俳優・秋川リサが40年以上愛用するエッセンシャルな名品&定番アイテム【あの人のお気に入りvol.3】

SPUR.JPの連載「あの人のお気に入り」第3弾に登場するのは、秋川リサさん。日本のトップモデル、俳優として“本物”を知る彼女が愛する定番&エッセンシャルなアイテムとは?

本物に触れることで磨かれた感性

秋川リサさん
コート・ピアス・リング/本人私物、中に着たTシャツ¥1,353/キャブ(ユナイテッドアスレ) https://united-athle.jp、デニム¥7,150/原宿シカゴ 03-5414-5107、靴/スタイリスト私物

俳優の秋川リサさんは、15歳でモデルデビュー。雑誌『服装』や『anan』、資生堂の専属モデルとして活躍しながら、同時に映画やドラマなどで俳優としてのキャリアを重ねてきた。「仕事を始めたのは1967年。世界のファッションがオートクチュールからプレタポルテへと移り変わり、日本でも、洋服は仕立てるものから百貨店で買うものに変わり始めたとき。『anan』の創刊やミニスカートブーム、パリで高田賢三さんのKENZOが注目されたことなどで、おしゃれへの意識が少しずつ変わり始めた時期でした」。

雑誌服装
秋川さんが表紙を飾る『服装』(婦人生活社)

その頃は、連日撮影のハードスケジュールで、普段はTシャツとジーンズ、冬はファーコートというシンプルなスタイルだったそう。「撮影でヨーロッパに長期滞在したり、KENZOのパリコレに参加したり。エルメスなど海外ブランドの日本のショーにも出演して、そこでカール・ラガーフェルドさんやオスカー・デ・ラ・レンタさんにもお会いしました」。“本物”に触れ磨かれた感性は、ビーズ刺しゅう作家としての活動や、着物のリメイク、料理などの手仕事に生きている。「最近ではアフリカンファブリックで着物を作ったり、ポッドキャストも始めたんですよ」。そんな輝き続ける秋川さんに寄り添ってきた10のアイテムには、たくさんの物語が詰まっていた。

【エルメスのケリーバッグ】時とともに柔らかく深まる色

エルメスのケリーバッグ
バッグ/本人私物

初めてケリーを手に入れたのは、20代の頃でした。モデルに加えて、舞台やテレビの仕事もして、とても忙しかったので、がんばったご褒美として、最初に黒を、次にベージュ。ルージュのケリーは、独特な色味がお気に入りです。子育てに必死だった時期はしばらく出番がなく、バーキンなどもいくつか友人に譲ってしまいました。このケリーもしばらくクローゼットに眠っていたのですが、エルメスの店舗でリカラーをしてもらってお手入れしながら、今は着こなしの差し色として大活躍しています。もともとの素材が上質だから、時を重ねるごとに柔らかく、深みを増しているような気がします。iPadを持ち運ぶにもちょうどいいサイズなんです。

【エルメスのケリーウォッチ】20代の頃にモデル仲間とお揃いで

エルメスのケリーウォッチ
腕時計/本人私物

この時計は、ケリーバッグよりも長いお付き合い。1975年頃、エルメスのケリーウォッチが初めて日本で販売されたとき、当時のモデル仲間と一緒にデパートで色違いを購入しました。ケリーウォッチのレザーベルトは、ケリーバッグと同じルージュ色だったけれど、いつの間にかブラウンとルージュの中間のようないい色に変わりました。これもケリーバッグと同じく、子育てをしていた頃は出番がなかったけれど、最近再び、ケリーバッグとセットで愛用しています。

【ハートシェイプカットダイヤのリング】20歳の記念に自分にプレゼント

ハートシェイプカットダイヤのリング
コート・リング/本人私物、中に着たTシャツ¥1,353/キャブ(ユナイテッドアスレ)https://united-athle.jp

ダイヤのリングは20歳の記念に。当時、ダイヤのリングは愛する人からプレゼントでいただくものだと言われていましたが、私は、自分へのご褒美として自分で買おうと決めていました。リングとピアスをセットで購入したのですが、ピアスはその後、どこかで失くしてしまいました。昔、祖母が「宝石は身代わりになってくれるものだから、失くなったら探さなくていい」と教えてくれたので、そのピアスも私の代わりになってくれたのかもしれません。このリングだけ、私の手元に残ったことにも何か意味があるのでしょうね。

【エルメスのピーコート】上質な仕立てとタイムレスなデザイン

エルメスのピーコート
コート・ピアス・リング/本人私物、中に着たTシャツ¥1,353/キャブ(ユナイテッドアスレ) https://united-athle.jp、デニム¥7,150/原宿シカゴ 03-5414-5107

1970〜1980年代、エルメスが日本の顧客向けに開催したショーにモデルとして出演したことがありました。その経験から、エルメスのバッグや洋服がとても上質であることは肌で知っていました。秋から冬にかけての少し肌寒い季節に、毛皮のコートよりも軽く羽織ることができるものを探していたとき、店頭で見かけてすぐに購入したのがこのメンズのピーコート。丁寧な縫製で型崩れもなく、タイムレスなデザインなので、これも長く着用しています。

【デニムジャケット】刺しゅうとビーズ、スパンコールでもっと派手に!

