脈々と受け継がれていく物語と職人たちの技。ハイブランドが作り出すバッグには手に取った瞬間、そのレガシーを感じさせる力がある。母から娘へ、そしてその先へも。長く愛していくほどに家族の思い出も重なって……。エターナルに輝くバッグを慈しむストーリー
【シャネル】糸を紡いで時を重ね、家族で育てていくバッグ

1924年にファッションデザイナーとして初めて婦人服にツィードを取り入れたシャネル。今季、原点ともいえるこの素材に焦点を当てたコレクションを発表した。発祥の地として知られるスコットランドでは、自家で紡いだ糸で織ったツィードは代々継がれていくものと言われている。愛らしいピンクのバッグは最愛の人とシェアしていきたい。
【エルメス】愛娘の名前に由来した名品バッグとともに

1967年に誕生した「コンスタンス」は当時デザインを手がけた職人の娘の名前を冠している。存在感のあるH形クラスプは、モダンなネオンイエローのエナメル仕上げが施された。馬の鞍職人が持つ"アスティカージュ"という特別な縁の仕上げなど、ディテールにまで伝統が息づく。
【セリーヌ】パリシックを体現するモチーフをクロージャーに

フランス語で「凱旋」を意味する単語「トリオンフ」。1972年にメゾン創業者のセリーヌ・ヴィピアナが凱旋門を囲む鎖からインスピレーションを得て、ブランドを象徴するアイコンとなった。こっくりとした秋色のバーガンディをまとったボディに、金色のCをかたどったモチーフが輝く。メゾンの物語はもちろんのこと、モードの都の歴史も重ねて。
【ロエベ】女性解放の歴史に寄り添うメゾンの人気バッグ

ロエベを象徴するバッグ「アマソナ」は1975年に生まれた名品。ギリシャ神話に登場する勇敢な女性たちにちなんで名付けられており、世界の女性たちの平等と自由を獲得するというメッセージがこめられている。時代に合わせてアップデートしてきたデザインは欲しいときが手に入れるべきとき。今季はスポーティなミニサイズが可愛い。つけ替えができるショルダーストラップや両サイドからスムースに開閉できるダブルジップクロージャーなど、フットワークの軽い、現代的なスタイルにフィットしているのも魅力的。
【プラダ】時代を超えるしなやかな哲学

秋冬のテーマを「AN IDEOLOGY OF PRADA(プラダの哲学)」と銘打ったプラダ。ランウェイを彩ったバッグは、正面から見ると台形型とマチのあるデザインが、アート作品のような佇まいだ。タブレットや必需品がたっぷり入る収納力がありながら、ハンドルは細身でエレガント。実用性と繊細な美意識という異なる価値観をメゾンの哲学を通してひとつにまとめ上げた。艶やかなレザーにシャドウがあしらわれ、世代を超えて、長く使い込んで変化する風合いを楽しむことができるのも愛おしいポイントだ。
【フェンディ】今、再評価されるアルチザンの技

シルヴィア・フェンディが1997年にデザインした「バゲット」バッグはメゾンの代名詞ともいえる存在。バゲットを小脇に抱えるような所作から着想を得たデザインは、今なお愛されている。定番を選ぶなら上質でソフトなナッパレザーを。「FF」ロゴモチーフを立体的にエンボス加工し、より軽やかに仕上げた。フロントはマグネットで簡単に開閉でき、ストラップも取りはずし可能、忙しい現代のライフスタイルに寄り添っている。
【ミュウミュウ】そこにあるだけで愛おしいがまぐちクラッチ

ぽってりとしたチャーミングなフォルムのがまぐち型のバッグ「ミュウ ベル」はレトロシックな表情。波打つようにあしらったマテラッセレザーは使い込むうちに、自分の手になじんでくるので、エイジングして育てていく楽しみもある。抱えてクラッチのように持ったり、取りはずしできるゴールドチェーンをつけてスマートに持つことも可能だ。愛嬌とクラシカルなムードの両方を兼ね備え、長く愛せる存在になっていくはず。
【ディオール】丹精なハンドバッグは永遠の憧れ

少し横長のホーボースタイルはモードにもカジュアルにも合わせられる、守備範囲の広いルックスだ。ナチュラルグレインドカーフスキン素材で傷がつきにくく、タフなため日常に寄り添ってくれる点も頼もしい。シックな黒のボディにゴールドカラーの「CD」ロゴやクラスプがひときわラグジュアリーに輝くディテールも、鮮やかな印象を残す。幅広なミリタリー調のストラップで、マスキュリンな変化球も投じて。
【メゾン マルジェラ】ツイストをきかせ刷新したメゾンのアイコン

2016年、ジョン・ガリアーノが手がけた初のアイコンバッグ「5AC」。インサイドアウトのギミックを用いたライニングを外に引き出すディテールが、メゾンの美学を体現する。年々進化を重ね、サイズレンジも広がった。レザーにヘリンボーンプリントを施したバッグは、ハンドル部分とボディで異なる素材をミックスし、さりげなくゴールドを感じさせて。パリシックな洗練をまとっている。
【ルイ・ヴィトン】最新技術を駆使したアーティなワンハンドル

凛とした白の美しい佇まいに心惹かれるのがルイ・ヴィトンの「カプシーヌBB」。ニコラ・ジェスキエールによる「LVブロデリー・アングレーズ」カプセル・コレクションのウィメンズウェアと呼応するように、モノグラム・パターンのカットアウトをバッグにも落とし込んでいる。くり抜いたパターンには独自の刺しゅう技術を用いて、ブルドンステッチで縁取っている点もメゾンのアルチザンを感じさせる。フラップをインに入れて差し込むアイデアも新鮮。パーティや和装など、ハレの日の大切なバッグとして受け継いでいける存在感。
【グッチ】いつか私にも似合う日がくる。世代をつなぐバッグ

誕生以来、70年以上の歴史を持つバンブーバッグ。連綿と続く家族のワードローブにひとつは加えておきたい名品に違いない。フィレンツェの職人たちが考案した軽量で耐久性のあるバンブーハンドルにカーフスキンレザーのボディが美しい。つけ替え可能な2本のショルダーストラップはスタイルに合わせて楽しめる。
【サンローラン】スタイリングを完成させるミニマルなクラッチ

毎日使うものではないけれど、きちんとしたクラッチバッグを持つことは大人のたしなみのひとつ。スタイリッシュなスクエアタイプのクラッチなら、サンローランで選びたい。艶のあるカーフスキンレザーで仕立てられたバッグは型崩れしない強度があり、洗練された佇まいに導いてくれる。フラップはマグネットクリップによる、バックルコンプレッションクロージャーで開閉が可能。ライナーにはカードケースポケットがひとつある。コンパクトに見えて、収納性の高いマチの広さもうれしい。
【ドルチェ&ガッバーナ】いくつになっても乙女心をくすぐるバッグ

ひと目見た瞬間、ビジューで彩られたヴィンテージゴールド仕上げのハート形ジュエリーに心を奪われるはず。そのロゴを中心にマトラッセナッパレザーを放射線状に仕立てたパワフルなルックスに圧倒される。目の覚めるような赤を選べば、ファミリーの強い絆を感じさせるアイコニックな存在に。ラグジュアリーなゴールドカラーのチェーンストラップがついており、デイリーになじむクロスボディにして持つことも可能だ。