2020.05.13

新進女優・芋生 悠とめぐる、新しい街のカタチ「渋谷駅は、時を超えて」

今、この瞬間も大規模な再開発が進み、刻一刻とその姿を変えつつある渋谷。かつての駅舎、ずっとそこにある店、新しい高層ビル。過去から未来へ時代の壁を軽々と飛び越えて、人々から愛され続ける街を女優・芋生悠が駆け抜ける!

降り立ったのは生まれ変わった銀座線渋谷駅

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ジャケット¥206,000・ドレス¥134,000・バッグ¥48,000/エドストロームオフィス(クレージュ)

60年代からアップデートし続けたアイコニックなジャケットは、フューチャリスティックでありつつどこか懐かしい。それはまるで、発展を繰り返し、街のあちこちでさまざまな時代が交錯する“渋谷”を表しているかのよう。改札前でまとったエネルギッシュなビタミンカラーに未来への希望を込めた。

歴史を刻み続ける渋谷のランドマークと

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トップス¥173,000・パンツ¥148,000・帽子¥155,000・靴¥120,000/イザ(ニナ リッチ) photography: ©AFLO

鮮やかなフラワープリントに洗いをかけて、少し退廃的な表情に。空気を包み込むような洗練を極めたトップスのシルエットは、進化を止めないテーラリングのなせる技だ。遊び心を詰め込んだノスタルジーと最先端の技術が融合する世界を表現したニナ リッチ。街のシンボルもまた懐かしさを内包しながら変化を続けている。

旧東横線を象徴する“かまぼこ屋根”

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シャツ¥70,000・パンツ¥48,000・肩に巻いたジャケット¥140,000・つけ襟¥18,000・靴下¥10,000・サンダル¥68,000/PARAGRAPH CO.LTD.(プラン C) photography: TOEI TRANSPORTATION

セットアップのオーバーサイズシャツとワイドパンツからリラックス感を漂わせて。肩にはスポーティなカラーブロックのブルゾンを掛け、首元にはつけ襟でフェミニニティを添える。リズミカルに並ぶ“かまぼこ屋根”とストライプがジオメトリックに昔と今をつなぐ。

スクランブル交差点と、赤と緑の天津甘栗

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ブラウス¥128,000(参考価格)・スカート¥136,000(参考価格)・スカーフ¥51,000(参考価格)・手に持ったジャケット(参考商品)/マーク ジェイコブス カスタマーセンター(マーク ジェイコブス)

ビビッドな緑のツィードスーツがクラシカルな佇まいを演出。フラワープリントのブラウスに、ペールトーンのカラフルなスカーフを重ね、華やかさを盛り上げた。古きよき渋谷駅前のランドマークと色鮮やかにリンク。

まだ見ぬ未来の渋谷に想いを馳せて

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Tシャツ¥21,000・ベスト¥58,000/コム デ ギャルソン(ノワール ケイ ニノミヤ)

ブラックのトップスに重ねたのは、アクリルのフラワーモチーフを連ねたベスト。まるで華やかなアクセサリーをまとっているかのような斬新さが、パワフルな存在感を放ってやまない。2020年春夏コレクションでは、新しいものが始まるときに生まれるエネルギーを表現。そのスピリットが駅周辺の開発が続く渋谷のバイタリティと呼応する。

真新しい歩道橋から望む抜ける空と街の鼓動

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Tシャツ¥33,000・ドレス¥73,000・デニムパンツ¥73,000・ヘアバンド¥43,000・ネックレス¥46,000・スニーカー¥53,000/エムエム6 メゾン マルジェラ オモテサンドウ(エムエム6 メゾン マルジェラ)

イメージはジョン・レノンとオノ・ヨーコのパフォーマンス“Bed-In”。ウェディングドレスを想起させるチュールドレスに、Tシャツとデニムを合わせ、フォーマルとカジュアルを絶妙なバランスで融合させた。

今まさに、過渡期を迎える “neo SHIBUYA”

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ドレス¥133,000/ドーバー ストリート マーケット ギンザ(マリーン セル) タイツ¥5,500/ぽこ・あ・ぽこ(LOOK FROM LONDON) cooperation: Shibuya Stream

