いろんな「女」の人生を生きてみる文庫本

中高生のころ、教室の隅っこの方で、「人間とはなんだ」という哲学的な問いをぐるぐる考えていた時期があります。漫画『MMR マガジンミステリー調査班』にもハマっており、他人の記憶を自分の脳内に埋め込めば、その人の人生をも生きたことになるんじゃなかろうか?と思ったものです。結果、自分の命がひとつしかないのなら、いろんな人の人生を知れば、たくさんの生を経験できるはずだと結論づけまして伝記物が大好物になりました。

GW期間中はこの2冊がスタメン。私の文化系師匠、山崎まどかさんの新刊文庫『真似のできない女たち 21人の最低で最高の人生』は、単行本『イノセント・ガールズ』をベースに書き下ろしを加えており、ジェットコースターのような女性たちの人生を21人分も堪能できます。何度読んでも、久々読んでも、その度に新しい気づきがあって面白いんです。特に、第一章からファッション好きにはたまらないドキュメンタリー『グレイ・ガーデンズ』(2009)の主人公、イディ・ブーヴィエ・ビールを取り上げていて、ワクワクします。ほかにも人形作家や料理研究家、コラムニストやピアニストなど、1940年代から70年代のアメリカを生き抜いた女たちの燃えるような魂に触れることができます。

その続きのようなSPUR本誌の連載「ONCE UPON A TIME IN THE WORLD」も、毎号面白すぎる人選なので、ぜひチェックしてみてください。

2冊目は、まどか先生が高校時代に影響を受けたという川本三郎さんの『忘れられた女神たち』を古本で見つけまして、交互に読んでおります。1920年代を中心に語られる20人の人生は、どれも濃厚。個人的に気になっていたグロリア・ヴァンダービルド(CNNのアンダーソン・クーパーの母)の幼少期を知ることができ、好奇心をさらに掻き立てられました。

息苦しいと感じる日々ではありますが、さまざまな「女」の人生を知れば知るほど、枠にはまる必要など、なくない?と勇気づけられ、休み明けのモチベーションを高めていけそうな気がします笑。

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エディターKINUGASA

顔面識別が得意のモデルウォッチャー。デビューから好きなのはサーシャ・ピヴォヴァロヴァ。ファッションと映画を主に担当。

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