久しぶりに買い物をして後悔しました。ただし“買った後悔”ではありません、“もっと早く買わなかった後悔”。少し前に購入したグッチのアイコンであるホースビットローファー、使い始めて数週間経って「なぜもっと早く手に入れなかったのか……!」と激しく後悔しています。
天邪鬼な性格が災いして“超定番”を手にすることが少なかった人生。こちらも「かぶりそう」とか「いつか買えばいい」なんて考えていました。でもミラノ出張の際に改めてその美しさを目の当たりにして購入、遂に手にしたローファーの素晴らしさに日々感動しています。
誕生70周年を迎えた唯一無二の名品
グッチのホースビットローファーが誕生したのは1953年。創設者グッチオ・グッチの三男であるアルド・グッチが“ハミ”という馬具に着想を得た金具をローファ ーに飾り、それまでの紳士靴とは一線を画すラグジュアリーなデザインを提案したことが歴史のはじまりです。今年は誕生から70周年のメモリアルイヤーのため、国内外で展開されている特別なイベントやコマーシャルビジュアルに出合った方もいるのではないでしょうか。(SPUR編集部ではシャオ・ジャン氏を起用したキャンペーンビジュアルが話題になっていました)
例年以上にバリエーション豊富にラインナップが揃う中、私はスリムなフォルムの“ヨルダーン”のブラックに決めました。よりベーシックな“ホースビット1953”よりも甲のデザインがすっきりとミニマルになったデザインで、フォーマルからカジュアルまで幅広いスタイリングに似合うこと、さらに甲浅な自分の足にフィットしたことが惹かれた理由です。
エフォートレスなカジュアルが叶う1足
クラシカルなベロア素材のドレスやマニッシュなジャケットのセットアップ、幅広い服に似合って早速大活躍中ですが一番出番が多いのはデニムの日。シャツとデニムのベーシックなスタイリングもこの1足を投入するだけで、上品に格上げされるのがやっぱり頼もしい。なんてことない服を着ていても、遠目にみてもわかる上質なレザーとゴールドの金具輝くローファーが、“きちんとおしゃれしている人”に仕上げてくれるんです。それからどんなレッグウェアにも似合う点も、他にはない存在だなと感じています。白や黒、赤やラメ、薄手のタイツや厚手のボリュームあるソックス……何にでもマッチする靴ってあまりない。クラシカルでありながらモダンなエッセンスも感じさせる絶妙なバランスがコーディネートのしやすさにつながっているのでしょう。世界中の人々に愛され続ける理由がわかります。あ、言うまでもないかもしれないですが履き心地も最高です! 新品時から靴擦れすることなく足になじみ、走れるどころかマラソンだってできそうなフィット感。本当に非の打ちどころがないマスターピースです。あぁ、なぜ今まで買わずにいたのでしょう……。
新生グッチのローファーにも期待が高まる!
長らく手に取ってこなかった1足を購入しようと思ったきっかけは、サバト・デ・サルノが手がけた新生グッチのショー。以前の装飾的な世界観とのギャップに驚いた方が多いかもしれないですが、私はごくシンプルで普遍的なデイウェアを提案する姿勢が、素直に“いいな”と思ったんです。そして翌日お邪魔した展示会で、それぞれのシルエットやディテールの美しさにさらに感嘆。ショーでみたアイテムが店頭に並ぶのも待てず、まずは王道のローファーを買ったのでした。
そんな新生グッチでもホースビットローファーは注目のアイテムで、既に厚底タイプが気になっている方もいるのでは? フラットタイプもレザーがより光沢のあるものに変更となるらしくさらに存在感が高まっていく予感です。私も新しい相棒と日々を過ごしつつ、2足目をゲットする日を夢見ています。
ワードローブの中心はデニムとメンズのシャツ。『スターウォーズ』シリーズに出てくるイウォークに似た犬と暮らしています。