ラウタシーデザイン×フートウキョウのセットアップ
デニムジャケット/本人私物

まだ子供が小さかった頃、オートクチュール・ビーズ刺しゅうのデザイナー、田川啓二さんに師事し、ビーズ刺しゅうを始めました。40代で大腿骨を骨折して入院したときに、キャシー中島さんが「もし万が一、歩けなくなってもできる仕事を探したほうがいい」とすすめてくれて、ビーズ刺しゅうの教室を始めることに。コロナ禍の前まで、全国で教室を開催していました。このデニムジャケットは、華やかな刺しゅうが気に入って、受講する方の参考図案になればと購入したものです。もともとあった刺しゅうの上に自分でビーズを加えました。いつかジャケットの全面を刺しゅうで覆って、もっと派手なジャケットにしようと思っています。

【フランス製のブーツ】エスニックなムードのマイヴィンテージ

パウラ・カノヴァス・デル・ヴァスのブーツ
ブーツ/本人私物

30年以上履いているフランス製のブーツです。ヒールが低いので、妊娠中にかなり重宝しました。元々は鮮やかな羽根飾りが付属されていたのですが、履いているうちに1つなくなり、2つなくなり……。ついに全部なくなったけれど、それはそれで可愛い。ブラウンのほかに色違いでエメラルドのブーツも持っているので、そちらは差し色として活躍しています。

【アンティークのロケットとハートのリング】いつも身につけている“家族の絆”

メゾン マルジェラのニット帽子
ネックレス・コート/本人私物、中に着たTシャツ¥1,353/キャブ(ユナイテッドアスレ)https://united-athle.jp

いつもネックレスとして身につけているロケットとハートのリングは、ヨーロッパの蚤の市で購入したアンティークです。イニシャルのチャームは、私と息子、娘、娘のパートナー、孫2人のイニシャルにビーズをつけたもの。昔、若い頃に旅先で衝動買いをした指輪がいくつかあるのですが、もう指輪のデザインが古くなってしまったので、指輪の石を外してチャームのビーズと取り替えたら、みんなにプレゼントしようと考えています。

【リメイクしたザラのブラウス】ビーズとスパンコールで輝きをプラス

アクネ ストゥディオズのパンツ
シャツ/本人私物

一昨年、コロナ禍の外出自粛要請が解除され、再び仕事が復活してきた頃、何を着たらいいのかわからなくなったことがありました。仕事のための衣装にも悩んでいたら、娘が選んでくれたのがこのブラウス。私は華やかなものが好みなので、もともとあった刺しゅうの上にさらにスパンコールやビーズを加えました。お気に入りで普段もよく着ています。リメイクは、最初は難しそうに思うかもしれないけれど、やってみると簡単で楽しい。少しビーズを加えるだけでも印象が変わりますよ。

【リメイクカチューシャ】ヘアスタイルに華やかなボリューム感を

RUIのニット
カチューシャ/本人私物、カーディガン¥4,950/原宿シカゴ 03-5414-5107、中に着たTシャツ¥1,353/キャブ(ユナイテッドアスレ) https://united-athle.jp

悲しいけれど、年齢とともに失われていくもののひとつが美しい髪。ボリュームとコシがなくなり、完全なグレイヘアに移行する中途半端な状態も気になって。ヘアアクセサリーでボリュームを演出したいけれど、ウィッグは手間だしターバンでは重すぎる。そこで、スカーフやリボンでアレンジしたハンドメイドのカチューシャで髪をまとめています。ベースは街の雑貨店で手軽に購入できるプラスチックのもの。自分で作るから、好みの華やかさに調整できます。

【アンティークの器】仲間が集う日に大活躍!

ハイク×ザ・ノース・フェイスのアウター
器/本人私物

大きな器のセットは、大林宣彦監督の映画『さびしんぼう』に出演したときに尾道で手に入れたもの。撮影がお休みの日に、ふらっと入った街の古道具屋さんでこの器に出合いました。ロケや舞台公演で地方を回ると、地元の古道具屋さんに入るのが楽しみなんです。海外ロケが多かった時期も、景徳鎮の膳セットや、ヨーロッパではダンスクのお皿など、旅の思い出として器を持ち帰っていました。今は自宅でシェアハウスを営んでいることもあって、よく学生たちや近所の人を招待してホームパーティを開くのですが、そんなときにもこの大きな器は大活躍。どんな料理もおいしそうに見せてくれます。

秋川リサプロフィール画像
秋川リサ

1967年、テイジンのモデルとしてデビュー。雑誌『anan』などのトップモデルとして活躍。以降、テレビドラマやバラエティ番組、映画などに出演。タレント・俳優として活躍している。2001年には、ビーズアート教室を開設するなど、ビーズ刺しゅうの普及にも努める。

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