「君の名は?」可愛い色のネイルを見つけると思わず問いかけたくなります。CHANELの”デイドリーム”、J.Hannahの”ミソ”、Kure BAZAARの”ケール”……色そのもの以上に、遊び心あふれるネーミングにキュンとして購入してしまったことも少なくありません。実は先日も名前に惹かれて手に入れたネイルがありました、それがOSAJIのアップリフトネイルカラー”それから”。
名前を聞いて夏目漱石の名作を思い浮かべた方も多いと思いますが、私がこのネイルに惹かれた理由はちょうどこの小説から着想を得た同名の映画を観た直後だったから。6月に最新作「逃げる女」も公開された韓国の映画監督であるホン・サンス、彼が2017年に発表した映画も「それから」というタイトルなんです。主人公は小さな出版社に勤めることになった女性・アルム。彼女が社長の不倫騒動に巻き込まれていくさまが全編モノクロームで描かれる作品は、物語全体に潜む混沌とした空気と瀟洒な会話劇がクセになります。私はなぜか雨が降るとこの作品のことを思い出し、先日も雨降りの午後にオンラインでレンタルして鑑賞していました。その余韻に浸っていたところ、同じ名前のネイルの存在を知り、思わず購入に至ったという訳です。
OSAJIのネイルは夏目漱石の小説をもとにしたのか、ホン・サンスの作品も関連しているのか、それとも全く違う場所から着想を得てネーミングしたのか、私にはわかりません。ただこのネイルの色味は不思議なほど映画の世界観に合っているような気がします。グレイッシュなラメ感のあるブルーは水面に映った光を表現したような色。落ち着いているのに暗くはなく、儚げな色けどはっきりとした主張も感じる。それがまさに映画が持つムードとぴったりハマるんです。ネイルを塗りながら映画の余韻に浸るなんて初めての経験ですが、なんとも穏やかで心地いい時間でした。ネイルを名前で選ぶ、やっぱり楽しくて好きです。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。