へのAria。ミケーレがグッチの新作に込めた想いを、京の地で受け取ることができるようでした。
お近くの方はぜひ一度足を運んでみてください。

顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。