歴史と伝統をたたえた世界最古のラグジュアリーレザーグッズメゾン DELVAUX クラフツマンシップの源泉をたどる

1829年に創業し、ハンドバッグを世界へと広めたメゾン、デルヴォー。ベルギーのスピリットが生きるものづくりで今も世界中の女性たちの心を惹きつけている。その歴史とサヴォアフェールの神髄に迫るべく、ブリュッセルのアトリエを訪ねた。

1829年に創業し、ハンドバッグを世界へと広めたメゾン、デルヴォー。ベルギーのスピリットが生きるものづくりで今も世界中の女性たちの心を惹きつけている。その歴史とサヴォアフェールの神髄に迫るべく、ブリュッセルのアトリエを訪ねた。

ハンドバッグは自立した女性のためデルヴォーが考案した

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1958年に誕生した、ブランドのアイコンバッグ、ブリヨン。64のレザーパーツとメタリックピースを、職人技術によって丁寧につなぎ合わせた芸術品。バッグ「ブリヨン PM」〈H19×W24×D12〉¥1,057,100/デルヴォー

デルヴォーは、ベルギー王国建国の1年前にあたる1829年、トランク職人だったシャルル・デルヴォーにより創業。妥協のない職人技と品質が信頼され、1883年にはベルギー王室御用達に認定された。その歴史を解き明かすため、本国のアトリエを訪れた。

アトリエがあるのは、ブリュッセルのアーセナル地区。同敷地内にあるミュージアム(現在は一般非公開)は、ハンドバッグの歴史を紹介する空間だ。入り口には、当時の様子が目に浮かぶような、時代ごとのトランクの展示が(4)。一番上に置かれているのは、1908年、旅行の際に貴重品を手もとに置いておきたいという女性のニーズにこたえて発明されたハンドバッグだ。現在私たちの身近にあるレザーのハンドバッグは「自立した女性たちが身軽に旅できるように」という願いをこめてデルヴォーが考案したものなのだ。

1950年代以降、デルヴォーはオートクチュールに倣いシーズンコレクションを発表するようになる。そして、ブリュッセル万博が開催された1958年に誕生したのが、現在ブランドのアイコンバッグとして知られる「ブリヨン」。ミュージアムでは、1958年当時の貴重なオリジナルを展示する。ル・コルビュジエが設計したパビリオンから着想を受けた、クラシカルかつクリーンなフォルム。そして「D」をかたどったアイコニックなバックル。まったく古びることのないタイムレスなデザインに驚くとともに、経年劣化がほぼ見られないことに感動。上質な素材と職人技による丈夫なつくりを証明する。ここに「ブリヨン」が60年以上もの間愛され続ける理由がある。

伝統と品格を守りながらもウィットのきいたデザインで進化

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1 「アーセナル」と呼ばれるブリュッセル市内の本社兼アトリエ。軍の兵器庫だった歴史建造物を利用している 2 ミュージアムのエントランスには、巨大サイズのブリヨンが 3 創業当時の旅行用バッグには、旅のお守りであるサン・クリストフのメダイが見られる 4 旅行バッグから始まった歴史を象徴する展示。一番上は1908年に意匠登録された、初のハンドバッグ

ハンドバッグ作りにおいて、デルヴォーがほかのブランドとは一線を画すということを実感できるのが、1908年以来、3000点以上のデザインが収録されている“Le Livre d,Or(リブル ドール)”の存在(6)。このリブル ドールは、すべてのバッグのデッサンが記された、デルヴォーの歴史の集大成だ。新たなデザインを考案するときの指針でもあるという。現在も新製品が誕生するたびに、ページが加え続けられている。デルヴォーは、このブックに記された普遍的なデザインを大切にしながらも、新素材や最新技術、新色を取り入れて常に進化を続けている。アトリエで働く職人は「技術はもちろん、大切なのは好奇心」と語る。愛され続ける理由のひとつは、小さなアップデートを続けることにもあるようだ。

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5 1959年に結婚した前国王夫妻。パオラ元王妃が手にしているのは、婚礼を祝して制作された「モン グラン ボヌール」  6 1908年以来、すべてのデザイン画が記帳されてきたアーカイブ・ブック、『リブル ドール』。その数は3000点以上 7 画家、ルネ・マグリットにオマージュを捧げたコレクション 8 吹き抜けの建物の1階は職人たちのアトリエ、2階がミュージアム 9 ハンドルを研磨中。アトリエでは、約30名の職人が働いている

ミュージアムでは、巨匠、ルネ・マグリットにオマージュを捧げた作品(7)など、数々のアーカイブスも展示されている。どれも、ベルギーらしいユーモアと品格が共存し、ウィットに富んでいて興味深い。また、フランドル伝統のデザインとモダニティが融合した旗艦店「Le 27」は、そんな世界観を象徴する空間。ベルギーを訪れた際にはぜひ足を運んでみてほしい。

ベルギーらしいシュルレアリスムと最先端のファッション、伝統が共存したものづくりを続けるデルヴォー。職人がアトリエで一つひとつ丁寧に作るバッグは大人の女性の「一生物」にふさわしい。

デルヴォー
https://jp.delvaux.com/ja/
03-6439-9125

INFORMATION

デルヴォーのアイコンバッグに「パン スウィング XL」が仲間入り

INFORMATIONの画像_4

デルヴォーより、新しいアイコンバッグが登場。その名も「パン スウィング XL」。デルヴォーの「パン」シリーズは、地中海のなだらかな海岸線、馬の飼い葉おけの構造に着想を受け、1972年に誕生した。リラックス感のある曲線的なボディが特徴だ。「パン スウィング XL」は、ゆったりとした大き目のプロポーションで機能性も抜群。前面にはD型の外ポケットが配されている。トリヨン ソフトグレインレザーはラグジュアリーなムードを醸し出し、日々のスタイルをエレベートしてくれる。

「パン スウィング XL」(ベジタル)<H22×W44×D13>¥687,500/デルヴォー

FEATURE