スポーティなボディスーツに、ロマンティックなフラワープリントをドッキング。まったく異なる雰囲気のマテリアルを組み合わせ、ほかにない先進的なドレスを完成させた。常に時代の先を行く街、渋谷に似合う一着を、華麗に復活を遂げた“かまぼこ屋根”の下でまとう。

カセットプレーヤーと今の渋谷の街を歩けば

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ドレス¥99,500/ドーバー ストリート マーケット ギンザ(ジャックムス) カセットプレーヤー(イヤホンつき)¥4,980/BEAMS RECORDS

デイヴィッド・ホックニーのアートワークが着想源のフラワープリントを軽やかなコットンポプリンのシャツドレスに配して。USBにデジタル変換もできるカセットプレーヤーで“渋谷系”を聴けば、そこはもう90年代のスクランブル交差点。

芋生 悠/いもう はるか女優。1997年12月18日生まれ、熊本県出身。2014年「JUNON produce Girls CONTEST」のファイナリスト。ベルリン国際映画祭W受賞作品『37Seconds』(’19)や、ヒロイン役を演じた舞台『後家安とその妹』(’19)などに出演。5月22日には映画『#ハンド全力』、5月29日には映画『HOKUSAI』が公開予定。

変わりゆく渋谷の街によせて
Interview with カジヒデキ

“最後の渋谷系”が眺める、発信する街・渋谷

シンガーソングライターのカジヒデキさんは90年代前半に宇田川町の輸入レコード店「ZEST」で働きながら渋谷に通う日々を送っていた。

「当時人気だったバンド、フリッパーズ・ギターのインパクトはとても大きくて、とにかく彼らのキラキラした感じと渋谷という場所がマッチしていたんです。レコード店、ライブハウス、書店、映画館、洋服店……渋谷には全部揃っていて、とにかくおしゃれ。ここから何かを発信したい、前の世代よりも新しいことをやろうという雰囲気がありました。そこから“渋谷系”という言葉が生まれたんだと思います。僕が働いていた頃のZESTは東急ハンズの向かいにある、ノア渋谷ビルの一室。同じフロアには音楽レーベルがあって、カルチャー誌の編集部がそこに間借りしていたり、近くに知り合いがいる渋谷の環境がコミュニティの役割を果たしていたんでしょうね」

 まだインターネットが一般に普及していないあの頃。カルチャー大都市として発展した原動力はDIY精神だったのではないかとカジさんは振り返る。

「手作りのフライヤーが好きでした。自分でも作ってバンドの宣伝をしていましたし。ライブ後にアンケートを配って連絡先を聞いてはDMを郵送するなんて、今だと考えられないですよね(笑)。好きなアーティストがレコード店でおすすめしていたプレイリストの紙は今でも取ってありますね。アナログですが、そうやって情報収集をしては、友達と交換して広めていったんです」

 では、カジさんは今の変わりゆく渋谷をどう思うのだろうか?

「渋谷のコミュニティラジオに番組をもっているので、ここ4年は毎週通っています。旧東横線渋谷駅のホーム周辺の渋谷ストリームの横にラジオ局があるので、どんどん変わるさまを見てきました。渋谷って、いつの時代もいちばん新しいことを発信する街だと思うし、そうあってほしい。絶えずクールな音楽が流れている街でいてほしいなと思ってるんです」

カジヒデキ/かじひでき1967年千葉県生まれ。1987年にフリッパーズ・ギターの前身バンドに衝撃を受け、自身もネオアコースティック・バンド「BRIDGE」を結成。1996年にはソロデビューを果たし、世界的なブームになる直前のスウェーディッシュポップの要素を先駆けて取り入れ、大ヒットを記録した。当時好きだったカフェは「アフタヌーンティー」。

SOURCE:SPUR 2020年6月号「渋谷駅は、時を超えて」
model: Haruka Imou photography: Mai Kise styling: Yuuka Maruyama〈makiura office〉 hair: Keiko Tada〈mod’s hair〉 make-up: KIE KIYOHARA〈beauty direction〉 illustration: Bob Foundation text: Mai Ueno, Michino Ogura(Interview with カジヒデキ)

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